おばあちゃん聞かせて 「たけべのお話し」
ねえねえ、おばあちゃん聞かせて、子どもの頃のたけべのお話し



   3月  「そうじ」


 「いつ人が来てもはずかしゅうねえように」と、
 おばあさんによく言われてたからねえ。
  ふすま、障子はボロ布で作ったハタキをかけて、
 畳はほうきではく。柱や床は米ヌカを木綿の袋に入れ、
 それで磨くんだよ。
  玄関や土間はお茶ガラやぬらした新聞紙をちぎって
 まいて、はく。そうすると砂ぼこりがたたないんだ。
  庭は竹ぼうき、やる前に床ふきに使ったのこり水を
 まくんだよ。新聞紙は窓ガラスを拭くのにも使ってたよ。

 *洗いもの
  洗濯や洗いものは、今ほどひんぱんにはやらなかったねえ、
 服は何日も同じだし、みんながそうだからはずかしいとも
 思わなかった。
  毎日の食器は自分のがきまってて、箱にしまうように
 なっててねえ。自分で出して食べ、さいごに、
 ごはん茶碗にお茶を入れてすすいで、飲んできれいにして、
 またしまう。そうすると洗う手間がはぶけるんだよ。
  洗う道具はヘチマやシュロの皮、わら。洗剤は
 灰や粘土をこすりつける程度。
  洗濯だけは大きな固まりの石けんが重宝したねえ。
  それでも後で洗濯機が来たときは、これで冷たい水に
 手をつけなくていいので嬉しかったよ。



そうじ




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 *このお話は地元のおばあちゃん達からお聞きした内容を基に
 平成25年に発行された「たけべのお話」(タネピリカ編集)より抜粋しています。


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