そうだねえ、あの頃はいつもお腹がすいてて、
食べれる物なら何でも口にしたねえ。
兄弟が五人六人当たり前で、おやつをもらっても
分けあうのも大変だったからねえ。
クワの実、シャジンゴ(イタドリ)、そこらに生えてる
ものを見つけてはクチャクチャ。
クワの実や山なすびは口の中が紫色になってね。
おばあさんからもらうおやつは、蒸かしイモ、ナンバ、
ゆでた空豆。ハッタイ粉はあわてて食べると、むせって
鼻から吹き出すんだよ。
干し柿、氷餅、どちらも好きだった。
ときどき、リヤカーに大きな鉄缶を乗せて
「パンパン菓子」がやってきてね。少しのお米と砂糖を
持って行くといっぱいになってもどってきた。
「パンッ」と音がしたらできあがってるんだよ。