■「新たけべの彩時季」
お昼過ぎの福渡駅前、今日も静かと思いきや、そこで顔を合わせた福渡町内会、会長さんとタクシー運転手さんとの会話。
(運転手さん)「会長さん、今日ここに来たのは何があるんですか?」
(窪藪会長)「いや、実は前にある専門学校の生徒さんが駅を掃除してくれると申し出てくれて・・・」
その説明をしている間に、ガヤガヤと賑やかな集団。
「おっ、やって来た、やって来た、学生さんの到着だ」うれしそうな窪藪会長。
駅の掃除に参加してくれたのは「岡山・建部医療福祉専門学校」の3年生の生徒さん13名。
何でも「卒業を前に何かこの町で、できることはないかなあ」と学生さんの問いかけに、先生が「じゃあ、福渡駅の掃除をしたら」と提案したのがきっかけだとか。
一行はバケツ、ホウキ、チリトリ、ゴミ袋を手にさっそくクリーン作戦にとりかかる。
ハタキで蜘蛛の巣を払う、ぞうきんで窓を吹く、草むしり、掃き掃除・・・、雨の日、風の日、猛暑日と3年の間、利用してきた思い出がつまった福渡駅。
「あっ、見て見て、こんな所にこんなのがあった?今、はじめて気がついた」
あらためて見てみれば、今まで気づかなかった駅舎の風景が目に入る。
3~40分も人の手が動くと構内の床も窓も見違える。
「さて、じゃあ、この辺で次に移りましょう」先生から更なるミッションが出される。
「えっ、次があるんですか?」コロナ禍で取材先を探していたoniビジョンさんは、今日の情報をキャッチするや素早く駅に出動。先ほどから、若者たちの熱心な活動にカメラを向けていた。
「このまま、町中を一周して掃除してくれるそうです」記者の説明に、「ホー!」と感心しきりで、重いカメラを再び肩にかつぎ直す。
「お世話になったお店の前も、きれいにしましょう」先生の言葉どおり、洋食屋さん、お好み焼屋さん、うどん屋さん、店の前の道に捨てられた吸い殻や紙くずが拾われる。
同行した窪藪会長はずっとこれを見てニコニコ顔。
「いやあ、ここの通りをこれだけ若い人が歩くのを見るのは何年ぶりじゃろう、それにしても、いい縁ができたことが何よりもうれしい」
開始から1時間ちょっと、福渡ストリートは若者たちに元気をもらって輝いて見えた。
「今度は1年生がやりますから」新たな申し出に、町内会長、共々、感謝、感謝!
(取材・写真 三宅 優)
編集長(勝部)から「一週間遅れで咲き始めました」のメールと写真が届く。
「そうかなあ、こんなに寒いのに咲くかなあ、どっか別の日当たりのいい所じゃないの」半信半疑な私。
そこでわずかに寒さがゆるんだ気がする今日(前回「春を探すお年寄り探偵団」がレポートしてから10日後)目的ののセツブンソウを尋ねてみました。
セツブンソウの群衆地のある地域を車で行くと、回りの木々は冬枯れてまだ黄も紅も彩りどりがまったくない。
「やっぱり早いんじゃないのかなあ」そう頭で思いながら到着。
まわりの畑は以前はなかったイノシシ除けにしっかり囲われている。花の咲く斜面は下草がきれいに刈られ、手入れが整っている。
そして所どころに白い点々。
「あっ、咲き始めてる!」
一度、見つかると次々にツボミが目に入る。中には可憐な花びらをけんめいに開いているものも。
「さすが、”森の妖精”って呼ばれるのが分かるわ」
一人納得しながら、この寒さの中、凛(りん)と咲く姿にしばし見とれました。
今の時季、マンサクや梅もまだまだ、近所の寒椿の花びらも凍えていますが、ガマン、ガマン、春はすぐそこ。
(取材 三宅 美恵子・ 写真 勝部公平/ 三宅 優)
小春日和?富沢の「里山建部」ベースキャンプで何やら考え中の人。
「う~んとねえ、いろいろ探してみたんだが、今年は意外と遅いねえ・・・」当新聞編集長、勝部が言う。
それを聞きながら「そうですか、もう、マンボウで、人のかかわる行事がすべてなしになって、この時季を伝えられるものはないかと・・・」
oniビジョンの岡本記者が、依然と猛威を振るうコロナの中で人の営みを取り上げられない苦々しさを口にする。そこで描いたのは”建部の春を探そう”。
「まずは、ここの周りを歩いてみましょう」勝部の案内で池に沿って春探し。
里山の活動も、今年の仕事始めでは少し汗を流したが、その後のマンボウで予定していた「シイタケの菌打ち」「炭焼き」が中止。
キャンプでは割られたマキだけが活動を伝える。実際、この冬は寒さのせいか薪を求める人で引く手あまたの状態、薪ストーブを使う若い人が多くなったとか。
「そうだね、マンサク、水仙、まだまだだなあ、タラの芽も堅いし・・・」編集長、春を見い出せず、せっかくの取材がボツ寸前。
「あっ、ここに一つタンポポが咲いてます」記者が足元で見つける。
「おお、咲いてたか、これは西洋タンポポだな、やっと春一つ、見っけ!」
続いて、編集長宅へ。敷地に植えられた庭木の中にひょろ長い枝に紅いツボミ。
「ネコヤナギだよ」二つ目を示せて満足そうにニタリ。
そばに建つ成就寺へ移動、三重の塔が出迎える。境内の一角、鐘楼の脇に丸ーい、黄色い花。
「ああ、やっぱりここは、回りが見渡せて日当たり良いから、咲くんだね。これがロウバイ」
三つ目の春は、その可愛らしさを建部平野に向けて花開く。このかぐわしい香りを届けられないのが残念
。
またまた移動、地元を流れる田地子川の岸辺。このあたりで一番早く開花する桃の花。だが、確かに今年はゆっくりしている、どれもツボミのまま。
でもよーく観ると一つ、二つ、咲いている。
「春は来てるんだよ」うれしそうに勝部。
ここから、記者の住む地区に足を延ばす。カモが大軍団で飛来してるよと話したから。
「さてさて、カモたちはおとなしく待っててくれるかな」
ここからは記者の「春、案内」、一つくらい見つけなくては。
幸い、カモ君はどこにも遊びに行かず池で浮遊中。さっそく「ピッヒー、ピッヒー」と怪しい人間が来たことを仲間に伝える。その数「いち、に、さん、し・・・四十四(よんじゅうし)」
そばの山の斜面に黄色く咲くのはスイセン。
ポイント1点、ゲット。さらに近くの落葉をパッパッとかき分けて出てきたのはフキノトウ。
「これはね、また、落ち葉をかぶせて、もう少し開くまで隠しておくんだよ」記者の頭には天ぷらになったフキノトウ(笑)
どうにか、自称「建部マイスター」を唱える二人の面目を保ち、2月最初の「建部の春を探せ探検団」の任務終了。次回、第2弾は今月中旬かな、乞うご期待。
さて、この時期、我家のヤギも春の緑が待ち遠しくて、今日も笹の葉でガマン・・・。
(取材 勝部公平・レポート 三宅 優)