子どもが生まれて初めての春のお祝い。
昔はひと月遅れの4月3日だった。
そのころになると、暖かくなって色々な花も
咲いてきれいだからねえ。
女の子ができた家では、初雛(はつびな)を
かざって、ごちそうをつくってお客さんを接待した。
「ひなあらし」って言ってね、
近所の女の子はさそいあって、見せてもらいに
行ったよ。
お内裏(だいり)様がいる五段のひな飾りと、
花もち、ひしもち、ハゼのお菓子なんかが
きれいに並んで、まぶしかったねえ。
「ひなあらし」に行くといつも緊張して、
ごちそうはちょっとしか食べれなかったよ。
それより、この日は子どもらで山へのぼって
花見をしながら、お弁当を食べるのが楽しかったねえ。