夏
6月
「ホタル」
もう、ホタルが舞う頃じゃなあ。昔は夜、家の外に出たら、田んぼの稲の穂なんかにも止まっていて、それをそーっと手ですくってなあ。家に持って帰って、寝床に吊ってあるカヤの中で放すんじゃ。お母さんが「ほんなあ、電気を消すよ、観ておられえ」言うて部屋が真っ暗になったら、「ツツー、ツツー」って小さい光が右に左に飛んで行くんじゃ。
それを見て、電球も付いてないのに不思議じゃなあって思った。布団に寝っ転がって、いつまでも眼を開けて追いかけとった。
あん時のことは、今でも時間が止まっとったように感じるなあ・・・。
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