■「新たけべの彩時季」
「グググ、グァオ~!」勇ましく吠えたてるのは来年の干支、寅(とら)の張子。
「な~んだ、ちっとも恐くない」
そうなんです、日本全国の郷土玩具、五千点を収蔵する岡山市環境学習センター「めだかの学校」おもちゃの宿で開催される「干支の寅と鬼」展、並べられたトラたちはどれも愛嬌いっぱい個性豊か。まずは誌上にて、見どころを紹介、紹介 (パチ、パチ、パチ)!
1番バッターは先ほどから「グァーオ!」と威勢よく叫びを上げている広島県常石の「張子虎」。とにかく牙(キバ)がスゴイ、上目遣いのポーズと言いオリジナリティ満開で登場!
2番バッター、同じく「張子虎」こちらは鳥取県倉吉。まるで元祖、トトロの猫バス?愛嬌のあるフォルムが なんとも可愛い。尻尾は錘(おもり)が付いていてブラブラ揺れる仕掛け。
3番、「寅乗り人形」、山形県酒田の出所。トラにまたがるのは相撲取りか、坂田の金時? 首根っことしっぽを押さえて「どうだ、まいったか!」と言ってる様。
4番バッター、西大寺「張子虎」濃黄色に輝き、筋肉りゅりゅう、躍動感あふれる容姿。縞模様の繊細な筆さばきは、まさに職人技。。
次々、紹介。5番、「ねまり虎」山形県。”ねまる”とは山形の方言で、前足を踏ん張って今にも跳びかかろうとすること。 獲物を狙って、いざ跳躍。その一瞬をとらえた名品。しっぽの動きが、また”絶妙”。
6番、「おんぶ虎」滋賀県小幡。干支おんぶシリーズの一つ、土製品。 稚拙な出来だけど、親子のほのぼのとした表情が素朴さを誘います。
7番、「出雲張子の凧(たこ)」トラの凧が空を舞うのは勇ましいようで、高く昇れば昇るほど、何か寂しい。
8番、「「虎の面」京都毘沙門堂門跡」いきなり登場タイガーマスク。大胆な着彩に左右の目の違い、ユーモアたっぷりに観客を惹きつけます。
9番「絵馬」和歌山県那智神社。開運、商売繁盛を願う、お土産品の定番。勢いのある虎からご利益を授かりそう。
今回の展示では「鬼(おに)面」も併せて陳列。 「鬼は~そと、福は~うち!」
では良いお年を来年もヨロシクね!
開催期間:令和4年1月5日から
会場 :岡山市環境学習センター「めだかの学校」おもちゃの宿
開館時間:9時~17時
入場料:大人310円 子ども100円
定休日:毎週火曜日(年末年始)
お問合せ:086-722-1231
(レポート・写真 三宅 美恵子)
前回のゴッホ展からちょうど90日、並べて、こわして、並べ直して・・・どうにか完成にたどり着いた、たけべ新聞5周年企画「石で描く名画」展。
3弾目となるのは「ピカソ」。
「あの、わけのわかんない絵を描く人?」と言うのがどうやら一般的な印象だそうだけど、美術史において近代を代表する画家の一人。
「でも、そんな人の作品を石で描いたらもっとわけわかんなくなるんじゃない?」
実は制作者である記者もそのへんがそうとう不安のタネだった(笑)
最初に手掛けたのは「ピカソ、青の時代」と呼ばれる20代の作品。故国スペインからパリに出て来た頃の作品でいわゆる「貧しい人々」を描いたことで有名。
その中から「アイロンをあてる女性」「自画像」を選んだ。参考資料はパリの本屋で購入した「青の時代画集」(これを旅行中ずっとリュックに入れて背負いで歩かされたと妻からブーイングが出た)
ベース(専門用語では支持体)はいつもの古い襖(ふすま)、色あせたフスマの感じが疲れた女性の表情と奇妙に一致、「これは、やれそうだ」と手応え。
しかしそのまわりに漂う静寂な空気を追うにつれ、石数は増えていき、初めの予想を超えた密度の濃い画面となった。
「自画像」は顔よりも画面の大部分を占めるマントにいかに表情を持たせるかで、幾度となく手が止まってしまった。マントに置く石が決まらない日が続いて、思い切って顔をすべて壊してみたら急にマントの石が埋まった。
「アルルカンと女友だち」青の時代よりも少し前、ロートレックの影響が色濃く残る。ベースはお祭りの獅子頭を作るので使ったスタイロフォームの残り。
アルルカンの服の模様に何度も手を入れる。
ピカソ、バラ色の時代「玉乗りの少女」サーカスの一団を描いた中でもっとも有名な作品。これも古フスマに並べる。
高校生の時、倉敷の「中国画材」でこのポスターを買い、部屋の壁に貼っていたことを思い出す。
絶対にこれだけは描きたい作品ベスト1「アヴィニョンの娘たち」(1907年作)。
「だけど、ホントにやれる?」
これを観たくて、ニューヨークに行き、MOMA(ニューヨーク近代美術館)に何10回も通った。ベースはフスマ2枚。右から1枚やって2枚目に左。
石を置かない面と置く面と、特に置いていない空間に意味を持たせるように進める。
「泣く女」ピカソの代名詞的な”わけのわからない絵”。ベースは養生べニア、この黄色いペイントが結構気に入っている。石が載せやすいこともある。
帽子を作る粗い石、髪をつむぐ細石、この組合せのバランスがもっとも重要。
「ゲルニカ」1937年、内戦状態にあったスペインでクーデターを起こした軍部に加担したドイツナチス政権が地方都市のゲルニカを空爆した。
それを聞いたピカソは、その年にスペイン共和国政府から依頼されて進めていたパリ万博出品の作品を急遽取止め、この作品に取り組む。
画面はすべてグレーで塗られ、怒りと沈痛さを伝える。これもフスマ4枚で進める。夜の画面に使う石の量を少なくするため、新聞紙に墨汁を塗りベースにする。
結果、色を反転(黒の輪郭を白の輪郭に変える)せざるを得ない面が生まれ、それを回りとどうつなげるか、石が連呼するやり方を考える。
「たった1日だけ」と題したこの展覧会。準備は前日から「ああでもない、こうでもない」と作品を入れ替え、順番が定まるまで3時間。外光が差すと石の影が強くなるので、テントを張り日陰になるように設定。これが逆にいい雰囲気を作ってくれた。そして観覧者はなんと40名も。
うれしい感想も聞けた。
「写真で見るとわかりやすいけど、やっぱり実物はそれとは違う迫力がある」
そうなんです、観て欲しいのは「石」。それが伝える重量感、バランス、リズムそして表情、それこそが作者の目指すところ。
(レポート・写真 三宅 優)
12月は師走と言われるだけにこの日は”記者も駆けた”。「キャンドル作り」の取材を終えてすぐに建部町文化センターへ。
こちらも年末恒例となった岡山弁協会が主催する「岡山弁はええもんじゃ」の公演会。
今年は2021特別編と題して、今、話題のNHK朝の連続ドラマ「カムカムエヴリバディ」で岡山弁を指導される瀬戸町出身の女優、高野暢子さんが講演。
始まりを待つ観客からは「どんな話が聞けるんじゃろう」とボソボソ会話が洩れる。
午後1時半、開演ブザーが鳴り、テレビでおなじみ、わが町のエンターテナー、リンクアップトッシー登場。司会進行を受け持つ。
まずは岡山弁協会、青山会長のご挨拶。と言ってもズームを使ってのリモート出演。
「今年は岡山県、岡山弁が盛り上った年になりました。来年も日本中で岡山が愛される良い年でありますように」とのメッセージ。
続いて岡山市長からもビデオで「たのしんでなぁー」と岡山なまりたっぷりのお言葉を頂戴した。
そして開演。
プログラム1番。岡山理科大学准教授、札埜和男先生による「方言取り調べ”もろ刃の剣”」と銘打った方言研究のお話し。
警察署での取り調べで、方言がどのように使われるかを長年、調査した結果を事例と集計数値で説明。
少し難しい内容だが「なるほど」と感心することも多々あり。
方言も使い方で暴力的にもなり、人の心を和らげることもできる、まさに"もろ刃の剣"だと思った。
休憩の後、プログラム2番は定番「岡山弁パフォーマンス」。
最初は女性二人による「岡山弁をけえからも(これからも)つこうて(使って)いこうやぁ(いきましょう)」との掛け合い談義。
続いて女性による「岡山弁歌舞伎」の読み語り。
「わりい(悪い)家老と商人の悪だくみの一部始終」ぎょーさんの岡山弁が続出で場内から笑いがこぼれる。
そしてお待ちかね、プログラム3番「岡山ことばを全国に!朝ドラヒロインの岡山弁」と題しての講演。
👏👏👏
高野さんが、このお話を受けた昨年5月頃からクランクインまでの感じたこと、大変だったこと、楽しかったこと、驚いたことを
ご本人が収めた撮影風景を紹介しながら進める。
自分が岡山中で使われていると思っていた言葉が実は瀬戸町区域の方言だったと初めて知ってビックリ。
オーディションの時、「岡山弁がしゃべれるか」「アドバイスしたら直るか」を基準に審査にのぞんだ。
主役の女優から「岡山弁の猛勉強をした」と言われてとてもうれしかった。
「あんこ(餡子)」のイントネーションだけは、全員が言えるようにとこだわった。
「がんばられ~よ~」のセリフが一番好き、かわいい岡山弁をしゃべってくれたのがとても嬉しい。
・・・などなど。
最後に、このドラマを毎回、隅々まで観ていると言うトッシーが、中で使われた岡山弁を個々に上げて紹介、場内を沸かす場面も。
今月で25話まで来た「カムカム・・・」はこれからますます面白くなるそうで、でもそのお話は観てからのお楽しみ。
締めは副会長さんのマジック付きの閉会式。そして出場者、スタッフ全員がステージに上がり「岡山弁を盛り上げよう」と手を振った。
今年も楽しんだ「岡山弁はええもんじゃ」。
”れーねんも(来年も)きてい(期待)しとるけんのう(しているよ)がんばってつかあせえよう(くださいね)”(笑)
(レポート・写真 三宅 優)
クリスマスシーズン到来、コロナが虎視眈々と狙っていても日々の暮らしを明るく生きたい。
恒例、岡山市環境学習センター「めだかの学校」主催の「親子キャンドル作り」が今日、開かれた。
参加したのは講師の勝部志乃さん他、市内4家族12名。
こんな時期だから多くの人に来ていただけないのが残念。それでも今日はどんな作品が生まれるのか興味津々。
(記者)
「ねえ、今日、何、作るの?」
「僕はトラ(寅)、お母さんは雪ダルマ」
「わたしはアマビエ!」
「???アマビエ?」
なんでも1846年にあった妖怪で、水木しげるさんによって発見されたとか。
最初の工程はベース作り。
ロウの細粒をラップに来るんでモミモミ、雪ダルマの胴体にする。それをさらに指でコシコシしてツルツル肌にする(ワぉー、それだけで難易度高ーい)
さてさて、のんびりしてられません。そんなことしながらもお飾りは手が抜けません。
形は「トラ」「アマビエ」「雪ダルマ」。でも、飾るのは最新のファッション(笑)、アミアミのマフラー、背中に負う竹やり、いっぱいのミカン・・・。
いつもはひかえめなお父さん(?)真剣な面持ちで取りくむ雪ダルマ。どの家族も机の上にスマホを置いて、モデル写真も見ながらの奮戦。
やがて、次々、完成!
キャラクターたちはゆっくり、じっくり、あったかいロウ温泉に浸かって、「ああ、ゆったりした」 とお披露目へ。
一同に並んだ、「えとのトラ」「ゆきダルマ」「アマビエ
」個性豊かに「めだかの学校」授業、今年最後の記念。
「お~い!来年も見守ってくれよー」
(レポート・写真 三宅 優)