お母さんが夕方、手にいっぱいススキを
持って、田んぼから帰って来てね、
「ほら、今夜は十五夜だよ。はよう風呂に入って、
お月見せんと」って言ってね。
庭に縁台を出して、しょうゆの一升びんに
ススキをさして飾ったよ。
晩御飯を食べ終わって、外に出てみると
ほんとに大きいまるい月が出ててねえ。
みんなで縁台に集まって眺めたんだよ。
おじいさんが「こりゃあ、ほーんま、名月じゃ」
って感心して、おばあさんも、
「ほんまじゃなあ、ええ月じゃなあ」って。
そんなもんだったねえ、お団子のお供えも
しなかったし、眺めておわりじゃった。
でも毎年忘れずにやっとったなあ。
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*このお話は地元のおばあちゃん達からお聞きした内容を基に
平成25年に発行された「たけべのお話」(タネピリカ編集)より抜粋しています。