*これまでのあらすじ*
建部中学1年生の建部鮎太、妹さくら、同級生の河本温人はふとしたことから江戸時代初期にタイムスリップする。
そこで出会った僧侶、日船や石仏泥棒の富蔵、角石村の剣の達人、竹内老翁の力を借りながら、
彼らはしだいに自分たちの力で生きていくことに目覚めていく。
そんな中、鮎太は「姫こ渕」で美しい姫と出会う。一方、中田新町に薬を求めに行ったさくらは、侍の子らと揉め事になり、
解決策として鮎太たちは侍の子らと新年の武術披露会で試合をすることになる。同時に領主の嫡男、長尚の指導も任される。
試合は鮎太が勝ち、褒美として富蔵を腰折れ地蔵の守り人にしてもらう。試合の帰り、鮎太らは侍の子らの襲撃に合うが、
長尚の力で難を逃れる。鮎太は楓姫と会い、必ず現代にいっしょに戻ると誓う。その後、鮎太たちは池田藩の計らいで、
一ノ口用水路を見に行く。
*主な登場人物*
建部 鮎太(あゆた)
建部中学1年生
建部さくら
鮎太の妹
河本温人
鮎太の同級生
腰折れ富蔵
富沢地蔵の盗人
鶴田 楓
鶴田城の姫君
竹内老翁
竹内流の開祖
池田 長尚
若き池田宗春
塩屋十兵衛
塩問屋の息子
「本日はこちらの備前石工の棟梁、治兵衛殿と総見の前の不具合を調べに参りました。
さあ、この簗(やな)を見てください。今までは水を引き入れてもすぐに砂がたまり流れをふさいでいました。
されどこの簗のおかげで胴木を上げて砂とあふれ水を本流に捨てることができるのです」
それから、しばらく用水沿いに全員で下って行った。そしてやがて巨大な岩山の前に出た。
「ここが一番の難所でした。ここはどこを掘っても岩とぶつかります。石工を集め数年かけて横穴を開けました。さっ、どうぞ中へお入りください」
人の背丈より少し低い直径一、五メートルほどの穴が向こうへ二〇メートルほど開き水を導けるようになっている。
これが、僕らの時代の「お題目岩」の下に掘られた用水路だとすぐにわかった。
昔は大水で岩そばの道が崩れるとこの中を通って通学したとお年寄りから聞いたことがある。
松明を点け、まだ水が引かれていないトンネル内を進む。
「この春までには何としても水を通し、この先の田に引きたい。そう願って困難な普請を続けてきました。
それがやっと日の目を見ることになり申した」のちに津田永忠と名乗る偉人、又六さんは感慨深そうに話された。
外に出るとまばゆい光が待ち受けていた。僕は温人がどんなにうれしそうに興奮した顔でいるだろうと振り返って見た。
だけど、温人の顔は見た目にはっきりとわかるほど青ざめていた。
津田又六さんと石工の治兵衛さんはそこから中田に向かわれた。僕らと小田さんはもと来た道を戻った。
別れぎわに津田又六さんから、「差し支えなければ、拙者が成すべきことがあれば示唆いただけないか」と言われたので、
身分や藩に関係なく誰でもが広く学べる学校をお作り下さいと伝えた。それが、後の閑谷学校であることを温人も僕も知っていた。
鶴田に着くまでも温人は顔が青ざめたまま、そわそわと落ち着きがなかった。何か僕に言いかけては、小田さんや舟頭さんの顔を見てはうつむいた。
小田さんと別れ、二人切りの山道に入って、「鮎太、大変かも」そう言って手に持ったケイタイを前に差し出した。
そこにはメールの紙飛行機が飛んでいる・・・何で?
僕も血が引くのを感じた。でもそのケイタイを受け取り、「開く」のボタンを押した。
『3・20シンヤ0ジ ダイモクイワニテマテ』
まだまだ続く次号、乞うご期待!
「アメージングストーリーマップ&中田新町絵図」←PDFで
*この物語に登場する人物や出来事は、あくまで想像上のもので実際の人物、史実とは異なります。