おばあちゃん聞かせて 「たけべのお話し」
ねえねえ、おばあちゃん聞かせて、子どもの頃のたけべのお話し



   8月  「鮎(あゆ)」


 まだダムができる前のことだけど、
 夏から秋にかけて、旭川では鮎がいっぱい
 とれててねえ。川の中ほどに組んだやぐらの
 上から、人が「鮎が来とるでー」って
 叫んでくれるんだよ。
  それで「○○の家じゃー」と言うと、
 あとで持ってきてくれた。
  届いた鮎はそのまま焼いて食べることも
 あったけど、塩漬けにしたり、竹グシに刺して、
 かまどの下のおき火で焼いて、麦わらのホギに
 刺して乾かしておいたりした。
  そうすると長もちしたからね。それに、
 いっぱいとれたからって、昔だって、やっぱり
 鮎は大変なごちそうだったんだ。
  だから頭から腹わたまで、全部、食べたんだよ。
 今は旭川の水も汚れて、天然のおいしいものは
 いなくなったけど、それでも鮎を食べると、
 そんなふうに大事に食べた頃のことを思い出すねえ。

鮎




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 *このお話は地元のおばあちゃん達からお聞きした内容を基に
 平成25年に発行された「たけべのお話」(タネピリカ編集)より抜粋しています。


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