Fukuwatari
DOREMI FAMILIA
「終の棲家ノート」
都会で20数年、気ままに暮らしてきた私こと48歳”おねえちゃん”。
15年勤めた仕事に見切りをつけ、念願の田舎暮らしを決行。頼りに
するのは、畑も田圃も興味ないうちの人、58歳”おにいちゃん”。
はたして二人は「終の棲家」を得ることはできるだろうか。
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終の棲家に辿り着くまで、迷わないようにと書いた「私の希望の田舎暮らし」図。
(2010年12月末)
ピンポーン
念願の台湾には12月14日まで行ってた。夜中、福渡の
駅に着いて歩いていると、どこも真っ暗でひっそり、台北の
喧騒にすぐにでも戻りたくなった。
「ねえ、どうして私たちこんなとこに来たんだろうね」
「そうだなあ、人が生きているように見えないなあ」
ずっと気にもしなかったのに、何だか急にここがとても
寂しく思えてきた。
とは言っても着いたら着いたでやること目白押し、まずは
来年1月から始る平松さんの写真展準備。
会場作り、ポスター、DMは年内に終えなくては。
”ピンポーン”、あっお客さんだ「はーい」
「あっこんちわ、こんど前の田んぼを借りてやることに
なりましたんで、よろしく」
この間、初めて来てくれた雨宮さんたちだ。あのインド
演奏会の後、主催したご主人と奥さんで訪ねてくれた。
「へえ、じゃあ、あの荒れたとこを耕すんですか?」
家の前の三枚の棚田は灌木が伸び放題、どうにかならない
かなあと話してた。
「ええ、まあそんなとこです、仲間がいる間に一気に
刈っちゃいますんで」
組の皆が困っていたのに誰も手をつけようとしなかった。
それを、他所から来た若者らがやると言う。
「結局、中の人はあきらめてて、外からの者が変える。
そういうことだ」うちのが確信したように言った。
今年もあと3日だ、来年は何か新しい広がりができそうな
そんな予感がしてきた。
(つづく)
「今度、前のたんぼをやります!」
(2010年11月)
シタールライブ
「あの明日、僕の友達が主催するシタールライブがあるんで
来てください」
そう頼まれても私はとんと音楽に興味がない。「あなただけ
行ってきな」それでうちのが夕方出かけた。
それから1時間ほどで帰って来た。
「どうだった、盛況だった?」
「こんな町でインド音楽に人が集まるわけないだろう」
「でも、演奏はよかったんでしょ?」
「うん、まあ・・じっと聴いてるムードと違うからなあ」
その夜、描いた絵日記に踊る西村君と仙人のような人。
「これ誰?」
「ああ、それがエミちゃんの近くに住むとんぼ玉の人だよ」
とんぼ玉、そういえばエミちゃんから聞いていた。
倉敷の路上でずっとガラス細工を売ってるとか。
ふーん、いろんな人がいるんだねえ。
私達より以前にここに越してきて、田んぼをやったりパンを
作ってる若者がいるのは耳にしてた。アイターンホームの
田中さんからも教わってた。だけど自分たちから積極的に
知り合おうとは思わなかった。
私達、2人のやることで手いっぱいだもん。
まだ、そんな気持だった。
(つづく)
シタールライブ
(2010年11月)
ロック
1年が過ぎて気がつくといっぱい知り合いができていた。
渡邊さんご夫婦は言うに及ばず、同年齢の難波さんご夫妻。
はじめて神庭の滝ドライブに連れてってくれた。
下に住む古本さん、蕎麦、うどんを打っては届けてくれる。
映画会をやってる佐藤さん。うちのとじっくり映画談議。
鴨井ご夫妻、古民家再生、本格農業、教わることいっぱい。
岸のエミちゃん。元町会議員で商工会女性部長、頼りになる。
そして思わぬきっかけからまた別のつき合いが広がった。
京都から越してきた若い夫婦。たまたま上の牧場まで来て、
子供が車のドアを中からロックし立ち往生。
組合長の奥さんが通りかかり、車を貸してくれ合鍵を取りに
戻れた。そんな関係で口を聞いて、
「ここにも東京から来てギャラリーやってる人がいるよ」
で、訪ねてくれた。
西村君夫婦。自然農法の田と菓子販売を目指している。
住んでる太田の家に行ってみた。いい構えだ、私が最初に
欲しかったのはこんな家だ。使い方も頓着なし。当り前に
田畑に溶け込んでいる。今、お腹にいる子は自宅で出産
すると言う。
「なんだか若い人の方がずっとたくましいね」
「お前なんか、間引いた人参が可哀想なんて・・・」
そんな西村君がある日やって来た。
(つづく)
神庭の滝ドライブ///西村君を訪ねる。
(2010年10月31日)
ハッキリ
やっと少し慣れてきた、ここの生活。ちょうど1年目。
今日はお祭り、うちのも神輿行列の役を受け張り切って
出ていった。
午後から雨、「ただいまー中止だよー」
「あれ、じゃあ全然役にたてなかったの?」
「うん、まあね・・それよりこの前の奉納金」
先日、神社の世話係の人が奉納金を集めに回った。
皆さんお幾らですか?いや、各家それぞれです。
そう言われ、じゃあ2千円と渡した。名前を
記帳する際、見ると上の家は皆5千円。
うーん、・・まあいいか、見栄を張っても仕方ない。
「それが境内ずらっと金額順に名前が書かれてたんだよ、
当然うちは最後、それも2千円は1軒」
「ひゃー、そうなの?知ってれば3千円にしたのに」
わざわざ恥をかきに行ったようなものか。
「でも、うちはこうなんだって、ハッキリしたよ」
「そうだね、お金は下のつき合いがいいよ」
「よし、じゃあ来年は千円にしよう!」
えっ、そりゃあ・・あんまりだわ。
(つづく)
(2010年10月半ば)
エネルギー
雨の少なかったこの夏、柿も栗もいっぱい実を落とした。
結局、柿はまったく成らず、栗はそれでもほどほどついた。
早速、マロングラッセにした。当面はギャラリーのお客
さんも来なそうだし、あとは本格的に畑仕事に専念でき
そうだ。
うちのは山の石拾い。ただ採るのは馬鹿らしいと集めて
は下に運び、裏庭に敷いてる。雨が降ると地面がぬかる
んでいやだとか。
卵くらいの大きさであわせてるのでたいしてすすまない。
「やっても効果ないんじゃない?」
「そんなことないぜ、全部敷いたら気持ちいいぜ」
手押し車で2回、3回、ちょっとずつ埋まってきた。
「根気だよ根気、これが最も確かなエネルギーだぜ」
なら私も耕すぞ。
秋も深まる10月半ば過ぎ、畳6枚分の畑を開墾。
かぶ、小松菜、ニンジンを植えた。
よーし、これからもっともっと広げるぞ。
「おい11月末、台湾片道7000円で出てる。どうする?」
えー?行くいく、絶対に行くー!
(つづく)
コツコツ石集め////畝も広がる。
(2010年10月初め)
エアメール
水墨画展が終わったら早速、次の企画。去年うちのが描いた
作品10数点を2階に展示。1階は私が外国から母ちゃんと
それに私自身に送った絵葉書を集めて並べる。題して
「私からのエアメール展」
ディスプレイはガラスの入った窓枠を使うことにした。これだと
ハガキの両面が見れる。あと赤と青のイタリアのポストも段ボール
の箱でこしらえることにした。
「ねえ、いつから始める?母ちゃんに送ってと頼んだ葉書、
最近のだけで前のはどっかやったみたい」
「なら、ちかちゃん(姉)に出したのを借りれば?」
「うん、じゃあそれが届いたらにしよう。ああ、でも
なんだか眺めてるとまた旅行したくなるね。最終日は
11月の最後の日曜で決まりだから、12月の初め
あたりどっか行ければいいね?」
「ぜーんぜん、そんな気起きないねえ」
がっくり、もう1年もどこにも出かけてない、岡山だって
何も観てない・・ブツブツブツブツ。
いきたーい!
(つづく)
硝子戸をディスプレイに////ポストも作った。
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(2010年9月19日)
ホッ
「ええー、本日はお忙しい中このような催しにおいでいただき、誠に・・
思えば、私が水墨画を始めて・・・」
「あああ、とにかく演奏してもらいましょう、リーマンズさんです!」
こうしてはじまったハワイアン、フラガールズが踊る「月の夜は」で
最高潮。あっという間の1時間だった。
お菓子は60皿を用意したけど足りたのかどうか。ワッフルも全部焼いて
お持ち帰りもしてもらった。
「はあー、どうもお世話様でした、お疲れさま」
「いえー、渡邊さんこそ、がんばっていただき、後でくたびれを
出さないでくださいね」
「いやあ私はほらこういう仕切ってやったりするの好きだから」
「元気ですねえ、私なんか今朝までハラハラドキドキで」
「でもよかったじゃない、大盛況で」
「そうですね、本当に大成功だったですねえ」
当初、こんなに多くの人に来てもらえるなど考えもしなかった。
それが思いもかけないほど・・・。
ああ、でもとにかく終わってホッと肩の荷が降りた、そんな安心感に
浸れる締めくくりでした。
(つづく)
(2010年9月19日)
ハーイ
朝だ10時だ、ハワイアンだ、全員集合!
スタッフは私達に渡邊ご夫妻、長女の明美さん、次女の智美さんと
息子の良平君、それに佐藤さん奥様とイタリアンシェフの息子さん。
太陽は今日も熱く輝いてる。
みんな、役割はわかったかい?
「ハーイ!!」
料理班、会場設営班、カメラ担当、ワッフル焼き係・・。
楽しいね、緊張するね、何人ぐらいになるんだろう?車は大丈夫か
なあ?お皿は足りる?ジュースはこれぐらいでいい?
あー、あー、もう正午になるよー。
じゃあ先にお昼にしよう、そうしよう。
ばあちゃんのお握りおいしい。
やっぱ、こうして皆で食べるのが1番じゃ。
これ、いい味、作り方教えて?・・・。
あっ、バンド到着。
「よし、イタリアンシェフ、フルコースランチお願いします」
「了解!」
1時半、フラガールズが来館。
「ねえ、すごいよ、駐車場、満杯だよ!」
「ええー!!!」
開演まであと20分。
スタッフ全員集合!////駐車場はすでに満杯。
(2010年9月18日)
ヤッター
いよいよハワイアン明日に迫る。
今夜は徹夜で準備だ。でも大半はうちのがやるお菓子づくり。
すでに好評のチーズとリンゴのタルト、芋ようかん、パウンド
ケーキ、キッシュにベルギーワッフル。それとバンドの方に出す
昼食もある。
これは、イタリアンフルコース。「たいしたお礼ができないから、
それくらいはせんとのう」
「ほんとにそんなことまで明日、手がまわるの?」
「大丈夫だよ、強力な助っ人を手配してあるから」
映画会を主催する佐藤さんから息子さん(イタリアンシェフ)を
寄こすからとうれしい電話、ヤッター。
これで一安心だぞ、でも一体お客さん何人こられるんだろう?
皆目、見当がつかない。幸い天気は暑いだけで雨の気配なし。
まあ40人として下足札は50枚用意しておこう。
あとは開場設定は座敷の襖と障子をとりのぞいて、これなら60人
は入れる。
あっ、もう12時過ぎて当日だ、よし最後の点検。
さあてどうなることやら、ハラハラ、ドキドキの前夜でした。
私だって踊ります。////お菓子と昼食メニュー。
(2010年9月2週)
タネ
9月も2週に入ると連日の観覧者。
そうか、駆け込みなんとかとはこういうことか、妙に納得。
でもほとんどの方が渡邊さんの人柄を慕って来られてるので
微笑ましくもある。
「おーい、きょうのお菓子ストックはあるのかあ?」
「ううん、きのう完売だからあとは煎餅くらいかな」
「じゃあ、なんか作らんにゃあならんのう」
お客さんには出来るだけ市販でないものを出すようにしてる。手作り
ギャラリーだし、そのほうが話のタネにもなる。
「まあ!これご自分でつくられたの?」
「いえ、うちの(主人)がこさえました」
「・・え?ご主人が?・・」
このちょっと驚かれるのが嬉しいらしい。
「ここんとこパウンドケーキばかりやってるから、タルトにして
みるか」
「ううー、やりなれたもんがいいんじゃないの?」
「おまえが食べるんじゃないから心配するな」
とほっー。
出来あがったクリームチーズタルト、これがなかなかいける。
「うん、”ハワイアン”の日のメニューに合格!」
「まだまだ、おっつかないよ、あと5品は挑戦せねば」
ヒェー、そんなに私、いっぺんに味見できないよー!
「何を心配してんだ?」
連日のお客様////うめえ、うめえ、チーズタルト
(2010年9月はじめ)
エヘン、エヘン
いよいよ、子供の頃で言えばあと1日しかない、宿題すんでない!
の夏休み最後。午後から地元「鬼ビジョン」TVの撮影。
ああ、お客さんは絶え間なくいらしてるしテレビでも流れるのに、
まだハワイアンの方は踊り手が決まってない。
「まあ1度、フラ(ダンス)をやってるその人を訪ねようよ」
翌々日、旭川を隔てた集落へ向かう。
「こんにちわ、私たちこんど家でハワイアンバンドの演奏会を
やるんでぜひ踊っていただきたい・・」
「それがまだ1度も人前でやったことないのよ」
「どうにかなるよ、みんな初めてだから面白いんだよ。きっと
来てくれるよ、大丈夫だよ」
そう?あなたはそかもしれないけど私は心配で"エヘン、エヘン"
咳こみそうだよ。
でも、まあいいか・・・だめなら踊りは自分達で・・。それに
考えてみれば夏休みの宿題だってやらなくても、何事もなく
ここまで来てるし・・・・。
地元「オニビジョン」撮影////「踊ってください」と突然訪問
(2010年8月4週)
ツルツル
とうとう我慢できなくて・・と言っても暑さではなく、草。
取っても取っても次から次、あっちが終わればこっち。
それで、近所の人に連れられてクボタまで。
最新鋭草刈り機三万三千六百円也。
今日もウィーン、ウィーィーンとモーターのうなり。
「もうほどほどにしな、日射病にかかるよー」
もっと朝早いうちにやればいいのに、日が差しだしてから
はじめて、わざわざバテに行ってるようなもんだわ。
「ウウー手がしびれるー、熱い麦茶を1っぱいくれ」
「今日はそのへんにしたら?」
「いやあともう少しだ」
近所の古本さんがやって来た。
「古本さん、うちも草刈り機買ったんだよ」
「へえー・・・何これ?ツルツルで刃がないじゃない」
「そうですか?さっきまで使ってたんですけど」
「こんなになるまで使った刃は初めて見たで。これじゃあ
切れんし、手もしびれるわあ」
ということで本日の草刈りは終了。次は新しい刃に取り替え
てから。
草刈り出陣////「こんなになった刃ははじめて見たわ」
(2010年8月3週)
ヒット
初めての福渡の夏。暑い、暑ーい。
2階から降りてきた人は全員汗だく。
「まあ下は涼しいわあ」
「うれしいこの冷えたおしぼり!」
さあどうぞ、シソジュースも。
「わあ、きれいな色、ウー、生きかえるわ!」
お盆を迎えて気温はまさに最高潮。天井を取っ払った上のギャラリー
は昼には35度。
それでもみんな、絵を楽しんで味わいながら観てくれてる。
「できるだけ冷たいものを出さなくっちゃね」
裏山で採れた紫蘇を今夜もぐつぐつ。
シソジュース、この夏の大ヒット。簡単にできるのが私向き。
それともう一つ、ヒット作を手掛けておく。
ジェノヴェーゼ。
紫蘇に負けず劣らず豊作のバジル、ピッツアにのせるだけだった
のにこんなに成るなんて。ためしにこさえたバジルソース。
うん、こりゃあイケる!
日頃、辛口のお姉さんも「ええ香りがするがあ」
自信を得て、お客さんのおみやげに渡すことに。
・・・気がつくと零時過ぎ。
ああ、今日もあっという間に1日が終わった。明日は役所の臨時
採用の面接だ。でも受かっちゃうと、あんなにいっぱい成ったバジル
とシソどうしよう?
心配の必要のないことにも気がかりな私でした。
暑い中を皆さん来てくれた/////お土産のジェノベーゼソース。
(2010年8月2週)
ワッフルメーカー
展覧会に訪れてくれる人が続いてる。今まで上(山あい)の組としか
付き合いがなかったけど、これをきっかけに少しづつ下の方とも知り
合いができてきた。
今朝も2軒下の古本さんが、パンを焼いたけんと届けてくれた。
うちの人が言うには古本さんは焼き窯を持ってるだけでなく、ソバや
うどんも打って焼きそば台やワッフルメーカーも備えてるらしい。
「いやーすごい、こんなに何でも出来る人が側にいたなんてねえ」
「ああ、ハワイアンで人を呼ぶんだったら使いなよって言ってた」
「へえーよかったじゃない」
一昨日はCAD講座で一緒だった橋本さんが旦那さんを伴って遠い
長船から来てくれた。
「ギャラリーどんなかなあって、1度観てみたかったんです」
「ただの古家にちょこっと手を入れて二人で楽しんでるだけだよ」
「でもすごくいい生き方してるって思います」
「そんな、部屋が広いし他に使い道なかったから・・」
ほんとにその通り、始めははこんな大きな家に住むつもりなかっ
たし、ギャラリーだって考えもしなかった。
「これからもいろんな展示をしていくんですか?」
「うん、この辺で趣味でやってる人とか見つけていこうって」
「じゃあまたその時は教えてください、楽しみにしてますから」
なりゆきでこうなったにすぎないのに、口ぐちに”ステキね”
”また来ます”って言ってくれる。嬉しいような、ちょっと身に
そぐわないくすぐったい感じ。
「おい、今電話でテレビ局から今度、撮影に来たいって」
ああ、もう草取りしてられないねえ!
古本さんより焼き立てパン頂く/////橋本さんご夫婦がやってきてくれた。
(2010年8月1週)
カップメン
7日まで田舎に帰った。いつもなら5月の連休に1度戻るだけ
だったのに、こっちに来たら急に福島が恋しくなった。
母ちゃんだって寂しがってるだろうし・・。
「ただいまー」
「ああ、おかえり。昼はカップメンだよ、おまえもたべるだろ?」
うー、これこれ、普段と変わらない我が家流、歓待。
「どうだい、岡山は少しは落ち着いたかい?」
「落ちつくなんて、もう草むしりで毎日大変だよ。採っても
採っても、すぐ生えてくるんだよ」
「そりゃあどこの畑でも同じだよ、うちだって・・」
「でも、いいトマトやナスができてるじゃない?私のなんか
きゅうりがちょっと大きくなったと思ってたら次の日何かに
かじられてんだよー」
「ははははー」
1週間は少し長かったけど、その間おばちゃんのお見舞いにも
行けたし友達の千代ちゃんともゆっくり話ができた。満足満足。
「いま帰ったよー、どうだった、お客さん来た?」
「来たなんてもんじゃあないでえ、もーうてんてこ舞いだった」
「へえー、いろいろ留守の間の話がありそうだねえ。じゃあ
あとでゆっくり聞かせて?」
「ああ、お前のほうはどうだった、なにかうめえもんでも
食ってきたか?」
「うちの田舎で、うまいもんなんかでるわけないじゃあ・・・」
そういえばあの畑になってたトマト、1度も食卓に出なかった
なあ、何でだろう・・・。
みなで今日はカップメン/////てんてこ舞いにうれしいお客さん
(2010年8月はじめ)
パッタリ
水墨画展、開催1週間ぽつりぽつりとお客さん。まあのんびり
いきましょう。
でもパッタリと誰も訪れない日が3日、4日。イノシシは来ても
観客は来ない。こんな時は山の開拓に精をだすしかない。
まずプロムナード造り。
二人で廃材の電柱をえっちらよっちら押して沼に敷く。これで
中をつたわる道ができた。次は”猪避け”。
だいじょうぶだと思うけけど万一サツマイモがいっぺんに無く
なってるなんて、そりゃあ悲しい。なにしろこの冬の我家の主食を
担うのだ。
で、これも廃材を総動員、ぐるりと柵で囲う。完璧とは言えない
までもまあ多少は躊躇(猪が)して引き返すかも。
観覧者はなくても、渡邊さんたちは2日に1度覗いてくれる。
「どげーなかなあ、飲み物は足りとる?あとお菓子も運んで
きたよ、必要なのがあったら言って」
「ああ、ありがとう。でも十分足りてるよ」
うちのが下のお兄さんに電話。
翌日、兄さん夫婦がやって来る。
「おお、わしゃあこの七福神が気に入ったわぁ」
「まあええ顔されとるなあこのほてい様」
そしたらその後、開運。つぎつぎ来客。
「いやほっとしたわ。このままだれも訪れなかったらどうしよう
かと思ったわ」
「そんなこと言ってハワイアンの時は大丈夫なの?」
「う、うん、こりゃあちょっと宣伝しとかにゃあいけんかのう」
もう今になって弱気になってるんだから!
イノシシ避け完成。////////ぞくぞく来客が。
(2010年7月23日)
セレモニー
いよいよ水墨画展が開催される日が来た。
折角だから近しい方に声をおかけになって内輪のセレモニーをしましょう。
うちのが提案して今日は10名ほどの人が集まる。昨日のうちに、冷たい
ココナッツゼリーにババロアそれとパウンドケーキも作っておいた。(もち
ろんうちの人が)
花も昨夜、岸の恵美ちゃんがわざわざ届けてくれた。
「私がなあやったんじゃねんじゃけど、友達に頼んでなあ野の花を
飾ってもろうたんじゃあ」品のいい竹の籠に活けてあって、まあなんて
ステキ!オープンムードがぐ〜んと上がった。
9時、渡邊さん御夫婦と岡山市内に住んでる下の娘さんがやってきた。
この日をどんなに楽しみに、そして心配してたでしょう。
なにしろ、うちの人は何を聞かれても「大丈夫、大丈夫!我々で
やりますから、気楽にかまえといてください」
私は慣れてるからいいけど、二人はこの性格にとっても不安だったはず。
10時には弟さん妹さん達、来館。
渡邊さんのご挨拶のあと、本ステージの2階ギャラリーへ。
どうかなあ?素人の手作り展示。
第一声、「まあっーすごーい、うわーステキやわー!」
ヤッター、よかったよかった。
うちのが絵の解説をはじめた。
「この筆のいきおいを観てください、なんの迷いもなくサーっと・・」
「描かれてない部分、ここにこそ意味があります・・」
ボルテージアップ。皆さん降りて来た時は汗びっしょり。
そりゃそうだ、気温は30度を超えて冷房もなしじゃあ。
冷たいおしぼりをどうぞ。
和室でお菓子を囲んでの歓談、「いやあ、今日の話を聞いて兄貴の絵を
見直したでえ!」
「こんなに工夫して描いとったなんて、ぜーんぜん知らなんだわあ」
「わたしはあの花の絵が気に入ったわあ」
お昼前にはセレモニー終了。
「ハアー、とりあえず喜んでもらえてほっとしたわ」
「だろう?何も心配することないって言ったじゃん、俺にまかせれば
いつだってうまくいくんだよ!」
ああーあ、この自信だよ、どこからくるのか・・ねえ?ドレミちゃん?
お祝いの花でムードアップ。////////初めての展示ギャラリーへ。
(2010年7月中旬)
ハワイアンバンド
「私の宝物展」も終わりに近づいて急に千客万来。ハローワークで
友達になった”ゴロ子ちゃん”(私の勝手な呼び名)、次の展示をお願い
してる渡邊夫妻とご家族、元商工会の女性部長で去年お世話になった
岸恵美子さんとお知り合い、映画会主催者の佐藤さん。
そして、そこで顔見しりになった久原さんと・・その仲間の方達。
まだ夏の日差し強烈な夕方前の4時、女性2人男性1人を引き連れ、
リーダーの久原さん現る。
久原さん達はハワイアンバンドを結成してて、ちょっとした人の集まり
とか老人ホームなどで演奏してる。皆、仕事の合間にやってるので休日に
活動している。
それをうちのが聞き「ぜひうちでもやってもらえんじゃろうか?」と
頼んだ、それも昨日のこと。
その時はそれほど本気だとは考えなかった。
でも今日来てくれて1曲やってもらって後には、もう「8月のいつでも
えんじゃけど、スケジュールは空いとらんかなあ?」
結局、9月ならと言うことで、渡邊さんの展覧会の最終日前の19日に
きまった。
「もーう、なんでそんなに簡単にものごと決めるのよ?まだ渡邊さん
にだって話してないのに、だいいち展覧会だって始まってないのよ!」
「ばかだねえ、始まってからじゃあ遅いよ、それに慎重に考えてたら
いつまでたってもやらないで終わるよ」
フー、いつもそう、パッパッで進めて行って・・・。
「なに言ってんだ?それで後悔したことなんか1度もないだろう?」
ハー、ああ言うとこう言うんだよね・・。
「もう、聴く人が集まらなくったって知らないからね!」
「だいじょうぶ、大丈夫、その時はおれ達とドレミ村全員だよ!」
ハワイアンバンド「リーマンズ」さん来館。
(2010年7月初め)
カビ
異常気象だよって地元の人も言ってる。ずっと雨が降らない。
でも湿度はム〜ンム〜ン。
ねえ、岡山ってカラッとしてんじゃなかったの?ああ、なんだか部屋
中もカビ臭い・・と思ったらヒェー!座敷の白いの、もしかして?
なんで新しくしたばっかりなのにカビちゃうの!
どうやら新しい方が生えやすいとネットにでてる。
てなわけで畳み上げ。縁周りはやっぱりカビ、はあー・・。
「まあ仕方ないよ、最初からそう予測して下に炭を置いてこれ
だから。そんなに気にするならはじめにもっときちっと除湿剤
敷けばよかったんだよ」
「だってそんときは大丈夫かなって思ったんだもん!」
そんなこと言ってカビ臭いって言って気にしてるの自分なのに・・。
掃除機でシュー、雑巾で丹念に目に沿ってキュッ、キュッ、キュッ。
でもまた数日したら白いものが・・。
「おい、ぞうきんで擦るのは菌を浸み込ませて逆効果って載ってる
(ネットに)いいのはお酢を薄めて拭いてあと、乾いたらアルコールだ」
なーんだ、あんなに一生懸命やったのに、よーしこんどは徹底的に。
数日後、畳に異状なし、やれやれ・・。
谷あいですぐ裏が山、こんな環境だもんやっぱりしょうがないね、その
かわり楽しみももらってるしね。
そうと知れたら、さあ草取りにせいを出すか。
「ねえ!今日のお昼ご飯、なんにするー?」
畳み干し、それでもまた。////////畑の楽しみもボチボチ。
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