■「新たけべの彩時季」
建部で活き活きと活動する人にスポット。
第24回は理容室「E N O Y A」の理容師、榎本 由香さんです。
(プロフィール)
榎本 由香(ゆか)
岐阜県神戸町(ごうど)生まれ(37歳)
高校卒業後、京都にて理容師の修行。
2006年、結婚しご主人の郷里、建部町川口へ。
以後、理容店「ENOYA」を切り盛り。
また子どもを持つ母親として保育園「愛育会」の
副会長を務めるなど地域の担い手としても活躍。
現在、お店オーナーのご主人と三人の子どもの5人暮らし。
(聞き手 三宅 美恵子)「タネピリカ」を読んで知ったのですが、親戚中が床屋さんとか
「ええ、そうです。父、祖父、従妹もそうですが、みんな床屋です」
まわりが皆、百姓なら私もわかるんですけど(笑)、床屋さんってのはどんなですか
「月曜がそろって休みとか・・どうなんだろう、おじさん、おじいちゃん、仕事の話とかしないで、ただいつも散髪屋さんの匂いがする、
そんな感じかな」
じゃあ、小さい時からご自分も床屋になるつもりで?
「いえ、高校の時、調理師になりたくて。父の友達でレストランをやってる人がいて、そのお店が好きで自分もやりたいなって。
それで高2の秋に、こっそり大阪の辻調理師専門学校の試験を受けたんです。そしたら合格通知が送られて来て、親から怒られましたね。
高校を出るのが筋だろうって、それからでも遅くないし、第一、授業料をだれが払うんだって。いろんな人からも説得されて、
まあ、ちょっと甘かったですね。だから、高3の時に理容師の通信講座を取り寄せ勉強しました」
それで卒業して真っ直ぐ京都の理容店に修行に行かれたんですね、大阪とか考えなかったんですか?
「京都には父とかがよく知っている床屋さんがあったので、両親も安心だったみたいです。特に髪を触ることとかに興味があったわけではないのですが、
かと言って普通に事務のOLとか工場で働くとかは、まったく考えていませんでした。自分には向いてないと・・・」
美容師とかは考えなかったのですか
「美容師との違いは顔剃りできるかどうかなんですが、やはり”顔剃り”が格好いいし、刈上げとかも。ポマードの匂いも”正統派”って
受け止めなんです。美容師は華やかな感じなんですが、私はそっち向きではないなって思います」
初めてのお客さんは覚えてますか
「もちろんです。京大の学生さんで、短かければ何でもいいよって感じだったんですが、写真を見せてどうしますって、もう話すのもドキドキ、1回、切って、
もう1回切り直して1時間ちょっと掛かりました。汗がすごかったです。終わってお客さんに観てもらうと”思ってたより短いけど、いいですね”と言われました。
先輩からはもっと時間を早くしなさいって注意されましたけど(笑)」
で、その後、結婚してこちらに来られたわけですね?
「ええ、主人はそのお店で最も厳しい先輩でした。今もそれは変わりませんが(笑)。2005年にこのお店が出来て1年後、ここに来ました」
どうでしたか、仕事と家庭の両方をやってこられて
「子どもの頃は大晦日なんかがいつもピークで、”なんでうちはこんな忙しい仕事をしてるんだろう・・・お腹空いた!まだ〜”とよく腹を立ててました。
でもそんな合間をぬって母親は家のこととかやってたんですよね。今になって大変だったろうなと思います」
ここのお店のお客さんはどんな方が多いですか
「私らと同年代の30〜40歳代とプラス10歳位がボリュームゾーンです。主人が地元なので友人や
母親の知り合いの方とか、それ以外は、ほとんどが口コミで来られます。」
理髪で難しいところってどんなことですか
「お客さんそれぞれに頭の形から髪の質まで違ってるので、一人づつ刈りながら考えてハサミを入れていくしかないのでとても緊張します。
それに、ご自分でなりたいものとなれる現実には隔たりもありますよね。ですから会話の中でここはこうしたらどうですか、とか問いかけながら、
できるだけお客さんが自分でスタイルを選んでいけるように勧めていくんです」
それで次にまた来られたら嬉しいですよね?
「最初の人は特にやり残し感があるんです。こうしてあげた方が良かったかなとか、もう少しああすれば良かったかなって。
でも、もう一度来てくれた時はホッとします、間違ってなかったんだって」
今、子どもさんが三人いらっしゃいますが将来、同じ仕事に就いてもらいたいですか
「子どもがしたいと言うなら応援しますが、これだけが世界ではないし、
私たちの時代より選択肢も多いので、よく観た上で決めた方がいいのではと思っています」
仕事の合間とか休日とか何をしてますか
「本が好きで、特にミステリーなんですが。読みだすと一瞬で現実を忘れて、その世界に飛び込めるんです。
今は同郷(岐阜)の作家で中山七里、米澤穂信をよく読んでます。あとは、発酵食品を作ったりもしています。
柿酵母でパンを焼くぐらいですけど・・・」
月並みですが、将来の夢とかありますか
「今、すごくエステの勉強に燃えてます。自分を忙しくしたくて、やがてはエステで独立するのが夢です(笑)」
ありがとうございました
(記者感想)
「ENOYA」さんをお訪ねするのは今回が初めて。53号線からちょっと中に入った福渡小学校の
校舎の裏側を見下ろす少し高台にあるお店。
家庭的な雰囲気のファサードを一歩中に入ると、白い空間に古材の大梁がドォッデーン、小梁がズコーンと大胆にデザインされた空間。
床のフローリングも使い込む程に深みが増していい感じ。
カット台は2つ、マッサージチェアの様に座るだけでリラックスできそう。座ったままで後ろに倒れて、洗髪できる設備になっている。
好みで前屈みを希望される場合もあるので、別に昔ながらの前屈みで洗える設備もある。至れり尽くせり。
お客さんにできる限りの満足をしてもらいたいとの姿勢がうかがえた。
職人肌で気持ちの切り替えが早く、楽しみを自分の中に見い出せる人。
そして何よりも相手の話をきちんと受け止め、自分の考えを丁寧に伝えようとする。
そんな接客業をする上でもっとも重要なコミュニケーション能力は読書家であることと無縁ではないと感じた。
(取材 三宅 美恵子 写真・三宅 優)
「E N O Y A」さんのお店情報は←こちらから
年末恒例となった「たけべ八幡温泉」朝市。売り切れては困ると今朝の10時に広場に向かう。
途中で出会う顔なじみの人たち。
みんな、両手に大きな袋を下げて「早う行かんと、なくなるよー」。
会場となったイベント広場に立ち並ぶテントの前には大勢の人だかり。
ただよって来るのは、朝から一杯やりたくなる「焼き牡蠣」の煙。ウウッ、仕事だ仕事、誘惑に負けじと賑わいを写真に収める。
「ミカンつめ放題300円」えっ、ホント?白菜200円。やっ安すぎる。
足湯の側では「ミニ門松づくり(200円)」孟宗竹の筒に自分で土を入れ、
きれいに斜め切りされた三本の竹、それと梅、松、南天を差して出来上がり。
「まあ、可愛くできたわ、これでいい正月が迎えられるわ」
建部米のつきたて豆餅、ぜんざい、手打ちそば、野菜に鰤に鮭、お酒とおいしいもの勢ぞろいの朝市、
子どもからお年寄りまで半日のんびりと過ごして、帰りには温泉でゆっくりくつろぐ。
岡山市民の年末の楽しみ方はこれで決まり、だね!!
(取材・写真 三宅優)
今月初めに建部中学で開かれた、大人と子どもが語りあう「だっぴ」。中学2年生と大人による世代を超えた活発な会話が印象的だったが、
先日(26日)再び、そのメンバーが集合。
来年2月にタイムカプセル開封式を実施する「たけべおこしプロジェクト」がこれに併せたイベントの一環として呼びかけたもので、
テーマは「建部の未来について話そう」。
この時期、冬休みとあって急な呼びかけにどれだけの人数が参加できるかスタッフは気をもんだのだが、
蓋を開けてみると、会場となった建部町文化センター多目的室には、なんと17名の生徒がやって来た。
これに対して共に話し合う参加者は地元からと、「だっぴ」メンバー、公民館職員の計10名が参加。
初めにこの企画を提案した「たけべおこし」メンバーの雨宮宏美さんが趣旨説明。自分が建部で夢見たことが実現できたことを例に
「したいと願っていれば、いつかきっと実現する時が来る」と激励した。
参加者は4チームに分かれ早速「自分の夢、やりたいこと」を書き出し、それぞれの挙げた”夢・やりたいこと”が、
他の人の”夢・・・”と一緒に実現できる点を話し合った。
そうして4つの夢ストーリーごとに再度チームを変えて、それについての夢をどんどん膨らましていった。(妄想タイム?)
詳しい内容については2月11日に開かれる開封式でのステージ発表を待っていただくとして、
約1時間の集いだが、何よりも生徒たちは教室を離れて友だちと自由に話す機会を楽しんでいた。
それは多分、30年前も変わらぬ光景だったに違いない。
年末、恒例となった建部町公民館主催講座「書写を楽しもう」が今日開かれた。
昨年、参加したばかりと思いきや早や1年。
よし、今年も新しい年に向って身を引きしめて精神集中、書に挑むぞ。
先生は福渡在住の書道家、吉岡優さん。
吉岡先生は11月の「たけべマルシェ」において畳、数枚分の紙に一気に字をしたためた姿が記憶に新しい。
さて、今日の生徒さんはというと全員が小学生。と、今やすっかり建部に溶け込んだピッツェリア「マル屋」のマルコさんご夫妻とお嬢ちゃんも参加。
マル屋の奥さまと記者がリクエストした字は「新年」。マルコさんは娘さんの名前(漢字)に挑む。
先生からの書における大切なポイント。墨はたっぷりとつける。大きく画く。中心の線に沿う。先生にお手本を書いていただいて、さあ「書写」を開始!
「新」、混み入った左部分を終えると伸びやかな右部。「年」、「午」まで書いて三本目の「一」をどこまで伸ばすのか迷う。そして縦の一線。
離れて見ると、「新」は大きくても「年」はあまりに貧弱。格闘何枚目かでどうにか「まあまあかな」
マルコさん拝見。おっ、楷書は苦心してたが草書ではナント実にいい筆流れ。
「イヤー、ムツカシイネ、デモ、チョット、ワカッテキタネ」素晴らしい、さすがに飲み込みが速い職人肌。
子どもたちを見ると「ひかり」「美しい星」、硬筆で「新しい年を向かえました」、なんだ先生に叱咤されながらも、
いい字書いてるじゃん。
最期は名前を書いて(これが結構、高度にデリケート)、「”優”終の美?」を飾る(笑)。
(取材・写真 三宅優)
♪ジングルベール、ジングルベール・・・♪テレビで観ているだけのクリスマス。
年とったって、私たちも楽しみたいのよ「メリークリスマス!」
そんな建部町の年配方の願いをかなえるべく、今年も公民館からビッグプレゼント!
昨年好評だった「サクソフォンコンサート」それが今年もやって来た、それもサックスのスペシャリストを伴なって。
招かれたのは「くらしき作陽大学音楽学部」教授の長瀬敏和氏とその愛弟子、
ソプラノ(教授)、アルト(大西さん)、テナー(堀川さん)、バリトン(上田君)による四重奏団だ。
公民館長から「音楽の世界でサクソフォンの長瀬教授を知らない人はいない」と紹介がなされると、
観客60名の人がいっせいに「ほぅーっ」と感嘆。もう、すぐにでも聴きたいムード全開。
長瀬氏はそんな会場の雰囲気を受け止めながらも、まずは楽器の歴史を交えながら曲目紹介を進めた。
「サックスはアドルフサックスさんと言う人が170年前に発明した新しい楽器です。
今はサックスの曲は難しい曲が多いのですが、出来たばかりの頃はどうだったか、それが1曲目です」
”キュワーン”というゆったりした音。それが少しづつ速い流れに変る、低音と軽やかな音のキャッチボール。
だれもが、すぐに親しめるそんな曲、「へー、昔の曲はこんなに快活なんだ」と感心。
続いてはサクソフォンの持つ複雑さを示す曲。演奏する教授の1音1音を刻み込むような指の動き。”パラパラピラピラ”と動き回ってはじき出た音を
生徒たちが”ボッボッボッ”と四方八方に受け止める。これぞ子弟による名競演、観客も演奏者に合わせ、右に左に体が揺れる。
楽器の紹介に併せて演奏者の紹介。来年卒業予定の3人、すでに自衛隊の音楽隊に就職が決まった上田君(スゴーイおめでとう!)
学校の音楽教員に決まった堀川さん(よかったねー!)JAバンクに就職する大西さん(がんばれー!)
それぞれの音楽と共に歩む人生に乾杯!!
演奏は記者も大好きなモーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」(合唱でしか聴いたことがなかったので、
サックスの重奏がどんな音色を醸し出すのだろうとワクワク)に続き、お待ちかねクリスマスメロディー、観客は手拍子でムードは最高潮。
もっともリクエストの多かった「情熱大陸」では頭を揺らして聴き入る姿が方々に、アンコールは「ふるさと」大合唱。
ロビーにいつまでも残るサックスの響き。今年も”幸せサウンド”がクリスマスを運んで来てくれた!
「いやぁ、やっぱ、音楽って楽しいね、鳴りだしたと途端、一つになれるんだから、ありがとう!」
(取材・写真 三宅優)
「里山建部」が取り組む、自然の整備と活用プロジェクト。今年も伐採されてそのままにされていた樹木をリサイクルする炭焼きがはじまった。
今季は七社八幡宮の森の整備で出た樫の木を譲り受けての炭づくり。今月17日に火入れされ、3日間燃やし続けて19日夜10時、
煙が透明になったのを確認した後、窯の蓋は完全に閉められた。
やがて取り出される「建部産里山木炭」は町内の人や県内の焼き鳥屋さん、アウトドアグループからすでにオーダーが来ており活用が決まっている。
今まで朽ちるしかなかった自然の命が、こうして生かされている姿はその真っ只中にある建部にとって、多くの可能性と共に”人生まだまだ、これから”と
示唆してくれているようにも思える。
次回の火入れは来年2月に予定。
(取材・写真 勝部公平)
今年8月に開かれた「川に関わる環境学習を学ぶ集い」
その2回目となる学習会が「めだかの学校」で開かれた。
冷たい風が背中をなでる17日、日曜の午後。「寒い、寒い」と防寒着に身を固め、会場となる「おもちゃの宿」へ。
すでに、先生をはじめスタッフ、高校生、大学生が待機中。高校生は学生服のまま、大学生も薄着、さすがに若い。
今回の参加者は岡山理科大学、理科大付属高校、岡山淡水魚研究会を中心に男女10余名。
まずは会を主催した「旭川源流大学実行委員会」の吉鷹 一郎氏により、
旭川の現状と山、川、海のつながり、自然観察について共に学び合おうとの趣旨説明がなされた。
続いて「旭川のおける自然観察と自然研究」と題して、岡山理科大学准教授、齋藤 達昭先生による
今回のメイン講座へと移った。
先生の調査プロジェクトは2006年から12年かけて、上流は新庄村、津高、白賀川の源流、
中流は勝山、竹枝のかいぼり調査、下流は明星堰、高島干潟を調査をしてきている。
その膨大な集積データを基に今の旭川のおかれている現状を述べられた。
「竹枝におけるアカザについて」毎年、平均800頭の確認があり確実に定着が認められる。
その理由として、高い場所に浮石の維持ある、出水に流されにくい環境、水温が低いが挙げられた。
「洪水後の川床の変化」では、中洲が生きものを宿らせる役目となっている。
「干潟の役割」として、産卵の場、稚魚の生息地、鳥のえさ場、有機物を無機物にする浄化機能
が挙げられた。
課題として「海の貧栄養化」人が浄化して放流する水のせいで海の貧栄養化が進んでいる=分解できるチッソ(DIN)が減り、分解できないチッソ(Org−N)だけになってきた。
他に「ダム、堰の問題」「外来種との交雑」も挙げられた。
高度な学術的内容を分かりやすくコンパクトにお話しいただのだが、何分シロウトで十分な理解ができてないことをお断りしておくが、
最後に先生の「海はきれいになったが、生きものも住めなくなった」と述べられた言葉が
印象に残った。それは、今の子どもたちの置かれている環境とも重なり「なにをしているのだろう僕ら、人間って?」と、
やるせない気持に襲われた。
その後、そんな気分を吹き飛ばすほどの参加者による発言の場が持たれた。高校生の自然に対する素直な感想、
大学生の研究に賭ける熱い想い、淡水研の女性たちの実戦報告、話は大いに盛り上がった。
(取材 三宅優)
先日のBGでの「三世代交流しめ縄づくり」は主に子どもたちを対象に行われたが、
今回(昨日)は同じく「三世代ふれあい交流事業」の一環だが、どちらかというと大人が大人に教える二世代交流である。
そこで記者も昨年に続き「しめ縄マイスター」めざして参加した。主催したのは市の社会福祉協議会建部支部で、会場は老人福祉センター
。ブルーシートが敷かれた大広間には、町内の15名の大人がどっかと腰を据えた。
午前10時、さっそく先生の指導のもと渡された一束の藁(わら)を手に銘々の「しめ縄」作りに入った。
藁をそろえて、束ねて、編みはじめの部分をくくり、根元を足で押さえて、両手で藁をこすりながら・・・
ううー、全然、縒(よ)れてこない。なのに、「シュル、シュル」部屋中には藁を綯(な)える音。
隣の松下さんを見ると、なんといつの間にか一本出来上がり。今日が初めてだと言うのに先輩を差し置いて・・・。
”葛原先生、助けて!”とあえなく救助願い。
そのうち、作業が慣れたのか会話もはずんできた。
「うちは、おじいさんがおったけん、見てて多少は知っとるんよ」
「わしも じいさんがムシロから縄まで編んどったけど、
教わらなんだけん、今になってここで習うとんじゃ」
失敗作を見つけた先生、「ほら、こうすりゃあ、活きてくるで」
形の崩れた先をくるりと丸めると、あら不思議、力強いしめ縄に。
「ほー、なるほど、500円(参加費)でこんなに教わって、来年は幸せが来そうじゃなあ」(笑)
2018年はもうすぐ、今年も先生の手をお借りして完成したしめ縄が我家を飾る。
<追記>
夕方、家の前を犬の散歩に来る近所のおじいさん。「いいお飾りができたかい?わしは今はスーパーで買ってくるんじゃ」と言われ
「なら、余って持ち帰った藁があるから、やる?」と聞くと「なら、そこで作るわ」と。
なんと、ものの
3分で仕上げた。”ウウッ、老人あなどりがたし、マイスターここに在り!”
(取材・三宅美恵子 写真・三宅優)
町内の回覧板で回って来たビラに「ふくふくカフェ〜地域の方など、どなたでもご自由に参加できる集いの場です」とあり、おいしそうなお汁粉の写真が載っていた。
場所は今年で3年目を迎える旧福渡高校跡地にできた「葵の園」で、月に一度、第3土曜日の午前9時から11時まで開かれ今回で2回目となるらしい。料金は今回は200円。
うん、これはグルメレポーターとして見のがせないと、いつもより30分も早起き、さっそくに出かけた。
玄関を入ると水色のポロシャツの職員の方が「おはようございます、いらっしゃいませー」と明るく出迎えてくれた。
広い1階のデイケアスペースにはテーブルがゆったりと置かれていて、南側窓からは暖かい陽が差し込む。
どこにしようかな?せっかくだから窓際へ。先客が2組、顔を見ると、なーんだどちらもよく知ってる近所の方。
ここでケアマネージャーの荒内さんにお話を聞くと「葵の園が出来て3年になり、さらに地域に溶け込んだ施設のあり方を試行錯誤で進めていて、
このカフェも私たちスタッフの有志が休日を使って始めたものです。お年寄りから子どもさんまでどなたでも気軽に足を運んでいただきたいと
考えました。交流の場として使ってもらえれば、通所者さんにとっても生活の場が活性化すると思います」
なるほど月に1度でも近くにちょっと集える場所があるのは有り難い。
前の席からは車イスの男性と歓談するご婦人たち、時おり「マアー、ホホホー」と笑い声。
別れ際に「また会いましょうね」「じゃあまたな」と交わす。
「ゆっくりお話しできましたか?」のスタッフの問いに、「ああー、できたよ」と答える。
運ばれて来た「おしるこ」を頂くと、白玉はトーフが練り込まれてフワフワ、汁粉はやや甘め。同じくトーフで作ったドーナッツも
頂いてしっかりと朝食を終了。
次回は来年1月20日(土)午前9時から11時、どらやき(飲み物付)150円。
(取材・三宅美恵子 写真・三宅優)
この行事が来ると年の瀬が一日一日と近づいてきていることを感じます。
恒例のB&Gたけべ海洋センター主催の「三世代交流お飾りづくり」がセンター内、
武道館で開催されました。
この日(10日)は町内スポーツ少年団、指導員、父兄、小学校の先生など
50名が参加し、事前に鶴田の葛原勉さん、久具の大内敬さんなど
お年寄りがコツコツと一年間かけて準備した稲わらや、お飾りシートなどで
しめ縄づくりを体験しました。
稲わらに霧吹きで柔らかくし、手で揉むようにていねいに、且つ力を込めて綯っていきます。
指導者の方も日頃の育成の指針に沿い、見本を見せながらも極力手助けは最小限の指導を心がけていました。
こんな体験を続けることで、少年団を卒業するまでには自力で
製作できるようになります。出来具合は写真の通り、見事なお飾りが完成しました。
お飾りづくりに限らず年間を通して、オリエンテーリング、カヌー、お祭り、各種スポーツ、
これにたずさわる多くの人がいることで、「たけべっ子」の人格が育まれ、
人生の礎をつくっているのだとつくづく感じました。
今は日本全国が少子高齢化の波に直面している中、建部においても子供数が、
かつての三分の一までに減少。その中でこれだけの体験行事を維持しているのは極めてまれ。
これを地域の財産として今後も守り続けたいものです。
(取材・写真 勝部 公平)
寒さがやって来たのが去年に比べて早い。そんな感が強いのに年の瀬の雰囲気は今一つ?しかし今日は、あちこちで年末行事の催し、
これで一気に”師も走る”か。
めだかの学校では恒例「クリスマスキャンドル作り」体験講座が小学生対象に10日(日)開かれた。講師は勝部志乃さん。
今回のテーマは「雪だるま」&来年の干支「犬」。参加したのは市内からの親子連れ14家族、32名。午前と午後に分けて受講した。
この講座、年々受講者が増え、中には今年で3回目という方もいられる。その人気ぶりがうかがえる。
作り方はまず、
@熱で柔らかくなったロウをサランラップでくるみ丸い部分をつくる
A頭、胴の2つの球を重ね体をつくる
B楊枝で中心部に穴を開け芯を差し込む
Cカラーチップワックスで飾りをつくる
D飾りをつけ終えて全体を溶けたロウでコーティング
工程は簡単なのだが、冷めると固くなるロウの性質からラップの中で手早く形づくるのがポイント。
同時に表面を擦りツルツルと滑らかに仕上げるのも重要。
子どもたちは多少のいびつさも気にせず、根気よく頭と胴体づくりに挑む。
体ができると白、オレンジのどちらかを選び染に入る。
その間にも、
お母さんたちはせっせせっせと手のひらでカラーチップのロウ伸ばし。マフラー、リボン、帽子、耳、鼻、目の材料づくり。
実は大人の手の方が温かいし、大きいので早く材料が柔らかくなる、親子共同のメリットここにあり。
最終仕上げは、ロウのお風呂にザブ〜ン。湯上がって出てきたら少し冷まして完成!
どういいのができた?「うん、かわいいよー」
お母さんも「これじゃあ、可愛すぎて使えそうにないわ、ずっと取っておくしかないわ」と満足気。
家族で幸せなクリスマスはもうすぐそこ。
(取材・写真 三宅優)
目からうろこ?古い人間(記者)にはどうしたって思いつかない。本日、当新聞の編集委員でもある松下りえさんが企画した「たけべの町歩きツアー」
建部の町中をぶらっと歩きながら、途中、途中で英語を交えて案内。
参加したのは県内の女性5名と、なんとネットでイベントを知り今朝、申し込んだという森田市議会議員も。
森田さんのフットワークの軽さもさることながら、女性たちの向学心にもホントに感心させられる。
さて英語と建部観光、どこでどう結びつくのだろう?
ご存じの方もおられるだろうが、松下さんは長くオーストラリアに住んでいた経験があり、当然イングリッシュはお手の物。
一方で日本には英語を学びたい、それも生活シーンでの生きた言葉として。
そこで彼女が考えたのは、実際に町中に出て歩きながら交わされる会話から英語を学ぶと言う試み。
今回は福渡の周辺をぶらっと回るだけのコースだが、名物ピザ屋「マル屋」さんと「サニーデイコーヒー」の
グルメ、そして「たけべ八幡温泉」の足湯がセットになっている。
まずは「福渡駅」”スタート”。”ファジィ”な商店街を抜けて、”パブリックライブラリー”図書館。
”ゥリヴァー”川沿いへと進み、八幡”ブリッジ”を渡り、お目当ての
「マル屋」”ピッツェリア”へ。
店主マルコの熟練した空中パフォーマンスをじっくり観察。その間に、こんがりピザの出来上がり。左手にとうとうと流れる旭川を眺めながら、
次なる目的地「サニーデイコーヒー」さんへ。
「へぇー、こんな所があったんだー」「うゎー、いい匂い」店内に満ちる豆の香り。いよいよ今から贅沢なドッキング。特別にお店の一角をお借りしての
”スペシャル”ランチタイム。コーヒーとピザがこれほど相性がいいとは、記者も再発見。
たっぷりとピザとコーヒー(パナマゲイシャの素晴らしさ!)を堪能したあとは、”スプリング”、温泉へ。
「なんか、建部って来たことあったけど、こんないいとこだってはじめて知った」そんな感想をもらうのは、
森田さん共々うれしい限り。
湯船に浸した足はいつのまにか、ほんのりとオレンジ色に。
「しあわせ橋」(ハッピーブリッジ?)を往く足取りのなんと軽やかなこと。
それにしても、”自分の得意を活かして町を歩く”それだけで従来にない”愉しみ”が創出される。冒頭に述べた、
まさに”目からうろこ”。
ツアーに際して松下さんが話した
「このことで建部町が好きになって、また来てくれたらいいなあという趣旨で開きました」
その思いがしっかりと伝わった「たけべ町歩き!ゆる〜い Walking Tour」だった。
(取材・写真 三宅 優)
今日昼過ぎ、建部町文化センター大ホールにこだました「岡山弁はー」・・・「ええもんじゃー!」の一斉コール。
第18回「岡山弁はええもんじゃ〜ことばの祭り。建部〜」今年も会場一体となったオープニング。総合司会は建部町唯一(?)の
お笑い芸人”リンクアップとっし―”。
では最初のプログラム「岡山弁パフォーマンス」から。
出た出た、今年も元気な地元、田淵さん、信山さん。信山さんは、なんと「建柳亭木炭」を拝命されたとか。
歌と小咄、お二人のチャレンジ精神は高齢者の鏡。ジュディオング信奉者のミカさんも派手なマジック満開で会場を沸かす。
プログラム2番。おっと、いつもながらの堅ーい勉強の時間。岡山大学名誉教授の吉田則夫先生による岡山弁講座。
しかし、これが中々、興味深ぇんじゃわー。(いつの間にか岡山弁)
コッコ(鶏)、ママ(ご飯)、べべ(着物)、シーシー(小便、なつかしい!)・・・これら岡山地方の方言、その中で幼児に用いる言葉の幼児語(育児語とも)、
それは大人が子に早く覚えられるように分かりやすい語にして話しかけたものだ。(なるほど!)
そして、それが今、風前の灯。三世代家族が崩壊し、年寄りが孫に話しかけるシーンがなくなったのだ。
「地域包括支援システム」にも残念ながらこの支援策は載っていない。
嘆ぇとってもしょうがねぇー、昭和歌謡の岡山弁で気(きぃ)晴らそうで、ということで、青山 融さんの「岡山弁で歌わにゃー♪」の時間。選曲は「氷雨」、それを岡山弁バージョンで。以下ごゆるりとどうぞ!
”飲ませてください もう少し 今夜は帰りたくない 帰りたくない”
「のめーて ちょーでぇー もーちぃーと きょーばんは いにゃーヘん いにとーねぇー」
”私を捨てた あの人 今さら悔やんでも 仕方ないけど”
「あたしゅー してた あのひとー いまさら くやんでも やっちもねーけど」
”外は冬の雨 まだ止まぬ この胸を濡らすように・・・”
「そたー ふゆのあめ まだやまん このむにょー ぬらす みちょーに・・・」
”もっと酔うほどに飲んであの人を忘れたいから”
「もちーと ようぐれい のんで あのひとー わすれてーけぇー」
(大感涙、大拍手、ブラボー岡山弁!)
”おかやま魂”満喫した後も”オキャーヤマ”は続く。建部中学一二年生&井上いつのりさんによる「岡山弁川柳」。
今回は2チーム対抗、題目は「でぇれー(ものすごい)」
「イノシシが でぇーれー 穴掘り てえへんじゃー」
「あいさつは でぇれーきもちが ええもんじゃ」
続いては「きょーてー(恐い)」
「担任は なんでも見通し きょーてーなー」
勝敗結果は拍手同数の引き分け!
いよいよラスト演目。「あええ鳥(青い鳥)」
貧乏長屋の兄妹(テルテル ミテル)の家に現われた老婆。娘の病気を治すという青い鳥を見つけてくれたらお礼をすると言う。
欲にかられた兄妹、カラスをたぶらかしペンキを塗って青くする。やがて老婆は娘が治らないどころか、鳥が変貌を・・・。
全セリフに盛り込まれた岡山語。その言葉の抑揚、微妙、えげつなさ、これぞおかやま真骨頂!
それにしても、この配役、だれがどう決めたのか知らないが、あまりにも絶妙。中でも老婆役、竹内先生の”怪演”ぶりは、
もはやアカデミー賞、助演男優賞もの、世界の演劇界を震撼させるやも。
終わっても、まだほくそ笑んでいる自分。やっぱり年末はこれ!!!
「おかやま弁はええもんじゃー」
(取材・写真 三宅
優)
私たちの子どもの頃(スミマセン半世紀も前)と言えば、社会には大人だから子どもだからの
差は余りなく、それこそ「悪(ワリイ)オヤジ」がいて「がめちぃバアサン」もいて、「スケベなオッサン」、
「気色ワリイオバハン」がいる。
「大人だから偉い」でもなく「子どもだから正直」でもない。ただ「いい人」か
「ワルイ」又は「ごっぃー、汚え奴」という混在した受け止めだった。(もう忘れてしまっているのかも知れないけど)
それで今回、あらためて「大人」と「子ども」の仕切りで話し合う会があると
聞かされた時、正直、今の子どもと大人との関係を十分、思い描くことができなかった。
「それは家で親と話せばいいのでは」とか「テレビを観てればわかるんでは」と理解していた。
どうやら違っていた。岡山を中心に「人とのつながりの中で若者が自分らしく生きれる社会」を求めて活動するNPO法人「だっぴ」が
建部町公民館の依頼で建部中学生徒(2年生)28名と地域の大人、県内の大学生、社会人30名程を招いてのトークイベント。
トーク・・・と言っても、一人の話をその他が聴くのではなく、年齢、肩書に関係なくチームの中で一人一人が公平に発言し認め合う、ここがポイント。
「だっぴ」代表を務める柏原さんは「今の中学生は中々、大人と話す機会がない。別々の価値観を持つ人と接することで、子どもたちの未来への不安を
取り除くきっかけになれば」と話す。
では、その一部始終とはいかないまでもベッタリ聞き耳立てた内容をご報告。
ちなみに建部地域からの出席者は(順不同で)入野さん(連合町内会会長)、竹川さん(旭水荘)、江田さん(サニーデイコーヒー)、平田さん(たけべおこし)、
杉山さん(なでしこ会)、石田さん(お笑い芸人)、大塚さん(県会議員)の7名。開催されたのは11月29日の午後。場所は建部中学校体育館で時間は約3時間。
まずは、大人の参加者に向けてのガイダンス。ここでA4サイズに自分の生まれてから今日までの略歴を箇条書きし、それをテーブルごとに見せ合い、互いを知る。
そして、本会場の体育館へ。
広ーい体育館に7つのグループ分けされたイスの輪。大人と生徒、ほぼ半々に7〜8名でチームとなって座った。
ファシリテーターは「だっぴ」メンバーの「まよい?さん」。ジェスチャーゲームで気分をほぐしたあと、さあスタート。
配られたスケッチブックに生徒たちが「呼ばれたい名前」「好きな給食」「趣味」を記入し自己紹介から。
「フンフン、なるほど」「私もカレーが一番!」「えー、それってどんな趣味?」子ども世界に興味津々。
大人たちの自己紹介も多彩。職業を上げても、電力会社社員、キャリアコンサルタント、イラストレーター、
バルーンアーティスト、IT企業・・・と千差万別。趣味も「アマチュア無線」「シャボン玉」(?)・・・。
このメンバーで今から一つの問いに対してそれぞれが答えていく。
第1問「クリスマスに自分にどんなプレゼントが欲しい?」
(生徒)「ユニバのおみやげ」「ゲーム」・・・(大人)「靴」「愛情」「休み」・・・。
それぞれに、その理由や関心ごとを述べていく。大人はやっぱりゆっくりした時間が欲しい。
第2問「あなたが仕事でお店を開くとしたらどんな店?」
(大人)「ギャラリー」「健康食品」「カウンセル・バー」「みんなが集まる居酒屋」・・・。
(生徒)「ゲーム屋」「雑貨屋」「服屋」「車屋」・・・。
なんでそれをやりたいのですか?そんな問いに大人の日々の悩みも吐露される。
「疲れてくると仕事上ではなく人と触れ合う場が欲しいんだよ・・・」神妙に聞き入る生徒。
第3問「人と関わる時、大切にしていること」
「相手の話を聞く」「最後まで聞く」「人の気持ちを理解する」「相手の目を見る」・・・。
生徒も大人も、相手を思いやる気持ちは変わりない。
そしてハーフタイムでメンバーチェンジ。
今度は座り直す時、互いの膝がぶつかるほどに椅子が前に。
互いの声をしっかり聴きたい、寒い館内に人の輪でストーブが焚かれたかの様。
この時点で、生徒も大人も自分を開くことの戸惑いから解放されているのがわかる。
次は、おそらくもっとも盛り上った質問。
「もし今日、地球が滅びるとしたら何をする?」
「おいしいものを食べる」「家族と過ごす」「サグラダファミリアを観に行く」「コーヒーを淹れる」(さすが江田さん)・・・。
生徒からは「好きな人に”好き”って言う」「僕も後悔しないように、告白したい」
青春真っただ中の発言に大学生の女性から「ワァー、かっこういい!」
最後の質問。「どんな大人になりたい?」
「人から尊敬される人」「行動で示せる人」「人の役に立つ人」「礼儀正しい人」生徒たちの理想は高い。
大人からは「楽しい時間を過ごしている人」「夢を持ち続けている人」「人生を楽しんでいる人」
すでに大人になった今、描くのは「満足できる自分の姿」
いつまでも続くかに見えた語り合いも時間となった。子どもの話しに大人が聞き入り、大人の話に子どもが頷く。
本当に話したいのはどっち?知ってもらいたい自分を抱えるのは大人?子ども?
おそらく両方。大人同士で集まっても、これだけ深く話すことはない。子どもたちも、いつもの友だちとの会話では
得られない、”一人の人としての自分”に気づいたのではないだろうか。
振返りとしていくつか感想が延べられた。
生徒から「年齢とは関係なく、話が出来れば仲良くなれると思った」「ダメでもがんばれる。楽しくやればなんとかなる」
「これからもどんどん人と交わりたい」
大人から「勇気をもらった、もうちょっと冒険してみたくなった」「中学生の自分を思い出すことができた」
そして「私も恋愛したい!」(笑)
(取材・写真 三宅優)