「いつ人が来てもはずかしゅうねえように」と、
おばあさんによく言われてたからねえ。
ふすま、障子はボロ布で作ったハタキをかけて、
畳はほうきではく。柱や床は米ヌカを木綿の袋に入れ、
それで磨くんだよ。
玄関や土間はお茶ガラやぬらした新聞紙をちぎって
まいて、はく。そうすると砂ぼこりがたたないんだ。
庭は竹ぼうき、やる前に床ふきに使ったのこり水を
まくんだよ。新聞紙は窓ガラスを拭くのにも使ってたよ。
*洗いもの
洗濯や洗いものは、今ほどひんぱんにはやらなかったねえ、
服は何日も同じだし、みんながそうだからはずかしいとも
思わなかった。
毎日の食器は自分のがきまってて、箱にしまうように
なっててねえ。自分で出して食べ、さいごに、
ごはん茶碗にお茶を入れてすすいで、飲んできれいにして、
またしまう。そうすると洗う手間がはぶけるんだよ。
洗う道具はヘチマやシュロの皮、わら。洗剤は
灰や粘土をこすりつける程度。
洗濯だけは大きな固まりの石けんが重宝したねえ。
それでも後で洗濯機が来たときは、これで冷たい水に
手をつけなくていいので嬉しかったよ。
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*このお話は地元のおばあちゃん達からお聞きした内容を基に
平成25年に発行された「たけべのお話」(タネピリカ編集)より抜粋しています。