建部に越してくる(記者が)ことが決まった7年前の夏、連れられて来たこのお店。
店前の駐車場が満杯で国道を挟んだスペースに1台分を見つけた。中でも少し待ち時間があって、盛況ぶりがうかがえた。
広い店内は客席が座敷とテーブルでゆうに100席。
そして出された天ざるうどん。「まあ食べてみられえ、ここのうどん。せえに、この天ぷらを」自身満々に勧められた。
記者も夫もこれまでに香川の田んぼの中の「山○うどん」や1時間待ちの「○○製麺所」まで行ったこともある、うどん好き。
ざるに盛られた麺はツヤツヤとしてひかり、太さは微妙にまちまちで、箸で取ると1本が割と長い。つゆに浸け一口、柔らかいが腰があり、
のど越しなめらか。つゆは、カツオと昆布のうまみがしっかりわかる少し甘口。次に天ぷら、衣が薄すぎず、厚すぎず、サクサクとして上品。
「ここの天ぷらの野菜は地の物を使っとる、椎茸はわしの所で作ったもんじゃ」なるほど確かに肉厚、さすが「セルフ」とは格段に違う。
これはかなりのこだわり職人の店、それがその時の印象。
杉本正樹社長さんにお聞きしました。正樹さんは創業者である杉本武雄会長の息子さんです。
そもそも、ここでうどん屋を始めたきっかけは何ですか。
「父は真庭市出身ですが、日清製粉に勤めていて脱サラして起業しました。粉には大変うるさいです。ここは津山と岡山の真ん中で、当時53号線沿いは
野々口から先、本当に何もなくて・・・。ここをちょうど”峠の茶屋”にしよう、”福が渡って来る”と言う地名も気に入ったのだと思います」
今のようなお店になったのはいつごろからですか。
「創業は昭和48年で今年で42年になります。うどんを始めて5年目には、まんじゅうを出しました。店舗も増改築を重ねて今のような形になり、
”茶房りばてい”もその間に出来ました」
”うどんづくり”でのこだわりは何ですか。
「先ほども言いましたが、粉には特にこだわっています。季節によって配合も変えていきます。使用する材料は粉、塩、水の3つだけです。仕込みは朝6時から。足ふみを小1時間、これは今でも
会長も時々やっています。”はま作り”という手練り、麺棒を使った”延し”と、ずっと手作業でやります。今の若い人はうどんは全行程、機械でしていると思っているようですが、
手延べならではの”麺の太り方”を味わってもらいたいのです」
人気メニューは?
「夏は、上天ざる、梅おろしとじゃこめしのセット、山菜おこわとざるうどんのセット、。冬は定食A、B、天ぷらうどんです。天ぷらは揚げたてを食べてもらいたいので
作り置きはしていません」
お店に入った時から気になっていたのですが、正面奥の壁に掛けてある「徹麺業」の書はどなたが書かれたのですか?
「父が東大寺管長でいらした清水公照住職にお願いして書いて頂きました」
さすが、こだわり!
さて、それでは私たちもいただきましょう。先ずは夫の頼んだ「上天ざる」。どう?「うぅん、うどんに腰があって、じゃけど食べやすい柔らかさじゃ。 つゆは甘すぎずさっぱりしとる。この天ぷらがまたカリカリっと揚がって最高じゃな」つづいて、私の「梅おろしとじゃこめしのセット」。食べようとしたら、 お義姉さんが「つゆと大根おろしと、うどんに載ってる梅とかを全部混ぜるんよ」なるほど、それぞれの薬味の味が一気に口の中で混ざり、 うどんのクニョクニョ感と絶妙にマッチ。組み合わせのじゃこめしも、あっさりと煮上げたじゃこがご飯に合う。「な、そのじゃこ、おいしかろう?」お義姉さんは 「すぎ茶屋倉敷天満屋店」の常連。みんなで「ああー今日はうまいもん食べたなあ」と満足して帰りました。
*もう一つのこだわりの名品「すぎ茶屋まんじゅう」
地元の人からもおいしいと評判の「すぎ茶屋まんじゅう」
阿波和三盆を作る過程でとれる極少の黒糖蜜を使用。餡はこしあん。従来は賞味期限が2日程度でしたが、真空パックにしたことにより2週間までOK。
包装紙も一新し、近日販売予定です。インターネットでのお取り寄せもできるようになります。
すぎ茶屋(←クリック)さんHPです。
(記者感想)
入口を一歩入ると、正面につややかに磨き込まれた大黒柱。店内のどの席に座っても居心地が良く、ついつい長居したくなる雰囲気。
座敷の格子窓から見える新緑もごちそうです。家族や友人とうどんを囲んで、楽しい団欒のひと時が持てそうです。(三宅美恵子)
「すぎ茶屋」
定休日: 年中無休
営業時間: 11時〜19時30分(年末年始は除く)
アクセス: 車/国道53号沿い 駐車場 50台
地図を見る(←クリック)
〒709-3111 岡山市北区建部町川口1552
п@086-722-1241
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