■「新たけべの彩時季」
建部で活き活きと活動する人にスポット。
第19回は前回に続き「岡山市地域おこし協力隊」として建部で活躍する高橋 律子さん。
(プロフィール)
高橋 律子(りつこ) 東京都江戸川区に生まれる。
主にホームページの制作、インタビュアー等、
企画部門を中心に仕事に就く。
昨年、「岡山市地域おこし協力隊」に採用され
活動。
現在、市民を対象にホームページ制作の指導、
また町内の各種イベント、「やまゆりの会」
などの手伝い数多くの出番をこなす。
2児の母。福渡在住。
(聞き手 三宅優)またまたお定まりの質問で恐縮ですが、1年経ってどうですか
「それこそ、もう1年経っちゃったーって。未だに自転車に乗って旭川の岸を走ってる自分が不思議だし、
ああ、本当に、私、岡山にいるんだって。東京にいたら用水路にバッグを落とすハプニングもなかったし、
ウルシにかぶれることもなかった(笑)、そう思うとうれしくてとてもぜいたくな感じ」
そうですね、全く今までと違う環境で生活を始められたわけですからね。そんな中、手探りでしょうが色んなことを体験して来られた
「ええ、ほとんどがイベントや祭事とかの手伝いなんですが、それに関わったことで、たくさんの人と知り合えたし、
ここの魅力についても発見することが多かった思います。特に週1回行っている、やまゆりの会のお手伝いではいっぱい幸せを頂いた気がします。
最初、山に登るたびに頭痛がしてたんです、でもだんだん慣れて無くなって来て。そんな高所で暮してきた私の母くらいの方たちの思いや生活を
知ることで大切な何かを授かったような。だって、お餅をつくのだってものすごくていねいに作ってるんです。先日、会の方たちから山ユリの花を
プレゼントされたんです、とてもうれしかったです」
手伝い仕事以外にも得意な分野での活動をされてますね
「ええ、自分が以前やってた仕事で何か貢献できないかと。それで1つはインタビューアーをやっていたことがあるので、建部町の人を取り上げて
その生きざまを保存したいなって。人も文化遺産だと思うんです。これまでに建部町文化センターの宮安館長さんを始め6名ほどの方にご登場頂いています。
インターネットの ”ももたろうインタビュー”と言うページです。
あと1つはホームページの制作講座を開いています。公民館や市内で一般の人を対象に”ジムドカフェ”というのをやっています。
建部中学校では”夢がかなえられるホームページ作り”と題して、総合的な学習の時間で1〜3年生に指導しています。
内容は自分の夢をホームページにする。例えばパティシエになりたいとか、自衛官になりたいとか、それをインターネットで資料を集めたりしたのを
まずは紙に切り張りでイメージ作りをして、それをネットの画面にしていく。子どもたちも面白いと言ってくれて、この9月23日の発表会に向けて
がんばっています。その後、小学校を予定しています」
それはいい授業ですね。子どもたちが自分の表現ツールとしてパソコンを使えるようになるのは。
ところで最近、農地を購入されたとか。そのあたりのことをお聞かせください
「はい、品田で耕作放棄地になっている田畑を譲って下さる方がいて、最近はそれに大半取り組んでいます。草刈り機を買って毎日、汗だくで。
何で始めたかと言うと、そこで桑の木を育てたいと思ったからなんです。桑は漢方でもよく使われますが、糖尿病に良いとされるDNJが多く
含まれているんです。それと桑の葉は腸内で水素を発生させ、体内を活性化させるんです。乾燥させてお茶にしたり、化粧品に練り込んで
、根は漢方薬としてサプリメントの幅広い利用の可能性があります」
展望としてはどのようですか
「これまでに京都工芸繊維大学の桑博士に教わり”ハヤサカリ”と言う苗木50本を購入して植え終わっています。
まだ苗木ですが、3年後にはだいぶ成長すると思います。それまでに具体的な活用を考えたいなと思っています。今は
回りの草刈り、それをしてたら知らない間にうるしにかぶれたんです。前の用水脇に止めてた自転車が倒れて、
荷物かごのバッグが水に流されたのもそんな折り(笑)」
ほんとにスローライフな夢ですね
「私、ここに来る前から岡山に自給自足の田園都市をつくりたいと考えていたんです。あの東日本大震災の時、東京集中の今のあり方にとても危機感を持って。
比較的に災害の少ないこの岡山ならバックアップ都市として理想的だと感じて。東京の仕事を通じての仲間、と言っても同年齢の女性たちばっかりですが、
そこで話し合ったら、まずは身の軽くなった私が先遣隊で行って来いってなったの。先日、そんな友だちがやってきて、この建部をすごーいいい所だねと言って帰りました」
それは大いに期待したい話ですね。第二の人生をここで送るかも知れない予備軍の方が
高橋さんの動向に注目している。町民としては是非とも成功に導かなくては(笑)。
最後ですが、ここに来て相談できる人とかできましたか
「いえ、特にはできてません。たぶん毎日、東京の友達とも話してるし、それに家に帰ると猫がいるから一人で寂しいということも
まったく感じないんだろうと思います。それに毎日やることがあって、めちゃくちゃ忙しいですからね(笑)」
ありがとうございました。
(記者感想)
今や町内で「りっちゃん」の愛称で呼ばれるほどに、ここに馴染んでいる高橋さん。この一年の活動では新聞取材に訪れた記者と何度もバッティング。
その度に、よくがんばってるなあと感心していました。情報企画系かなと見ていたら、なんと農業分野に進みだしたのには驚かされました。
話の中で東京に同年齢の次の生き方を模索する女性たちの存在があると分かり納得。
猫談義では、自慢の「琴ちゃん」の写真を前に「目が何とも言えないくらいかわいいでしょう」と親バカならぬ
猫バカ?ぶりを発揮、皆から親しまれる一端が垣間見れました。
川で泳がなくなった。山で遊ばなくなった。田んぼで泥んこになることもない。
「そんなことではダメじゃー」と、自然とのふれあいをテーマに毎年開かれて来た、
めだかの学校主催「親子環境学習サマースクール」
今季もその1回目が開かれた。会場は建部町にあるB&Gの施設。参加したのは市内中心部からの14家族36名。
さっそく午前中は「カヌー体験」と「ロープワーク」2班に分かれての活動に入った。
カヌーは誰もがやってみたい、が難しそう。その通り、大変技術を要する。その辺を十分に理解するB&G職員の
インストラクターの指導のもと、パドルの漕ぎ方から艇への乗り込み、帰還するまでをダイジェストに教わる。
天気は曇りだが湿度はムンムンに上昇、早く川に漕ぎ出したいと気持ちがはやる。
一方、別班はこの間「ロープワーク」。ベテラン船長、古本博史さんが教えるのは2つの結び。「巻き結び」「もやい結び」
共に基本中の基本、生活のあらゆる面での活用が可能な優れもの。が、図解は簡単なのに、これがなかなかうまくいかない。
2班のチームとも体験を終えた後は昼食。木陰にいても蒸し暑いのだが、スタッフの用意した冷たくて甘ーいスイカで一時の涼。
そして午後からは炎天下、歩いて上流、沢滑りのキャンプ地へ。もう、みんなかなり疲れ気味?と思いきや、水しぶきを上げる
旭川の流れを見るや、説明を聞く間もなく次々にジャボーン。「ウッヒャー気持ちいい!」それから「うっわ、痛え」「痛たー!」
川底の石にお尻や背中がぶつかるたび悲鳴。でも、早瀬に乗ってしまうと「わー気持ちいいー」
お父さんも「おっ、こりゃあすごいー」と感激。
そうしているうちに、いつしか空も怪しげに。「では、ここらで帰還します。帰りは川を歩いて横断します」
経験したことのない体験、建部の自然とがっぷり四つ、良い思い出ができたでしょうか?
次は8月26日(土)、森と遊ぼう!
(取材・写真 三宅優)
九州の集中豪雨が起きたばかり、今日の蒸し暑さも半端ではない。こんな日にもし災害が起きたら
どうすべきか、何が必要か。
毎年、建小の学P主催で行われてきた夏のキャンプ。今年も屋内に宿泊する1泊2日のキャンプが開かれた。
そこに、昨今の日本各地で起きている予期せぬ災害に対して、建部地区も子どもたちと一緒に認識を深めようと、
建部町公民館が企画した防災ワークショップが加わった。
講師には我が「たけべ新聞」編集長でキャンプ協会理事も務める勝部公平、ボーイスカウト団長にして防災に詳しい佐藤誠氏が
招かれての半日、どんな成果が生まれたでしょうか。
午後2時から始まったカリキュラム、最初は「ココアホットケーキ」作り。なんで、これが防災?そうなんです、
苦しい状況を想定しても楽しみながら学んで欲しい、公民館職員の知恵の結集。
「災害で一番不足するのは水、その水をできるだけ少なく、最悪、泥水でも使える。それがこのビニール袋で作るホットケーキです」
なるほど、ビニール袋で密封し100度のお湯で煮る。水の良し悪しは関係ない。これならやれそうだ。
次も特殊なポリ袋で炊くお米。わずかの水で洗米から炊飯まで。外ではマキ窯がスタンバイ。枯れ葉、松ぼっくり、牛乳パック、新聞紙で
火を起こす。その手順をこと細かく説明。実際にやってみると1分足らずでボーボーと火が立ち上った。これには子どもたちも
「ああ、すごい」と見とれるばかり。
このあと勝部編集長が故郷、陸前高田で遭った東日本大震災の模様、その時に生死を分けた行動などそこからくみ取れる教訓について話しをした。
料理室からはお母さんたちの準備しているカレーの香ばしい匂いが立ち始め、いよいよ佐藤さんの「何にもないときに、どうやってご飯を食べるか?」
新聞紙で作るカレー皿、スプーン。カレー皿はベースを新聞で作りそこにビニール袋をかぶせる。スプーンは牛乳パックの底辺4隅を三角錐状に切る。
なーんだ、こんなことでできるのか、目からうろこ。
時間はもう夕方5時、西の空がゴロゴロ、残念ながら記者は洗濯物が気になるので退散。このあと、子どもたちには新聞皿にのせて食べるカレーの夕食と、
風呂代わりの温水プール、花火、そして恒例”理科室のきもだめし〜”(怖そー)
まだ夏休みは始まったばかり、でもこの暑さ、大人はすでにかなりギブアップ。40日間どう乗り切れるか?
(取材 三宅優 写真協力 建部町公民館)
毎年この時期に行っている伝統行事、これから夏にかけて健康で過ごせますようにとの願いを祈る
「茅の輪くぐり」。
この日、それを明日(17日)にひかえて天神宮の氏子は朝早くから準備に余念がありません。
田地子の山奥に行って茅を刈り取り、軽トラいっぱいに載せて境内に運び、
それを男結びという方法で大きな輪に丁寧に編んでいきます。
この「茅の輪くぐり」は秋の大祭に次ぎ、例年大勢の家族で賑わうとのこと。
ちなみに「輪くぐり」とは本来、夏越の祓(なごしのはらえ)と言って、正月からのけがれを
祓いこれから半年の無病息災を願う行事だそうです。
(取材・写真 勝部公平)
7月16日、3連休の過ごし方もいろいろ。杖を片手にリュック姿の面々、
里山の鳥越池を通過し、夙山(あしたやま)のすそ野の足守往来を軽やかにウォーキング。
「建部歩こう会」のメンバーでした。一行は成就寺の旧参道で初夏の草花に触れ、往時の旅人も眺めた
三重塔の風景にのんびりと浸っておりました。
(取材・写真 勝部公平)
最近では珍しくなった家の棟上げの”餅なげ”。子どもの頃はよく「どこそこで、餅投げがあるで」と聞くと全身の血がグワーッと逆流して、
いてもたってもいられなくなって出かけたものだ。
その頃の大人と言ったら子どもを気遣うなどかけらもなかった。せっかくつかんだ餅を
もぎ取られ、手を踏みつけられたりで弱肉強食の世の厳しさをを子どもながらに学ばされた。
今は穏やかだ、軍手をして臨んだのは記者だけ(よほど手を踏まれたのが忘れられない)。
さて、このたび家を新築したのは「たけべ新聞」のサポーターでもある同じ石引の河本貴文さん。
数年前に実家に戻り、離れを新しくして住んでいたが将来を見据えて三世代が暮らせる家を建てることを決意。
この大望を引き受けたのは、これも当新聞、編集委員で
1級建築士「まるや住宅設計」の松下泰成さん。
共に福渡町内に住み、互いの気心が解りあえる仲。男たる者の一生で一度の大仕事、決して手は抜きませんと松下さん。
夕方5時半、過ごしやすくなった頃、子どもらがぞくぞくと集まって来た。大人たちも手に袋を下げてニコニコとやって来た。
施主の貴文さんのあいさつ。
「この石引で暮すために家族で戻ってきました。これから三世代で住むために家を建てます。
これからも我々家族のことをよろしくお願いいたします」(拍手、拍手!ガンバレ!)
この日のことを河本家の子どもたちはどう記憶するだろう。またしても個人的な思い出で恐縮。
父が家を建てた、「なんぼ?」って聞いた。「百万円じゃ!」
その日、棟上げで友だちに向かって餅をいっぱい放った。父を心から「偉いっ!」と思った。
(取材・写真 三宅優)
暑い暑い、でも、ここ「めだかの学校」おもちゃの館はひんやりとして勉強するには最適。
恒例、めだかの学校主催「夏休み自由研究応援」教室が先日、市内の家族20名が参加し開かれた。
内容は2部に別れ、前半は「旭川の石に絵を描こう」と題した創作授業。後半は建部で観られる
魚、水生昆虫など生きものについて学習。
今回は今年で6年目になる前半の記者が受け持った”石に描く”について報告。
このカリキュラムを思いついたのは、画一的な学校教育の補えない部分を補てんする方法はないかと考えてのこと。
同一の白い画用紙に全員が向かうのではなく、一つとして同じものがない自然の石に描かせる。
人がそれぞれに違う個性をもって生まれるのと同じく、色も形も異なる素材からスタートする。
絵を描くことと、自分の人生をいきることとを重ね合わせたい、そんな思いからだった。
ポイントは石を活かすこと(=自分の個性を活かす)絵具ですべてを塗りつくすのではなく、形を活かし色を活かし質感を生かす。
絵が加わることで石の存在感を増すように。
結果はいつものことだが、講師の予想をはるかに超える作品が続出。今回も石の魅力満点の作品に出会えた。
年に1回のこの授業だが最近は旭川の汚れがはなはだしく、美しい石を見つけるのも困難になってきた。そんなことからも
環境の悪化について学べるのも皮肉なことかもしれない。
(取材・写真 三宅優)
昨年の感動が鮮明な方も多いのでは。今年も建部町文化センターにピアニスト、アンドレイ・ググニン再来。
そして、さらにビッグなニュース。世界で最も優れたチェロ奏者と言われるボリス・アンドリアノフが共演。
アンドレイググニンは2016年シドニー国際ピアノコンクールの優勝者として今、もっとも注目を浴びている若手ピアニスト。
その彼と組んだのがロシアを代表するチェロ奏者で目下、モスクワ国立音楽院教授を務めるボリス・アンドリアノフとあっては、何が何でも
聴きのがすわけにはいかない。
それがどうしてまた建部なんかに? それはググニンさんが建部を大好きになったから(記者の勝手な想像)
アンドリアノフが使用しているチェロの名器「montagnana(モンタニャーナ)」を持参するかは定かではないが、
建部町の宝物「スタインウェイ」とチェロの二重奏がどんな音色を醸し出すかが楽しみなところ。
そして演奏曲目がまたとびきりうれしい。
チェロと言えば、バッハの無伴奏チェロ組曲。テレビCMでも。
ストラヴィンスキーのペトルーシュカ第三楽章もピアノ曲として有名。
サンサーンス「白鳥」は知らない人はいない。「ヴォカリーズ」、ピアノの出だし「タンタンタンタン・・・」から続くチェロの
「VVVーVVVー・・・」。あの韓流ドラマ「火の鳥」でもバックで使われていたラフマニノフの名曲。
まさにおいしいとこ取りの豪華版。さあ、今年も建部はワクワクがとまらなーい!
チケット発売は今月20日から、公演日等は以下の通り。
演奏曲: バッハ 無伴奏チェロ組曲
ストラヴィンスキー ペトルーシュカ 第3楽章
サンサーンス 「白鳥」
ラフマニノフ ヴォカリーズ 作品34の1
公演日時:10月1日(日)
14:00開演 (開場13:30)
入場料 小学生以上 前売り3000円(当日4000円)
*全席指定、小学生未満は入場できません
*チケット販売所
建部町文化センター086‐722-9111
西川アイプラザ 086‐234-5877
岡山シンフォニーホールチケットセンター 086-234-2010
主催 建部町文化センターコンソーシアム
福渡第二保育園が休園で今年の夏はちょっぴりさみしいなと思ってたら、福渡保育園の夏祭りに行くことができた。
いたいた、第二の園児たちも。みんな元気にやってるじゃないか、良かった、よかった。
さて今日はどんな催しがあるのかな。
「うん?とんとん相撲?」行司は「みやけゆう之介」(な〜んだ、私ではないか)と言うことで記者も「いっしょに遊ぼうコーナー」を
受け持ちました。
オープニングは黄組さんが鳴子を持って、赤組さんが竹太鼓、桃組さんも友情出演、ぼんおどりだー。しっかり汗をかいたあとは、
お楽しみコーナーへ突進ー!。
ボウリング、わなげ、広告プール、プリクラ、ゲームコーナーはあそびきれないぞ。作ってあそぼうコーナーは、おめん、めがね、なるこ、
親子でいっしょに作ろうね。中庭では涼しげな、ねこすくい、魚すくい、ジュースすくいもあるぞー。
記者のとんとん相撲も大人気。ドラえもん丸にバイキンマン山、あんパン錦にちびまるこにしき、きみはどのおすもうさんにする?
いっぱいまわったさいごは、「じゃんけんであそぼう!」ふしぎなメガネとかつらをかぶった先生とお母さんが進行役。
ジャンケンポンリズムに合わせて、さあどっち?ゆうぎしつは、満場のだいばくしょう。
さてさて、園児たちがお腹をすかせたようなので、行司もお相撲さんをつれて帰りましょう。「また来年来ような、ちびまるこにしき」
(取材・写真 三宅優 松下りえ)
庭に立ち幸せ過ぎるとつぶやいたあれは昨日のようにも思えて
どんよりと凡人我の受けとむる乳癌告知、乳房喪失
ベッドより夏の夕空見上ぐれば日ごとに数をましゆく蜻蛉
建部町鶴田に生まれ育った歌人、吉村明美(旧姓・渡邊)さんの第三作目となる歌集が出版された。
「幸福な時間」と題されたこの歌集には2006年からの386首が収められている。
短歌でも詠まれているように吉村さんは今、癌を患い闘病中だ。昨年の3月に受けた検査で乳癌が見つかり、
その術前に脳腫瘍も見つかって7月に手術。そんな大変なときにも”詠むしかあらず”と
作りつづけていた。
直売所にぎわう朝の声々のなつかし「ありゃあまあどうしよんでえ」
「晩げじゃけえはようかえってこられえ」と母の声背に秋の夕去り
これは2012年7月、建部町公民館発行の新聞「タネピリカ」1周年に際して作者からいただいた2首。
本歌集にも収められている。今回のことを捉えて吉村さんは、あとがきにこう述べている。
「この歳になって、幸福って、目の前にあるそれを感じ取る力が持てるかどうかではないかと青臭いようなことに思い至りました。
・・・今は人生を楽しんで味わおうと思っています。何より私は癌になってから、良く笑うようになりました」
おばあさんになれるだろうか立ち止まり冬の木洩れ日手のひらに受く
癌告知受けてこの世の面白さかけがえなくて我よく笑う
(最後に歌集帯文に寄せられた青木昭子氏の言葉より)
生きよ!吉村明美さん
(記事・三宅 優)
歌集「幸福な時間」
著者 吉村 明美
2017年6月30日発行
発行所 本阿弥書店
定価 2700円(税別)
先月の人気テレビ番組「ダッシュ村」で紹介されて話題の里山建部グループの「代満(しろみて)祭り」が今日行われた。
「代満」とは、苗代が植え終わった(満ちる)ことを指す言葉で、以前は全国にそれを祝う祭りがあったそうだ。
今は共同で農作業をすることもないので、互いをねぎらう習慣もなくなった。それなら、復活しようと昨年から
富沢地区を中心に「この日は作業を休んで、皆でくつろごうや」と呼びかけが行われた。
朝から夙山、鳥越池前のキャンプには子どもからお年寄りまで30数名が集まり準備に入った。
何はともあれ、儀式は厳粛が基本。サカキと苗、タコをお供えしてから、本田義章氏によるお清めが行われ
、今年の豊作と参加者の健康が祈願された。なぜタコか?、一説には「タコのように苗が根を地に吸い付くように」との願いからとか。
東屋の下では自前の炭が準備OKと出番を待っている。ちなみにお昼は「タコ飯」「タコ刺し」「タコ酢」と飽くまでタコ。
それと、わざわざ倉敷、西阿知から差し入れに来られた焼き鳥「とん太」さんの「カシラ串」。
実は里山建部の作った炭を「とん太」さんのお店で使用することになったとか。
”乾杯!”、お昼前には湿度100%?気温も急上昇、ビールがもっともうまい状況に。取材のオニビジョンさんだけが
汗だくでの仕事となった。(同情票1)
帰り、あちこちから草刈りの音、記者も早朝に終えて駆けつけた。おそらくどの地区でも梅雨の合間をぬって、ここぞと一斉だろう。
これからは「しろみて」に代わる、草刈りの共同作業が終わった「草みて」の祭りが必要かな、などと考えてみた。
(取材・ 三宅優 / 写真・ 花房功基)
先月の建部のニュースへ