待ちに待ったお正月だよ。
朝一番に、おじいさんが「これをせんと正月が
始まらん」と言って、井戸から水を汲んで来てね、
その若水を神様にお供えしたんだよ。
座敷に家族全員が集まって、一人づつ
「あけましておめでとう」を言って、それから
床の間の黒豆を頂いて、その後がお雑煮なんだよ。
そこまでが、とっても長いので、後ろに座ってた
私は足がしびれて動けなかった。
親にねだってやっと買ってもらった錦絵の羽子板は
今でも覚えとるよ。
羽根つきに負けて、弟が目のまわりを墨で黒く
塗られるのが嫌で逃げ回った。
みんなでカルタ取りをしたり、福笑いの遊びをして、
毎日がお正月ならどんなにいいだろうって思ったねえ。
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*このお話は地元のおばあちゃん達からお聞きした内容を基に
平成25年に発行された「たけべのお話」(タネピリカ編集)より抜粋しています。