おばあちゃん聞かせて 「たけべのお話し」
ねえねえ、おばあちゃん聞かせて、子どもの頃のたけべのお話し





 2022年3月  「注射(ちゅうしゃ)」

 注射は今でも嫌いだけど、子どもの頃は本当に怖かったねえ。 明日は注射がある言うと、休む子もおった。
 その日は朝から教室で「痛えーじゃろうか?」「何時間目じゃろう?」とワーワアー。
 で、その時になったら上着を脱いで、袖をまくって皆で保健室の前の廊下に並ぶんだ。
 終わって戻ってくる子に「どうじゃった?」「どげえなかった?」って聞きまくって、 「でえれー、痛えわー」言うたら「オッーオー!」と声を出して震えたもんじゃ。
 先生の持つ注射針がすげえ太く見えてなあ、でも案外、やった後は大したことなかった。
 家に帰ったら母親が「注射どうじゃった?見せてみねえ」と注射の跡を覗いてから 「ちょっと赤いなあ、今夜は風呂は入らん方がええじゃろう」言うた。
 そしたら、やっぱり夜になって熱が出て、次の日は休んでしもうたわ。


注射(ちゅうしゃ)



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