■「新たけべの彩時季」
10月27日、建部小学校の学校菜園で1~2年生、お日さま学級の皆んなの参加で、前日までに掘っておいたサツマイモで「里山風焼きいも」パーティーです。
手伝いは「里山建部」メンバーの片山さん、市川さん、そして記者(勝部)。
朝9時ぐらいから、軽トラに積んできたもみ殻や里山の落ち葉などに煙突を立てて焼いもの準備。
数年前から始めた、濡れた新聞紙とアルミホイルで包んだ焼いもセットを会場に持参。
今年は大豊作で、大きい芋はスライスして包まれており100個前後のホイル焼きの始まりです。
スタッフの挨拶と焼き方説明では普通ゴミとして扱われている、もみ殻や稲わら落ち葉や枯れ枝などを再利用することを伝えながら、
ESD(持続可能な循環型社会の開発)の説明をしました。
1時間後に燃えて黒焦げになったもみ殻を熊手で広げると、アルミホイルに包まれた蒸し焼きの中から、甘~い香りが漂ってきます。 中庭の芝生広場で車座になって食べているとお代わりの催促。 多い子は3~4個も食べた児童もおり、田舎ならではの体験が子どもたちの脳裏に刻み込まれて思い出になっていくのを実感しました。
(レポート・写真 勝部 公平)
秋晴れの、まさに”天高く馬(人?)肥ゆる秋”を感じさせる建部の今、あちこちで柿が実ったり、サツマイモが掘られたり。そう、”サツマイモを掘る”と言えば昨年もお邪魔した「建部ほったらかし農園」さんの芋掘りイベントが外せない。
土曜、朝9時半、下神目にある農園を訪ねる。主催した「
あこがれスタイル」さんのメンバー、
佐藤安奈さんのおばあちゃん家の畑がその”ほったらかし・・・”現場。
市内中心部からのメンバーはまだ到着しておらず、おばあちゃんが一人、ササゲを分別中。
「おはようございます」
「まあ、いつもお世話になります」
「お元気そうで、何よりです」
「もうなあ、歳をとると何もできませんで・・・」
そうつぶやかれる間も、小さな手はササゲの一つ一つをしっかりより分ける。お年寄りの仕事はいつでも丁寧。
いつものメンバー、カッチャン、Mさん、B君たちが到着、それぞれが担当の畝(うね)を受け持ち、開墾スタート。
畑には今年も昨年同様、10数畝が盛られイモヅルが覆う。
「私、友だちにも配りたいから、いっぱい欲しい!」さっそく、掘る前にリクエスト。
「じゃあ、がんばって掘ってね」
「えっ、私、掘るのあまり得意じゃない(笑)」
「だったら、俺も!(笑)」
互いに冗談交わしながらの芋掘り作業。
次なる参加者、到着。
「去年も、いらっしゃいましたよね」
「ええ、また来ました(笑)」
昨年も参加したお母さんと、一回り成長した感のある息子さん。
1年に一度会えるなんて「イモ掘り体験」は素晴らしい。
収穫作業は着々と・・・なのだが、そうである人とそうでない人が?
「でも、私の畝(うね)は、なんでこんなに小さいのー?」
「ゴメン、ゴメン、そこは苗が違うんだよー」
「ヒェー、そんなのないよー(笑)」
「大丈夫だよ、ちゃんとみんなで分けるから(笑)」
大きいの、かわいらしいの、どれもうれしいよね、大地からの贈り物だもの。
さらに若い人1名が加わり、作業は急ピッチ。時おり津山線の列車が傍を勢いよく通過する。
「あぁ、皆が掘ってるところを列車を入れて撮りたいけど、タイミングが合わないなあ」と嘆いていると
やがて「チーン、チーン、チーン・・・」
「ユーさん(記者)、ユーさん、列車が来るよ、シャッターチャンス!」
「オッ!」カメラを向ける、『津山線のある風景~芋掘り編~』撮れました。
いつの間にか、記者もスコップを手に芋掘り参加。
子どもの頃は、よくこうやって畑の手伝いをしたものだが、「子どもの頃、イモ掘りしたことある?」
「ありますよ、保育園の時に」
そうか建部の保育園の行事にも必ずある、これは子どもにとって貴重な体験なのだ。
そのうち「でも、たまにはこういうの気分転換になるよねー」一人の若者が言うと
「うん、なるなる、ストレス多すぎるものね」すぐに若い人同士で意見が一致。
きっと、今の世は若者たちにとって窮屈で息苦しい時代なのだろう。
年寄りの私でさえ忖度(そんたく)だの協調だの、ウンザリと思うのだから。
いつしか時間はお昼近く、そろそろ退散するとしよう。さて、次にお会いするのは1年後?
しかし、その時まで記者自身、ストレスにやられていないか、
それが心配だー(笑)。
(レポート・写真 三宅 優)
昨夜の雨も上がり、晴天予報の建部エリア。だが今日の朝は気温は低く、時おりどんよりとした空。
「どうだろう無事に登れるかなあ」岡山市環境学習センター「めだかの学校」武藤館長も不安げな顔。
この日、市内から4家族8人の参加者を迎えての「建部古道巡り」、スタッフ入れて13名で開校式。
「今日は日頃の生活から離れて、この建部でいろんな自然と触れ合いながら一日を楽しんでください」
江田委員長の開会のあいさつ。
9時半、「めだかの学校」をスタートした一行は建部上にある法寿山、山頂を目指す。
さっそく子どもたちが先頭を駆ける。里の家並みを抜け、登山入口に立つ。
「ここからどれくらい距離があるんですか?」参加者の問いに
「う~ん、3キロほどですが、山道なので時間は1時間ちょっとかかるでしょう」
何度となく登って来た当新聞編集長、勝部。
いつも同じスケジュールではなく、その日の天候、道の状況、参加者の体力を踏まえて時間を計る。
登山道は数日前に江田委員長自ら草刈り機を担ぎ、歩きやすいように刈り払ってくれている。それでも雨で濡れた落ち葉の積もる道は滑りやすい。
山の斜面から雨水の流れる沢が出来て道を横切る。
「ここ、水が流れてるから気をつけてね」そう言ったけど男の子は沢にジャブン!そのまま平気で、きつい傾斜をグイグイ上る。
やがて一行はかつて灌漑用水池だった「池乃山池」に出る。水量の減った池の水面だが、それでもいつの間にか出た陽の光に照らされ自然の美しさを堪能させてくれる。
(参加者親子)「ああ、いい眺めね」「ここ何がいるの?コイ?フナ?」
そうして目的地、法寿山、山頂に到達、標高212mの三角地点で一休み。山の木々がいっせいに騒ぎ出す。
子どもの保護者に話を聞いた。
「どうして参加しようと思いましたか?」
(参加者) 「家の近くでは遊ぶところがないので、学校案内が来て申し込みました。古道と聞いてたけどこんな山道だと思わなくてビックリ。
ちょっとしたトレッキング、こういうのは貴重な体験だなって思います」
「普段、街中に住んでいるので外に出たいなって、でも、子どもの方が喜んでるみたいです」
帰りは、ただひたすら下るだけ、滑りやすいので注意、注意。講師の話はマツタケ採りの話しから建部の歴史へと広がり、道々続く。
子どもたちはというと、草を引いたり、「あっ、カマキリ!」と大きな青いカマキリを見つけしゃがみ込む。
山の探索は飽きることのない時間を提供したようだ。
中腹、阿弥陀如来様の見晴らしに到着、ちょうど11時15分発、津山線電車が鉄橋を渡る時間。
武藤館長もカメラを構え、シャッターチャンスを待つ。
数百年の間、見渡す風景は様変わりしただろうが、川のかたちはさほど変わらず海へとつづく。
「建部祭り」の行われる七社八幡宮に出ると天高くそびえる古木が待ち受ける。残念ながら今年もお祭りは中止となったが、
拝殿には新しいしめ縄が飾られている。
「来年こそは勇壮な神輿のネリを観てもらいたいです」と地元の世話役でもある江田さんが語る。
正午、無事に大人子ども全員が帰還。
お一人で参加の方に感想を。
「ウォーク、歴史、ほんとに勉強になりました。次は孫を連れて参加したいです」
「今日参加して、いろいろと気づくことができて、あらためて自然と触れ合うのは大切だなって思いました」
コロナの時代の免疫が徐々に人々の暮らしに根付いてきて、ゆっくりと自分時間を愉しむ時がやって来た。
それには自然の中で過ごせる「建部の一日」が、今、おススメ!
次回、予定は11月14日(日)「里山建部を散策しよう」(申し込み受付中)
申し込み:岡山市環境学習センター「めだかの学校」
電話:086-722-1231
(レポート・写真 三宅 優)
風は涼やかになったが、お日様の光はまだまだ強い。いつものこの季節だと町内のあちこちで笛や鈴の音が聞こえてくるのだが、今年もお祭りは中止となって静かな建部平野。
ここ福渡地区では31日が八幡神社の例大祭。神輿や神楽は繰り出さなくても、神様への祭礼は執り行われる。その時には神社を飾るしめ縄が新しくされるのが習わし。
今では縄を綯(な)える人がいなくなり、後継者もいないことからどこの地区でも、このしめ縄の手配に苦慮している。 そうした状況を踏まえて福渡地区では、出来る人が元気なうちに作り方を伝授してもらい次につなげようと、昨年から町民たちの手で「しめ縄作り」を始めた。
朝10時、町のコミュニティセンターに、しめ縄の先生4名と総代8名、手伝い3名、総勢が15名が勢ぞろい、下神目の農家から分けてもらった稲わらを手に作業に入った。
始めの段取りは「ワラを計る」。しめ縄の1本分に使うワラの分量を量り、同じくする。
次に「ワラを柔らかくする」。ある程度の柔軟さがないと綯えにくいので、水で濡らして槌で叩いておく。
そして「綯(な)う」。定量に整えたワラを下3分の1程度で括(くく)り、上を3等分にして、それぞれを時計回りにヨリを付けて、左にねじって編んでいく。
口で言うのは簡単なのだが、これが一番難しいところ。上部を括(くく)って出来上がり。
後は「ほつれを整える」ハサミではみ出たヒゲをカット、根元部分もそろえて「押し切り」でカット。
この押し切り機はこの日の指導に当たってくれた古本博史さんの所有。
「昔はどこの家にもあったけど、今はこれを探すのもむつかしいじゃろうなあ」(古本さん)資料館に収まるほどの古民具。
参加者のほとんどが未経験者、しかし1時間もすると細縄が編み出せるようになってくる。そのうちの一人の方は
「子どもの頃、よくおじいさんが編んでいたのを観てました」
やはり「習うより、慣れろ」
熟練者の一人、松下泰成さんも「僕も百姓の息子に生まれましたから、できるんだと思います」
当新聞グルメレポーターも「家が養蚕をやっていたので、よくおばあさんがワラマブシを編んでいた」
見せて伝える、親の後ろ姿が最良の教師。
正午過ぎ、完成した大小、20数本のしめ縄、編んだワラの長さは全部で50メートル以上。
何でもかんでもがすたれていく世の中で、人の手で繋げていけることを実感できた秋の休日。
(レポート・写真 三宅 優)