おばあちゃん聞かせて 「たけべのお話し」
ねえねえ、おばあちゃん聞かせて、子どもの頃のたけべのお話し





 春  4月  「入学式」


初めて小学校に上がった日のことはよーく覚えとるよ。母親が「おまえ、ほんとに一人で学校に通えるじゃろうか」 と心配してね。
ランドセルは上の姉のおさがりだったけど、うれしくて 何度も背負ってみた。
 初登校日の朝は同じ一年生の子らと上級生とで列をつくって 学校まで3キロくらいあったけどみんなといっしょに行った。
 帰りはね、なんでかわからないけど、校門に行ったら誰もいなくて、 心配で追いかけようと駆けていったらいつの間にか 見たこともない所に入って、泣きそうになった。
 そしたら、どこからかおばちゃんが出てきて、 「どうしたん?道がわからんようになったん?家はどこ?」 って、それで家の近くまで連れてってくれたんだよ。
 帰ったら母親が「みんな心配しとったんよ、先に一人で 帰った言うて。えらいなあ、よう自分だけで帰ってこれたなあー」
 そう言われて、知らん人に連れてきてもらったって 言えなかったんだよ。


入学式



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