■「新たけべの彩時季」

先般、NHKテレビで「日本のヨーグルト」が特集され、当建部町の「建部ヨーグルト」も紹介された。
番組の中で日本のヨーグルトの多様性について解説されたのがブルガリアの人類学者、ヨトヴァ・マリアさんで、特に「建部ヨーグルト」は
ブルガリアヨーグルトに近いとのこと。
そんなマリアさんは現在、立命館大学「食マネージメント学部」で教鞭を取っておられ、その関係からこの度、”食を通じた縁でつながった建部の魅力を発見し、発信しよう”と
今月6(土)7日(日)の2日間、学生12人を連れこの建部町に視察研修にやって来られた。
これにピッタリと寄り添い、取材したのが当記者とグルメレポーター(妻)で、その丸ごとレポートをお届け!!
12月6日(土)朝10時、たけべ八幡温泉駐車場にバスで到着したマリア先生と3年に在学中の学生12人。さっそく「建部ヨーグルト」の視察へと向かう。
「朝、何時に起きたの?」(妻レポーター)
「5時半です」
「ええー、それじゃあ眠いでしょう・・・」矢継ぎ早に質問を浴びせるレポーター(笑)
ヨーグルト工場では下野社長が出迎え工場内に設置された機械や製造の過程を説明する。
「うちで作るヨーグルトはこの近くの牧場で今朝、搾乳されたばかりの生乳を使っています。
作り方はあのタンクで85度まで温めて殺菌処理後に冷水で43度位まで冷まして乳酸菌を入れます・・・奥に見えるのが醗酵室でカップ充填後、4時間位発酵させ冷蔵します」
続いて会場を移し、そこでさらに詳しい商品説明に入る。
「当ヨーグルトの乳酸菌は外国から取り寄せたもので、今は何種類かを混ぜて使用しています」
他のヨーグルトとの違いは?の問いに、
「それは・・・」と答えたのは、工場で10年製造に当たって来た妻レポーター(笑)
「賞味期限が過ぎても乳清がほとんど出にくい、それほど乳脂が濃く品質が落ちません!」
では、さっそく試食してみましょう。
「建部のヨーグルトは口当たりがサラッとしています」(マリアさん)
「どう?」(妻)
「さっぱりしてる」「乳清がほとんどない・・・」(学生)
感心してもらったら、お待たせ、ソフトクリーム製造機を使ってのオリジナルパフェ作り。
ヨーグルトと近辺で採れたブルーベリーやソース、ぶどうを好きなだけ入れてソフトクリームを載せる。
「mmm、おいしーい!」
「お代わりしよーう」(笑)
次の視察先はお隣り御津町にある「くぼ農園」
ここでは2つの「食」を学ぶ。1つは「ミツバチ飼育見学」地元の「ハチミツユウちゃん」にお家で話を聞く。
「私が始めたのは、この近くでハチミツを採っている人がいて、その関係でやってみようと思いました。
やっているのは日本ミツバチで、日本ミツバチは西洋ミツバチに比べ小さいので西洋ミツバチが来たら負けてしまうのが特徴です・・・」
では実際にどのようにハチが巣箱に集まるか見てくださいと、外の庭に移動。
「日本ミツバチはおとなしいので、こうして手に乗って相手を安全だと確かめると襲ってきません、これがハチミツの蜜蝋になります・・・」
味見したかったけど販売目的ではないので断念!(笑)
農園の食堂でランチを食べた後は「味噌づくり体験」職員の坂本さんから味噌づくりのやり方を教わる。
用意するのは乾燥大豆500グラム、米麴850グラム、塩250グラム。
「まず柔らかく煮た大豆をボールに入れ手で練りつぶしていきます。粒々が感じなくなったら、今度は米麹に塩を加え、よく混ぜ合わせます。
そうしてから、これを先ほどの煮た大豆に加え、さらに練り込んでいきます。こうしてできたものをタッパーに入れて夏を超すまで常温で保存すると9か月程で出来上がります」
学生さんによる味噌づくりの開始。
「こんなんでいいのかなあ?」「いい感じ、いい感じ」
それぞれで作業分担して出来上がり。13等分にしたものをジプロックに入れて自宅にて熟成。
「あの、この出来上がっている見本の味噌、ちょっと味見させてもらえますか?」先ほどから真剣に作業を観察していたグルメレポーター、
がまんできずとおねだり(笑)
手にチョコっと載せてもらった味噌のお味は「う、おいしいー!」の全員感想でした。
午後3時を過ぎこの日、最後に向かったのは建部町鶴田の山中にある「竹内流道場」。
ここは戦国の時代から伝わる日本古武道の一つで一ノ瀬城主 竹内久盛によって開かれたとされ、以来、一子相伝で今日まで伝承が続く。
師範の竹内先生からビデオでの概要説明を受けた後、実際の作法の仕方へと移る。
神前で行う「二礼 二拍手 一礼」の仕方、竹内流の三本指で手をつき、相手から目を離さないで行う礼の仕方。
道場に移ってからは実際の武術を身をもって学ぶ。
まずは互いが棒を構えての戦い方。
技の名前を唱えた後、棒を構え振り下ろしながら「エイ!」カーン!と打つ。
棒を「コーン!」と床に落として、くるくる回して再び打つ。
「ホウッ!」カッ!
また落として「ヤッ!」カーン!
先生の手本を見ながら学生同士が向き合っての2回、3回、4回が続く。
2つ目の武術は小刀で刀と迎え撃つ仕方。
切りかかって来た刀に対して受け、身体を横向きにして前に出て、
同時に小刀を肩に挙げ相手の刀を弾きながら懐に入り、小刀で胸を切り刺す。
これも技名を唱えたあと「エイ!」「ホウッ!」「ヤッ!」と掛け声を上げてぶつかる。
気がつけば外はすっかり暮れ、道場の床板を冷気が流れる。
もう一回、今度は相手を変えて、さらに代表でと体験は修練へと上がって行く。
終わった後の学生たちの顔はと言えば「一介の若者」から「武士の片りんが伺える」までに。
5時半過ぎに道場を後にし、一行はこの日泊まる建部町福渡にある
UAゼンセン「友愛の丘」へと向かう。
「友愛の丘」は労働組合の研修施設で来年で50周年を迎えます。
午後6時、到着、1日目の研修はこれにてひとまず終了。
2日目の朝は「うどん打ち」体験から始まった。
うどん打ちの講師は地元で「できないものはない、すべてにおいて名人」と評判の古本先生。
「さあ、今日はみなさんに粉から練って、うどんを打つまでをやってもらいます」
友愛の丘にある、うどん打ち用の研修棟で古本師匠の説明に耳を傾ける。
「私の使う粉はカナダからうどん用に日本製粉が作らせた粉です、これでないと普通の小麦粉ではうどん独特のコシが出ないのです」
3人一組となって大鉢に入れられたうどん粉を師匠秘伝の調味料を加え練り込む。
交代でも手がくたびれるほどに練ってからは生地をビニールに包み、両足で踏む。
「これでしっかりグルテンを出さないとコシが生まれません」師匠の言うとおりに何度も踏み込んでいく。
それを木型に入れて四角に整えてから、いよいよ麺棒での「延ばし」
縦、横、斜め、反対斜めと棒に体重をかけて段々に延ばす。もうこれ位かと思ったら、師匠から
「その3倍になるまで延ばしてください」
手のひらが擦り切れるほどに棒を転がして、やっと合格(笑)
最後は包丁切り、折り畳んだ生地に木受けを当てうどん包丁を「ストン!」と落とし、刃を少し傾けうどんを切り離しながら移動する。これが均等でないと均一に茹で上がらない。
では師匠が作ったお手本で試食タイム。
「今日は讃岐で”釜タマ”という、釜から上がったばかりの温かいうどんに卵と醤油、ネギで食べてみてください」
「うっわ~、めっちゃ、おいしい!」
お土産はこの日、自分で打った生うどんと師匠の畑で採れたネギ。みんな大満足の笑顔で「うどん打ち体験」終了。
時間は午前10時、食べてばかりじゃ太ってしまう、そこでウォーキング兼ねて次の視察先へ。
丘を駆け降り、「しあわせ橋」を渡って目的の「サニーデイコーヒー」さんを訪問。
ここは地元出身のオーナーが10年前にコーヒー豆の会社を退職して始めた「自家焙煎のコーヒー豆」専門店。
店に入ると香ばしい炒りたてのコーヒー豆の香りが充満。カウンターには世界各国のコーヒー豆や「福渡ブレンド」「しあわせ橋ブレンド」「サニーデイブレンド」「季節のブレンド」などの独自ブレンドの豆が並ぶ。
店主の江田さんに聞きました。
「どんな所に、こだわっていますか」
「こだわりということではないのですが、フェアトレードと言ってミャンマーとか原産地の豆を適正な価格で購入することで
、その国の産業を後押しする事業に関わっています」
江田さんによる試飲会。
「うわー、いい香り」「炒りたてって、こんなに違うんだ」
コーヒー豆一筋、奥さんの陽子さんと二人三脚で歩んで今年10周年を迎えた。
開店時から「たけべ新聞」も加わり、数えきれないほどのイベントを共にして来た、建部一押しのお店である。
サニーさんを後にしてに旭川に架かる「しあわせ橋」を渡る、その河川敷を行くと地面に置かれた石ころに出会う。記者が石ころを並べて作る「名画のアート」
「せっかくだから、一期一会のアートを思い出に」
記者からのささやかな願い(笑)。
午後からは「ワークショップ」の時間。
地元から当新聞編集長で岩手県出身の勝部公平が、また福島に住んでいて、3.11の原発事故で避難を余儀なくされて建部に来た一級建築士の大塚尚幹さん、
それと下野社長と我々夫婦が参加。
「建部のいいところ、気に入っている点を教えて下さい」(マリアさん)
(妻)「私は東京から来たので、ここの自然豊かなところとか岡山の街に行ける駅や役場や銀行、買い物できるスーパーもあってとても便利に暮らせる点が気に入っています」
「大塚さんはこちらに来られてどうですか?」(マリアさん)
(大塚)「原発事故の後、岡山市内の妻の実家に避難してたのですが、先に建部に住みだした友人がいてここに来ました。原発事故のあとそれまでの仕事先をすべて失い、
一からここで事業を広げるのはとても大変でした。でも他の建築会社ではできない自然エネルギーを使った家の設計など他と違う仕事をすることで、今では多くの
顧客が広がっています」
「勝部さんと下野さんは?」
(勝部)「私はここを退職(ゼンセンのセンター長)してからは、きっぱりと自分のやりたいことに専念するようになりました、建部里山という活動グループを作り、
今はこの仲間と里山の整備に汗を流すことを楽しみにしています」
(下野)「私はもともと昨日、行った竹内道場のさらに山奥で家数も4軒ほどのところに暮らしておりますので、まあここ以外に知ることもないので、日々、満足するしかないかなと(笑)」
ここからは3チームに分かれてのプレゼン発表。
「1チーム」
1・SNSの活用 インスタグラム フェイスブック
2・スタンプラりー 無料サイクリングを活用 一日で廻れる建部のモデルコース
3・ヨーグルトのパッケージを可愛くする 例:神吉李花さんのデザインとコラボ
「こういったことを通して人の魅力、地域の魅力、伝統を大切にしていることなどを伝えられたらいいなと思います」
「ちなみにこの中でインスタグラムを見ている人、フェイスブックを見ている人は手を挙げてください」との問いに
インスタグラム全員、フェイスブック、誰もなし。
「ですから特にこれからはインスタグラムの活用をお勧めしたいです」(なるほど、記者も目からうろこの驚き)
「2チーム」
・建部の魅力は「個人や組織のつながりが強い」「地域愛が強い」目的は同じでも貢献の仕方が様々である
・発信力の強化 列車を使った「岡山を巡る旅」を提案
・ポスターに掲載、SNSで拡散
・体験案内や自然豊かな景観を楽しむ看板を設置など
(記者)「たしかに、里山建部なんかでも一年を通じていくつもの体験イベントを行っていますがそれを知らせる看板はありませんね」
(勝部)「いやー、私はもうそんなに来てもらいたくはないのです(笑)
最後にマリア先生によるまとめ。
「わずかな時間でしたが、どのチームもよくまとめてあり、素晴らしい発表だったと思います。
この2日間はここにおられる下野さん、三宅さんご夫婦に大変お世話になりました。
また大塚さん、勝部さんからはそれぞれの視点で貴重なお話を頂きました、ありがとうございました」
記者の感想:
今まで、こうした多くのツアー客や学生の研修に案内人として関わって来た我々であるが、これほど中身の凝縮したカリキュラムに出会うのは初めてかもしれない。
その真っ先に挙げたいのは「竹内流道場」での師範の方々の熱のこもった対応、最後までしっかりと学んでほしいとの思いがひしひしと感じられた。古本師匠の、こちらも手をゆるめない指導も単なるお遊び的体験ではなく、より実践的な学習ができたのではないだろうか。
学生たちを見送った後、我々もホット安堵。
マリア先生、学生諸君、2日間、大変お疲れさま!
(レポート・三宅 優 /三宅美恵子)