お正月の思いでは元旦の朝じゃなあ、台所で湯気がいっぱい上がっとって。
おばあさんとお母さんが大きな釜の前で、行ったり来たりして。
それから「○○ちゃん、おもちが湯だったよー、あんたなんぼう食べるん?」って聞かれるんじゃ。
「3つ」と答えると「おえん、おえん、歳の数だけ食べんと、6つ入れたからな」
お椀にお餅が2つ入って、上にホーレンソウとカマボコがのって
「それを2回お替わりしたら、お年玉を上げるけんな」と言われて、いっしょうけんめい食べたわ。
もうお腹がパンパンじゃった。
お年玉は50円じゃった、おばあさんと併せて100円。それで何を買おうかなと考えてたら「ほんなら、それを貯金しといてあげるわ」って。
それからもうずっと後になって、上の学校に通うので下宿することになった時、お母さんから通帳を渡された。
「あんたのお年玉やお祝いでもろうたのを貯めておいた分じゃ」
10万円になっとった。