おばあちゃん聞かせて 「たけべのお話し」
ねえねえ、おばあちゃん聞かせて、子どもの頃のたけべのお話し



 5月  「高瀬舟(たかせぶね)」


   昔の江戸時代に、ここは旭川を挟んで二つのお国が
 あったって話しただろ。
  だから国境(くにざかい)の川には橋を造っては
 いけないきまりでね、人は向う岸に渡るのに舟に乗るしか
 なかったんだよ。だから、川のあちこちに渡し場(わたしば)が
 あって国境を行き来したんだ。
  渡し舟だけでなく、炭や米や人を運ぶ高瀬舟が泊まる舟着き場も
 あって、大きな舟が何そうも出入りしてた。
  舟は下流の今の後楽園のお堀まで行くこともあったんだよ。
  下りは岡山城下まで一日で着くんだけど、帰りは舟をひいて
 のぼって来るので二日もかかった。そのために、おおぜいの
 綱(つな)引き船頭さんが働いてたんだ。
  竹で組んだ筏(いかだ)もいっぱいやってきて、時には帆(ほ)を
 張ってくる舟もあって、そりゃあ絵のようにすばらしい
 眺めだったと聞いてるよ。

高瀬舟




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 *このお話は地元のおばあちゃん達からお聞きした内容を基に
 平成25年に発行された「たけべのお話」(タネピリカ編集)より抜粋しています。


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