お祭りや、お正月でもない限り、昔は
めったなことではごちそうは出なかったからねえ。
だから朝、お父さんがニワトリを絞めてるのを
見ると「あっ、今夜はスキヤキだ」と、
飛び上がって喜んだもんだよ。
どの家でもニワトリを何羽か飼ってたから、
卵を産まなくなったのをつぶして食べたんだ。
首を切って逆さまにして、血を抜いておいて
夕方、川でさばくんだよ。
腹の中から黄色いキンカンがいくつも出てきて
砂袋を開けると、ホントに砂が入っていてね。
そばで見てて、いつまでも飽きなかったよ。
そのうちにトンビも狙ってやって来てね。
晩ご飯は、そりゃあ大さわぎだったけど。
最初に一番柔らかいとこをおじいさんにあげて、
次に子どもの小さい順。
この時だけは、お父さんが料理して皆に
分けてくれてたねえ。
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*このお話は地元のおばあちゃん達からお聞きした内容を基に
平成25年に発行された「たけべのお話」(タネピリカ編集)より抜粋しています。