おばあちゃん聞かせて 「たけべのお話し」
ねえねえ、おばあちゃん聞かせて、子どもの頃のたけべのお話し


 秋  9月   「名月(めいげつ)」


    お母さんが夕方、手にいっぱいススキを
   持って、田んぼから帰って来てね、
   「ほら、今夜は十五夜だよ。はよう風呂に入って、
   お月見せんと」って言ってね。
   庭に縁台を出して、しょうゆの一升びんに
   ススキをさして飾ったよ。
    晩御飯を食べ終わって、外に出てみると
   ほんとに大きいまるい月が出ててねえ。
   みんなで縁台に集まって眺めたんだよ。
   おじいさんが「こりゃあ、ほーんま、名月じゃ」
   って感心して、おばあさんも、
   「ほんまじゃなあ、ええ月じゃなあ」って。
    そんなもんだったねえ、お団子のお供えも
   しなかったし、眺めておわりじゃった。
    でも毎年忘れずにやっとったなあ。


名月(めいげつ)




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  *このお話は地元のおばあちゃん達からお聞きした内容を基に
   平成25年に発行された「たけべのお話」(タネピリカ編集)より抜粋しています。


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