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コロナアンケート

特集「危機の時代を生きる」 2020年7月10日発信

 今年の3月から5月までコロナで休校となった家庭での昼食はどうしたのだろう。ネット上ではさまざまな「家ご飯」レシピや苦労話が投稿されている。 しかし、じゃあこの建部ではどうだったか。その実態を調べ、次の第2波が来たときに少しでも役立つ対処方を見つけ、共有できないだろうか。
 そういう趣旨を持ってこの度、建部町公民館主催講座「ESD建部町で食品ロスを考える会」が町内の小中学校に通う生徒の家庭を対象にアンケートを実施。 その結果がまとまった。以下、「コロナ休校中の食生活アンケート結果報告」

(取材・写真 三宅 優)

コロナアンケート *「ESD建部町で食品ロスを考える会」
2017年建部町公民館講座として発足。
以来、いのちに欠かすことのできない大切な食べ物を生かし、廃棄を減らすをモットーに、家にある食材をうまく使い切る調理実習「あるもんde食事会」を 定期的に実施。会の活動を伝えるべく「あるもんde通信」を発行している。
 *問合せ:086-722-2212(建部町公民館)

「コロナ休校中の食生活アンケート結果報告」 

 
 実施期間:2020年6月1日~10日
 対象  :建部町の小中学校にお子さんがいる家庭
 回答数 :126(全生徒数280名)
 
 

 Q1・休校中で大変だったこと・困ったことは何ですか

コロナアンケート

 *最も多かったのは「食費がかさんだ」、やはりというか、そうだろうなと納得。 給食費(聞くところでは1食あたり300円ほど)を納めなくて良いとしても、その金額で同じような食事は作れない。結果、費用負担感が増大。次に多い「食事の準備が大変だった」「メニューを考えるのが大変だった」「買物が大変だった」は、これまで朝夕の食事でよかったのが、 朝昼晩となることで1日中、毎日、食事の準備をすることになり、すぐにはうまく対応できなかった様子がうかがえる。


 Q2・休校中、自宅で子どもだけで昼食をとる機会は増えましたか

コロナアンケート

「変わらない」「減った」67%が家族の誰かと食事ができる恵まれた環境だったと言える。併せて「増えた」43人の答えに 解決策が迫られる


 Q3・昼食の準備は誰が行うことが多かったですか

コロナアンケート

*ほとんどが家族で何らかの昼食準備を終えているが、いつも同じ人がやっていたとすると、逆に大変さが浮き彫りになる


 Q4・子どもと料理した回数は?

コロナアンケート

「ほとんどない」「週1回くらい」で7割、意外と少ないと感じるが、後述のコメントでは「子どもといっしょに作ることが増えた」との回答が多く見られ、 これまで、子どもにほとんどさせてなかったことに多少変化が起きたと受け止められる


 Q5・よく作ったメニューランキング

コロナアンケート

*堂々1位「チャーハン」。理由としては「子どもが好き」「簡単」など。 余りご飯でチャチャッとできる・・・チャーハンの素を使えばもっと簡単。


 Q6・挑戦したメニューランキング

コロナアンケート

「ぎょうざ」たしかにスーパーのギョウザコーナーは種類が豊富、それだけ指示されているのだろうが、味は専門店で食べるのに比べ、物足りない。 そこで「じゃあ、作ってみよう!」となった。難関は包むときの皮のヒダヒダ・・・。


 Q7・作り置きメニューランキング

コロナアンケート

「カレー」おそらく夕食で多めに作り、翌日または冷凍して何日か後。「牛丼」「親子丼」は乗せる具を小分けして保存、 ご飯さえあればいつでもOK!


 Q8・買い置きした食材ランキング

コロナアンケート

*スーパーから姿を消した「パスタ」でも、よく作ったメニューには出てこないのが不思議・・・?


 Q9・食生活に関連してこれまでと変わったことはありますか

コロナアンケート

「子どもが手伝うことが増えた」「手作りを楽しむ機会が増えた」共に良いことの変化につながった。 「不要な買物が減った」「まとめ買いや日持ちする食材を選ぶことが増えた」これも賢い消費者への1歩。


 Q10・献立や食材についての工夫をしてよかったことは?

*献立や食材についての工夫*
〇鶏肉に下味をつけ冷凍し色々な料理に使った
〇一汁一菜にして楽しく、野菜たっぷりにとれた
〇夜ご飯を多めに作り、昼ご飯に活用した
〇畑の野菜、家の食材をスマホ検索で調理した
〇牛乳、豆腐を使うことで低カロリーにできた
〇おかずの種類を野菜(茹で)・肉・卵焼と決め作った
〇普段作らない和洋中ご飯でレパートリーを増やした

*食事環境での工夫*
〇食事当番を家族全員で行った
〇子どもと家庭菜園で採った野菜を食卓に
〇おやつも手作りするようにした
〇お手伝いしやすいメニューにした
〇一緒に作り、子どもも作れるようになった
〇マンネリ防止にテントの中で食事をした
〇普段できないメニューにチャレンジした
〇親子で理科のタネで植物作りに挑戦
〇何を食べたいか聞き、楽しい時間にした
〇同じ食材でも別メニューに変えて作った
〇パン焼き器を復活させた
〇おばちゃんと過ごしてよく手伝いができた
〇食事時間を決め、起床時間もそれに合わせた
〇家で獲れた野菜でコロナの影響が防げた

*食品ロス・買物での工夫*
〇余りものでスープ、鍋、野菜の切れ端は浅漬けに
〇買い物時はメモして回数を減らした
〇冷蔵庫の中を空にして買い物に行った
〇数日分のメニューを考え、買い物回数を減らした
〇家のストックを見直し、新しい買い足しをした

 Q11・今後に備えて必要だと思うものはありますか

コロナアンケート

*断トツなのが「家にある物で食事作りをする能力、技術」自分たちの食は自分たちで作る「自給力」の必要を強く感じたのだと思われる。


PDFでアンケートすべてを見る


(記者感想)
 これより前、クックパッドが同様のアンケートを発表している。それによると、80%が料理の負担増を実感。 72%が昼ご飯に困ったと回答。料理をすることで、気持ちが前向きになったかの問に、64%が「ない」と答えている。 都市部の集計結果だと推測されるが、かなり苦痛を抱えたことがわかる。
 そして建部での結果。 その回答にも「大変だった」が顕著だが、反対に「がんばれて良かった」「子どもが手伝ってくれてうれしかった」など肯定的な感想が多いのにも驚く。
 この違いは何だろう、そう考えると建部の持つ環境(=コロナ的には人密でなくストレスが少ない環境、3世代同居または近くに親戚がいる家族環境、野菜が自給できる環境) が大きいのでは。この建部において前向きなとらえ方がまさったのは、そこに理由があるのではと考える。

(取材・写真 三宅 優)


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