今はどこのうちでも、お父さんやお母さんが勤めに出て、
食べ物は買ってくることが多いだろう?
でも昔はほとんどの家がお百姓で、自分で作った米、麦、野菜だけで
生活してたんだよ。
明治になったって、それほどお百姓の生活は変わることがなかった。
種まき、田植え、草取り、稲刈り・・・一年を通じ手を休める暇はなく、
朝は陽がのぼる前から、夜は暗くなるまで休むことなく働いた。
農閑期(のうかんき)にはマキ拾い、炭焼き、藁(わら)仕事、はたおり、
中には高瀬舟の綱引きに出ることもあった。
だからお百姓の家では朝と十時、二時、夕方の一日四回の食事が
多かったんだよ。時には夜食を入れて五回食べることだって、
それも麦飯に漬けものといった質素なものだったんだよ。
そうそう、昔は食器は一人づつ箱に入れて使ったんだよ。
「箱膳(はこぜん)」って言ってね、自分の使ったお椀は
お茶ですすいで飲んで、きれいにしてしまっておくんだよ。
洗う手間と水も節約できるからね。
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*このお話は地元のおばあちゃん達からお聞きした内容を基に
平成25年に発行された「たけべのお話」(タネピリカ編集)より抜粋しています。