おばあちゃん聞かせて 「たけべのお話し」
ねえねえ、おばあちゃん聞かせて、子どもの頃のたけべのお話し





 6月  「おき傘(がさ)」


 雨の日は学校に行くのがいやだったねえ。3キロの道を長靴で歩くのは大変だから。
 学校には「おき傘」というのがあってね、自分の傘をいつも置いておいたんだよ。
 教室の廊下側の天井下の壁に吊るしてあった。ほとんどは番傘と言って竹に油紙を貼りつけた重たーい傘だった。
 開こうとするとくっついた紙が「バリバリッ」って音を立てるんだよ。中にはあちこち破れて穴だらけの子もいた。
 傘のかかる釘には名前がぶら下がっていて、この時期になると先生が
「○○ちゃん、あんたのおき傘がかかっとらんよ、明日持って来なさい」と注意されるんだ。
 でも重たいから中々、持って行かないでいると「ありゃ、○○ちゃんの傘が、まだかかっていない、忘れ物3回になるから立ってなさい」って叱られたんだよ。

おき傘



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