おばあちゃん聞かせて 「たけべのお話し」
ねえねえ、聞かせて、子どもの頃のたけべのお話し



 夏  7月  「台風」


台風はなあ、今でもそうじゃけど、この時季は当たり前でなあ。「来るでぇー」いうニュースが流れたら、父親が縁側の雨戸を閉めて、その上からまだ板を打ち付けて、飛びそうな物を全部しまい込んで。この辺はまだ大丈夫じゃったけど、水に浸かりそうな家では土間の物を片したり、畳を二階に上げたり大変じゃった。そのうち、ものすごい雨、風がやって来て、当たりが真っ暗になって、停電になって、ローソクをつけてなあ。
 そうは言っても、子どもらはいつもと違うことがうれしくてワクワクしとったなあ。 次の朝は外は田んぼも畑もわからんくらい水に覆われとった。家の向こうの先まで海のようで、水面を横切る魚の背びれが今でも覚えとる。



台風





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