せえがじゃ、建部の山の上からここ(町中)に移ることになってな。
みんな外に働きに出とったし、家にネコの出入り口を付けるわけにいかんで、どうしようかとなったんじゃ。
でもな、山の上にひーおばあさんが元気じゃって、あたしが、面倒見たげる言うてくれて、そんかわり、週に一度、顔を見に行くことになってな。
お母さんは一人でバスに乗って毎週日曜には、山に通(かよう)っとたわ。ポケットに魚の骨やパンの耳やらを入れてな。
ネコが死んだのはだいぶ後で、下の竹藪に、ひーばあさんと埋めて”ミーちゃんの墓”と書いた杓文字を立ててな、手を合わせとったわ。