たけべの1年で最もにぎやかなのは、この時だねえ。
笛や鐘が聞こえてくると、「ああ、お祭りが近い」と
ワクワクしたもんだよ。
特に今でも続いている七社八幡のおみこしがくり出す
「建部まつり」は、昔はたくさんの大人がぶつかりあって、
すごい勢いで坂をかけあがって、そりゃあ大変な
もんだった。
子どもたちは危ないのでそばに寄れないくらいだよ。
終いの頃になると、いっせいに「オー!」と言う声が
上がって、おみこしが高くかかげられてねえ。
どこよりも高く上げようと、つま先で立ったり、
指の先で支えるまでして、競ったんだよ。
獅子舞と棒つかいが出ると、こわくてねえ。
棒を打ちあう音がコーン、コーンとひびいて、本当に
戦っているようだったねえ。
前月のお話しを聞く
これまでのお話し目次へ
*このお話は地元のおばあちゃん達からお聞きした内容を基に
平成25年に発行された「たけべのお話」(タネピリカ編集)より抜粋しています。