一月は初めて仕事をする日を「しごとはじめ」と呼んで、
今年、この仕事がうまくいきますようにと大切にお祝いしたんだよ。
書きぞめは字がじょうずに書けますように、
縫(ぬ)いぞめは縫いものの手が上がるように。
お百姓の家ではこの日、牛をつれて田んぼに行き、
「ヤレボー、ヤレボー」と大声で言いながら
「の」の字を逆に書くように、牛に田をひかせたんだよ。
この年も土がよく肥えて豊作でありますようにとお願いしたんだ。
牛だけでなく、鍬(くわ)でちょっと耕してから、
鍬にお餅をお供えすることもあった。
お百姓にとっては、牛も鍬もこれから一年の生活を
支えてくれる大切なものだったんだよ。
今では、そんな習慣はどこにも見あたらなくなったけどねえ。
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*このお話は地元のおばあちゃん達からお聞きした内容を基に
平成25年に発行された「たけべのお話」(タネピリカ編集)より抜粋しています。