「でんしょう坊」さんと言えば、今では遠くからおいしいとの評判を聞いて来られるお客さんで、いつもいっぱいという印象です。
創業者のお父上とも付き合いのある私としては、息子さんの代になり、ますます繁盛しているそのあたりの工夫とか思いを
伺いたくてお邪魔しました。
お聞きしたのは二代目店主になられる谷 浩一郎さん。二人のお子さんをお持ちの33歳、桜にお住まい。
(聞き手 勝部 公平)
(勝部)(そもそもは、どういったきっかけで始めたのでしょう)
(谷)「以前、父がロータリークラブに入っていて、そこで”蕎麦同好会”があったらしく、その趣味が高じて始めたらしいです。広島の有名な蕎麦打ちにも習いに行ったと聞いています。
この家も、もともと大工仕事が好きだったので自分ですべて手直ししました。厨房は真っ新で建てました」
(この場所を選んだのはどうしてですか)
「この裏に井戸があるんですが、その水が気に入ったのが理由ですね。昔、このあたりに”でんしょう坊”という坊があって、その近くの井戸が
どんなに日照りでも水が涸れないと言われてて、茶の湯としてもよく飲まれたとか。”でんしょう坊の名泉”と呼ばれたそうです。その水を、うちも
使っているんです」
(蕎麦に対して、何か特別にこだわっていることはありますか)
「そば粉は北海道の滝川から取り寄せていますが、粉を注文する時に”丸抜き”と言って外の皮だけを取り、中の甘皮と実を挽いています。
この方が蕎麦の色が映えますし、風味も良いものとなります。あとは、そうですね、特にこだわるということはないのですが、水だけは
湧水を使っています。ツユもその水で普通の昆布と鰹でとっています」
(”売り切れ御免”の看板が出ていますがこれからも変わりませんか)
「そうですね、多い時で100食ほど出るのですが、朝4時から私が一人で打っているので、それ以上はむつかしいですね。作り置きはしたくないし、
やはりおいしい状態でお出ししたいですからね。無理して、たくさん売ろうという気持ちもあまりないですし」
(人気のメニューは?)
「メニューと言っても、蕎麦しかないので、それも”ざる”。特に秋は”新そば”が出て一番おいしい時期なんです。ただ寒くなるのでお客様の中には温かいものを
注文される方もいられて、時季によって温かい蕎麦をお出ししています。”季節の野菜天ぷら”も好評をいただいて、それはそれでうれしいのですが、やはりうちは蕎麦屋なので
蕎麦に満足していただきたいとは思っています」
(では仕事を離れて、休日はどんなことをされていますか)
「バイクのツーリングです、ハーレーで。先日も地元の70歳の人と行きました。年齢を超えていっしょにやれるのは楽しいですよ」
(ありがとうございました)
(グルメレポート)
これまで、うどんはわざわざ食べに行くことはあっても、蕎麦はあまりなかった。そうしたらグルメレポートにいつも一緒に行ってもらってる倉敷のお姉さん夫婦は
県北の山の中まで探して食べに行くほどの蕎麦好きとか。当然、ここにも私が越してくる前から訪れている。
「でも、あそこはおいしいけど、待つよー」と心配するので、
あらかじめ電話で予約。平日の昼前に行ったらすでに駐車場に10台ほど。注文はせっかくだからと一通りのメニューをお願い。そばつゆが運ばれて待つこと15分。
「まあ、今日は早いなあ」とお姉さん。
さっそく、新そばのお味を。口に入れ、噛んだ瞬間、まぎれもなく蕎麦の香り。「あっ、うんうん、おいしい!」
これなら、2つはいけそう。食感も腰があっていいけど、のどを通る時の滑らかさがまた良い。人気の季節の天ぷらのカリッと揚がった衣もこれまた絶妙。
竹筒に入った炊込みご飯も食欲の秋にふさわしくペロリといただきました。ごちそうさまー。(三宅 美恵子)
そば処「でんしょう坊」
<営業日> 店休日(火曜日) 営業時間 11時〜
<アクセス> 車/国道53号吉田交差点「コメリ」そば
グーグル地図
〒709-3122 岡山市北区建部町吉田1208
п@086‐722-3577
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