おばあちゃん聞かせて 新「たけべのお話し」
ねえねえ、おばあちゃん聞かせて、子どもの頃のたけべのお話し



   1月  「お雑煮」



 (建部上のおばあちゃん)
  そうだね、ここら辺のお雑煮と言っても、
 嫁に来た人の里によっても違うし、各、家で
 それぞれじゃけんなあー。
  建部側と福渡の側だって分かれるしなあ。
  うちはカツオと昆布で出汁をとって、
 お餅の上にホウレン草や人参、おじいさんの
 好きだったユリ根、それとモガイがのせたなあ。
  でも、今は一人じゃし、だしの素で汁をかける
 だけじゃなあ。
  そう言やぁ、私のお母さんは弓削の出でなあ、
 餅をついて丸めるとき、その大きさで肝っ玉が
  分かるんじゃと言うて、大ーきいのを作っとったわー。

  (福渡のおばあちゃん)
  この辺は津山から来た人らが多いけん、
 スルメで出汁をとるのが普通かなあ。
  ゆでた餅にのせるのは、まず塩ブリ、これは
 欠かせんなあー。
  魚屋さんで塩ブリを買って来て、
 薄く切ってちょっと湯がいて塩抜きして、
 それをのっけて、あとは茹でた大根、人参、
 ホウレン草の野菜、あと出汁をとったスルメを
 クルクルっと丸めて切ったのがのったなあ。
  でも隣の家ではまた、ここらと里がちがうけん
 どんなお雑煮じゃろう?
  フフフ、今度、聞いてみようかな。

  (大田のおばあちゃん)
  スルメ?そうじゃ、ここらでもスルメで
 出汁をとっとったよ、今はだしの素じゃけど。
 スルメの足を中に巻いてクルクルっとして。
 煮たあとでそれを細うに切ってなあ。
  ブリ?そんなのはのらん、それは分限者の
 家だけじゃろう、うちらは人参、大根、
 ホーレンソウがのるだけであとは、なんにも
 のらんかったなあ・・・。  


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 *このお話は地元のおばあちゃん達からお聞きした内容を基に
 平成25年に発行された「たけべのお話」(タネピリカ編集)より抜粋しています。


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