「初めて学校に通うようになったときはありゃあ、幼稚園が最初じゃった。
みんなが集まる場所が下の町中にあって、そこまで行くのが大変じゃった。
と言うんがなあ、その途中に大きな犬を飼っとる家があって、その前を通るたんびに
飛びかかってくるんじゃ」
「そうそう、私もなあ、恐ええおばあさんがおって、そん人がいっつも道に立っとるんじゃ。
せえで、遅う歩く子を見るとなあ、どなるんじゃ、”早うせられえ!”言うて」
「学校までは4キロはあったから、夏やこう途中でのどが渇いて、水を飲ませてもらう家を決めとったなあ」
「そう言えば、川沿いをずっと歩いて帰っとったんじゃけど、川の向こうにいる子らとなあ、石を投げ合ったり、いっつもケンカして帰っとった。
届かんのじゃけどなあ、なんであんなにケンカばあしょうたんかなあ、ようわからん」