たけべ楽考   建部のこれからをワイワイ楽しく世代を超えて考えるページだよ


たけべの魅力考
  

特集「たけべで暮すを考える」
建部の地をこよなく愛し、日々豊かな人生を送る人に学ぶ 2017年2月発信

 悠々自適とはいかなくても、建部には第二の人生にふさわしいステージがそろっている。緑濃い山々、せせらぎの清流、湧き出る温泉、実りある田畑。 家々は程よく並び、車の騒音も渋滞も無縁。列車は走り、市内中心部まで60分以内の短さ。東京なら最高のベッドタウン、欧米の人からだと理想的カントリーライフと 言われること必至。ところが地元民には、とんと不人気(いやいや、それは謙遜した表現?)そこで、この環境を最大に満喫して暮らしている方々に焦点を当て シリーズで考えたいと思います。第1回目は自然の素材を使って創る工芸作家、大田秀信さん。音響と映像のプライベート空間を演出する佐藤誠さん。 お二人を取材しました。 (取材 勝部公平)

*取材させていただいた方々のお名前と略歴(敬称略)
 太田 秀信(ひでのぶ) 
   昭和21年玉野市生まれ(70歳)ヤンマー(株)に勤務。退職後、建部町三明寺に移住「太田工芸」を営む。
 佐藤 誠(まこと)
   昭和24年岡山市生まれ(66歳)三菱石油(株)に勤務。退職後、建部町市場に家を建築。音響工房「NEAT」代表。

自然の移り変わりを生活の豊かさとして受け入れて暮す太田秀信さん。

太田秀信さん  太田秀信さん  太田秀信さんがお住いの鶴田の三明寺を訪ねました。
初冬のこの時期、外気温が冷え込み快晴の朝は雲海が眼下に広がり、まるで天空の城に 住んでいるようですとお聞きしていました。
 鶴田の第二堰堤の所から四十曲のような道を登りつめると三明寺地区が見えてきます。 15軒ほどの集落はほとんどの家が南斜面に建てられており、一日中、陽が当たり、 畑には白菜、大根が多く植えられていました。
 ここは奥様の弘子さんの実家で定年後の終の棲家として、第二の人生をはじめるために 大阪のマンションから移って来られました。
 コツコツ努力型の太田さんは手間のかかる細工仕事が大好き。 孟宗竹に電動工具を駆使して、星雲を彫り抜き見事な行灯に仕上げています。 また今年は瓢箪の置物にも挑戦、干支の絵付けをした色鮮やかな瓢箪が出来上がっておりました。  毎日の仕事では農作業にも専念。花好きのお母様が作られていた花木をていねいに株分けして、ボタン、菊、桜などを 畑の野菜といっしょに建部町観光物産販売所に出荷しています。
   太田さんのもう一つの趣味は写真。お気に入りのカメラで撮った写真は、RSK山陽放送の 番組「笑味ちゃん天気予報」のふるさとリポートに幾度となく取り上げられています。
 「人生は生活を楽しみながら歩むもの」と日々過ごされています。
 一方、奥様の弘子さんも大変な趣味をお持ちです。 大阪にいる頃に始めた「洋風アンティークドール」は身体から服まですべて手づくり。 顔や目が生きているかのように創られて、まさに素晴らしいの一言。 そして、二階の居間に飾られている絵はパナマの民族手芸「モラ」というもので 作った貼り絵。これも手の込んだ実に根気のいる仕事です。
 お聞きすると、これらは大阪にいた時のものがほとんどだそうで、田舎暮らしは都会では 考えられないくらい忙しくて趣味から遠ざかっているとか。
それでも「都会では、畑の花木や野菜の成育を眺めながらの生活は味わえないですよ」と 満足しきった笑顔が印象的でした。(残念ながら弘子さんは写真がNG)
 標高350mから見る雲海と夏の建部の花火を下に見れることが此処の自慢と云うお二人、 最後にこれからの夢について。
 「ゆっくりとドライブで、あちこち旅行したいですね」きっと近いうちに実現することでしょう。



ステレオの音に心ときめかせた若き時代、その夢を求めて

佐藤誠さん  佐藤誠さん  佐藤誠さんは岡山市北区の庭瀬にお生まれで、今はそこと建部町市場に建てられたお家を 行き来されています。   工業高校を卒業され三菱石油に入社、エンジニアとして社会人生活を 送られました。  その職場にはレコード部という音楽鑑賞のサークルがあり、50人ほどの社員仲間と LPレコードに夢中になったそうです。シルビーバルタン、ジュリオラチンクェッテイ、ビートルズに 浸り、サークルの部長をやられたそうです。この頃の経験が活きて、現在、地区の 一大イベントとなっている「庭瀬まちかど博物館」事務局長や町内会長、ボーイスカウトの 取りまとめ等を任されることにつながっているようにも感じます。
 45歳の時、手塚治虫の「鉄腕アトム」で描かれる未来社会が現実になりつつあるのに 刺激を受け、自分も自らの夢の実現に向って踏み出そうと決意。 映画と音楽、それを最高の環境で鑑賞する空間の実現、それこそが夢。 今いる町中では無理、そこで岡山県下を隈なく探し、10年かけて捜し歩いた結果、山奥でもなく、 街の中心に近くもないこの建部を気に入って住むことにしました。
古民家を買い受け、再生スペシャリストに建築を依頼。 プレイヤー、スピーカー、他各種の音響、映像機器を納得のいくレベルまで追い求め 取り揃えていきました。 そうして、現在のシアターが誕生、夢が形となりました。
 この間、奥様も夫唱婦随、映画会では自慢のスイーツを作って振舞われ、若い頃はご主人同様、 ガールスカウトの隊長もなされていたとか。 私どもの里山活動にも積極的に手を貸して下さり、 竹パン、ピザの生地を仕込んで頂いたりと大助かりです。
  お互いを知り尽くしていられるとお見受けの二人、阿吽の呼吸で日々楽しんでいられる姿に うらやましい限り。
 佐藤さん、最近は防災キャンプ指導員としても各地に出向き活躍。 庭瀬と建部を往復する傍ら、趣味にボランティアにと、まさに忙中閑ありですね。

*「オウルの会」ご案内*
佐藤さんのシアターで毎月第4土曜日の夜7時から、映画を観ながら楽しい語らいを。
お問い合わせ 090-8608−2263 (岡山市北区建部町市場633-1)




    前月の「楽考」を読む





トップページへ戻る