「人は皆、宝樹(金)を欲しがるが、一番望むのは保寿、すなわち寿命を保つこと。
その人間が最も望んでいる保寿と宝樹の願いから法寿とつけられた」(建部町史より)
ここ霊験あらたかなる法寿山には、昔から多くの人がその御利益にあやかろうと参集してきました。
阿弥陀様の周辺には売店が立ち、一年を通じて線香の煙が絶えなかったそうです。
また周辺に散在するBC6~7世紀とされる古墳群は旧建部町の頃には町指定重要文化財となりました。
ところが近年になるとしだいに足を踏み入れる人も少なくなり、道は灌木に覆われ、古墳群も土に埋もれて、あったことさえも忘れ去られてきました。
そんな中、去年、この状況を憂う4人の地元民が発起人となり、昔のように人の歩ける山にしようと復活に乗り出しました。
それから数カ月にわたり延べ80人近くが参加して木の伐採、草刈り等を行い、この3月には第一次整備を終えて「歩きぞめ」が開催されました。
まだ往年の姿には及ばないかもしれませんが、新たなる建部町の観光スポットとしての光も見えてきました。今回は、この法寿山「たけべ古道」の魅力を取り上げたいと思います。
●スタート「七社八幡宮」〜境内、裏山〜妙見様〜阿弥陀石仏〜池の乢池〜頂上
〜池の乢池〜18号古墳〜23・24・25号墳〜妙浄寺〜1号墳終点
*26・27・32号墳は記者未確認。
ではルートにそって私といっしょに歩きましょう。まずは「七社八幡宮」。既に本特集にて紹介しました「建部まつり」の総氏神となる神社。
拝殿で「安全登山」のお願いを済ませたら、神輿の仮置き場脇の道を登ります。比較的、なだらかなスロープが続きます。
少し行くと銀色の屋根が見えてきます。「こんなところに人家?」と、恐る恐る庭先に足を踏み入れると、そこは広い境内となり「妙見様」の拝殿が建っていました。
「妙見」とは北極星を意味する言葉で古くから信仰されてきました。60代以上の人に聞くと学生時代はここがデートスポットだったそうです。
そんな青春時代を懐かしく思い浮かべたら左奥上へ進みましょう。
緩めの坂を登ること15分ほどで、視界の開けた展望台が見えてきます。「阿弥陀如来石仏」のあるビューポイントがここです。
「まあ、福渡や旭川、もっと向こうまでが一望じゃ」と感嘆した後は、じっくり阿弥陀様を拝見してください。
高さ2.6m、周囲7.2mの大岩に彫られたなんとも優しい顔の仏さま。造られたのは鎌倉時代ともいわれています。
せっかくなら庭のお花を摘んで行き、お供えすると喜ばれますよ。
さあ、もう少しで頂上、途中で見つけた棒きれが杖代わりとなり大活躍しました。ここからはちょっと急ですよ。我慢、我慢で歩み続ければ右手に静かに
水を湛えた「池の乢池」が姿を現します。池を回り込むように前進すると14・15号墳の道標があります。
しっかり見学して登ればヤッター!頂上制覇。
標高212mの法寿山てっぺん、でもここは見晴らしも悪く、ただ周辺の倒木にドッカリ座り弁当を食べるしかありませんが・・・。
お腹も満腹、では腹ごなししながら下山しましょう。下りは楽ちん、だけど落葉で滑るから注意。案内によるとこの辺からが古墳群・・・。
道の右側斜面に見つかりました、18、23、24、25号。特に24号は石棺も立派で保存も良好。中に入ってみたいけど、怖い気もする?
どんな人が葬られていたのだろう・・・。いにしえに思いをはせつつ、ゆっくり森林浴をお楽しみください。
頂上を境に登りコースと帰りのコースで植生の違いを観察するのも楽しみ。
これからの季節、シュンラン・カタクリ・チゴユリの山野草、タラの芽・コシアブラの山菜、スズランのようにかわいい花が咲く馬酔木(アセビ)・ヤブ椿・山ツツジ・山桜が。
どこからともなく聞こえてくる、鳥のさえずり・・・あなたは何に出会えるかな。
やがて、きれいに整備された墓地の一角にたどり着いたら、もう終点の妙浄寺は目の前。寺の境内で一休みさせてもらっていたら、
鐘楼の脇に植えられた、ボタンのように大きく咲く、真っ赤な八重椿に眼福。
あとは、ここから裏道沿いに少し行くと1号墳がありますのでそこを見学してから、本日のスペシャルタイム「たけべ八幡温泉」でリラックスを
満喫しましょう。
お帰りはピッツェリア「マル屋」さんの本格ピザと
「サニーデイコーヒー」さんの自家焙煎珈琲をおみやげにどうぞ。市内中心部から40分、健康に良く低予算、大満足の半日ウォーキング、ぜひともおすすめです。