■「新たけべの彩時季」
日曜日はあいにくの雨、楽しみにしていた花見がお預けとなった人も多いのでは。
風もあって、花びらが道に散在しているのが目につく今朝。それでも、旭川の河川敷では満開の桜が迎えてくれていた。
恒例の福渡町内会主催の健康教室「すずら教室」、さくら祭が今日ここで開かれる。
思いかえせば、建部に越してきて間もなくこの教室に講演で呼ばれた。
「建部の田舎暮らし」について話してくれということだった。何を話したか覚えていないが、ビンゴの景品でワインをもらったことを覚えている。
あれから10年、今はこの会の世話をする立場に変わった。でも、その時の会長であった大橋さんが、今でも会長を務めているのだから頭が下がる。
午前10時、コミュニティに集まった参加者は35名。申込数とピッタリ、一人もかけることなくご自分の力でここまで来られた。
花見の前に少し勉強をと、福渡駐在所の田中巡査が「春の交通安全」「特殊詐欺」について、その防止のポイントについてレクチャー。
「車とぶつかって勝った人はいません」「電話機は留守電にしておけば、留守電に話しかける詐欺はいませんので」(笑)ユーモアたっぷり、そして何よりもわかりやすい。
11時には河川敷まで歩いて移動。前方、数百メートル、鉄橋下を抜けて幸福橋の架かる向こうまで薄桃色の並木が続く。まさに桜花爛漫。
間隔を開けてイスとテーブルが用意される。
「みなさん、ソーシャルデイスタンスをキープして、それぞれに桜をお楽しみください」大橋会長のあいさつで言われた難しい横文字が、気がつけば聞き慣れた言葉に・・・。
建部町物産案内販売所から、かわいいお花見弁当が届けられた。
「まあ、きれいだけど、ちょっと足りないかも」「えー、私これでもけっこう多いわ」それぞれが、それぞれに感想を述べながら時間はのんびりと過ぎていく。
目の前に大河のせせらぎ、見上げればびっしりと咲くサクラ、サクラ、サクラ。
おいしいものを食べた後のお楽しみタイムと言えば「ビンゴー!」
子どもからお年寄りまで、いつの間にか真剣になってしまう、このゲームを考えた人はえらい!
さっきまでのおしゃべりは止み、ただひたすら耳をそばだてカードと睨めっこ。
時おりこぼれる「ああー」「もうー」の嘆きの声。
そのうち、「あっ、できた!」と最初のビンゴ。
景品は大橋会長が2時間かけてお店で商品を選んで買ったと言うだけあって「オリーブオイル」「シーチキンセット」「源氏パイ」「チョコアマンド」「昆布」「煮込みラーメン」とご婦人好みに多種多彩。
記念撮影は全員が並んで一瞬だけマスクを外して「ハイ、チ~ズ」
そして「パシャ!」
(取材・写真 三宅 優)
校門を入ると桜の花が3分咲き、卒業式会場の体育館前はパンジー・ビオラなどが満開に咲き誇っています。
建部小学校の今年の卒業式はコロナ過の中、マスク・手洗い・換気を徹底し、密を避けるため1年生から5年生の在校生は教室で授業、卒業生とお父さんお母さんが向かい合っての式典です。国歌や校歌斉唱も「声を出さずに伴奏にあわせて、心の中で歌ってください」との案内で、めいめいが静かに思いを込めて歌っていました。
片山校長先生からのはなむけの言葉では「夢はかなえるもの」と題して夢を持つことの大切さや、今の自分を輝かすことの大事さが話され、卒業生一人ひとりの素晴らしいところを見つけて語られました。
体育館の壁面には卒業生22名の将来の夢がイラスト入りで張り出されており、「警察官」「プロ野球選手」「卓球選手」「プロゲーマー」「エスティシャン」 「NBAプレイヤー」「科学者」「看護士」「新幹線の運転手」「お花屋さん」「サッカー選手」「薬剤師」「大工さん」「プログラマー」「医者」「ゲームクリエイター」「Youtuber(ユーチューバー)」などが描かれていました。
新型コロナで長い休校があり、夏休みではプールに入れず、例年の奈良・京都の修学旅行が県内の瀬戸内・倉敷旅行に変わっても、今日の状況を考え、誰かのため社会のために我慢して受け入れてくれたことのすばらしさを紹介され、ご両親も成長した我が子をあたたかく見守っています。
卒業証書授与からはじまり、校長先生のはなむけの言葉にいたるまでジーンと思い出に残る式でした。
(取材・写真 勝部 公平)
当新聞「たけべ見遊」でも特集を出したが、桜前線はもうすぐそこ。
「今日を逃したら来週には咲いてしまうで」福渡町内会、窪藪会長も若干あせり気味。それもそのはず、まだ河川敷の草刈りを終えていない。
せっかくきれいな花を観に来らて草ボウボウじゃ恥ずかしい。ということで、本日、福渡町内会挙げての大清掃。
記者(三宅)は町内会の役員なので、現地にホウキや熊手やらを載せて集合30分前に到着。朝7時半、一番乗りかと思いきやすでに10数名が待機。
「もーう、年寄りは気が早いんだから」と、こぼしながら顔ぶれをみると、皆、記者より若い人たち。いつもなら仕事でめったに会うことのない面々。
「あぁ、ひさしぶり!」(記者)
「どうも、ごぶさたしています!」
「おかあさん、元気にされてます?」(記者)
「ええ、今朝もグランドゴルフに行くとかで準備してました」(笑)
そうか、今日はグランドゴルフと掃除がぶつかっちゃったのか。うちの地区でも草刈りが重なって、そっちは当グルメレポーターの役だ。
まあ、年寄りが忙しいのは良いことだ。
開始時刻が近づくと参加者は次々と増え40数名に膨れ上がっていた。
「こりゃあ、生えてる草の数より多いなあ」(笑)と誰かの口から嬉しそうなつぶやき。
ケーブルテレビのオニビジョン、松本記者も取材にやって来た。
この日は道の土手際と桜の下の草刈り、併せて数百メートルに渡って提灯を吊るす作業。この昭和レトロなボンボリが年寄りには妙に心馴染むらしい。
いっせいに動き出した草刈り機の音はものの30分ほどで鳴り止んだ。やはり人の数の力は大きい。提灯も遠く鉄橋下までつながっている。
順次「おつかれさま!」「お先に!」
「どうもご苦労さま」
「つぎに会うのは花見だよね?」
そう、町内会の花見は再来週の29日、きっとまだ咲いてくれてると思うけど・・・(笑)。
予定よりずいぶん早く切り上がったので、グルメレポーターが出張っている石引の草刈りに回る。
ここは草刈りというより道路を覆い始める木の伐採が主。草刈り機よりチェーンソーがものを言う。
「バリバリ、ミッシーン!」マキにちょうどいい位の中木が3本、4本と倒れていく。
ここに移って11年、ずっと同じメンバーでこの作業をやって来た。いつまでやれるだろう、そう言って今日まで・・・。
午後からは雨の予報
、「さあ、みなさん、早いうちに終いにしましょう!」
(報告・三宅 優 写真・井手 誠二)
鳥の声一つ聞こえてこない静かな午後。こうした時間が、あの日も過ぎていた。
3.11あれから10年、自らのことを振りかえれば、なんとかよりよく生きようと闇雲に前へ前へと突っ走って来た。
午後3時、10回目の灯ろうを浮かべに石引の池に行く。
10個のサークル、そこに取りつけた、町の人らから届いた牛乳パックに灯りをともす。楽なつもりでいても、2人でとなると結構、時間がかかる。応援の編集長、犬のフクちゃんと飼主のじいちゃんの協力で、何とか設置。
帰ると、忘れずにいてくれた近所の人たちから心づけが寄せられた。今年、福島の子どもたちを招いて岡山で保養させる活動に寄付したい。
午後5時半、まだ空は明るいが庭に置いた灯ろうに火を入れる。一つづつゆっくりとていねいに。風はないのに炎がゆれてすぐに消える、点灯したてはデリケートだ。
そこに応援団、やって来る。ピッツェリア「マル屋」のモモちゃん直々にピザの差し入れ。
「じゃあ、頑張らなくっちゃ!」
静かな夕刻、すべての灯ろうに火が灯る。
やがて外はしっとり暗闇みはじめ、庭の灯ろうにオレンジの切抜き窓が浮き上がる。
「ふしぎだね、この10年で一番おだやかな一日だったね」当新聞グルメレポーターがポロリ。
そう、やっと戻るところへ戻ったのかもしれないね、一人一人がそれぞれの思いで震災で亡くなられた
人へ手を合わせる、それが今日からなのかもしれない。
夜、池の明りはぼんやりと、でも鴨たちを驚かせることもない、わずかな”ともしび
”。
さあ、今日の大事な節目を終え、僕らの残り時間はごくわずか。
子細なこと(ましてや金儲けなど)に関わっている時ではない。より大事なことへ、より大切な人のため、すべてを捧げることにしよう。
(報告・三宅 優 写真・勝部 公平)
当新聞「たけべ楽考」でも特集しているが、東日本大震災から10年を向かえる。
ギャラリー前の貯水池に一つの灯ろうサークルを浮かべたのが遠い昔のようだ。
あれから世界で日本で、自身の回りでもさまざまなことがあった。希望が失望に変わった日、新たな希望を見出した日、その度に心が「どんぶらこ」と揺れ動いた。
10年目の3月、今はどうだろう?波の上をただ漂うだけのようでもあり、急に脚をバタつかせ焦っているかのようでもある。
震災から10年を振り返ることは、自分のこの10年を振り返ること。
それぞれが、それぞれに生きてきたこの10年、間もなくその節目がやって来る。
今年、用意された牛乳パックは300個。
そのパックの側面に切り込まれた図柄は「十」のマーク。
これをサークルにして池には10個を浮かべる。
当新聞グルメレポーターが「コロナのこともあるし、今年は原点に戻って二人でやろう」と言い張るので、
お天気しだいだが、まあ心を込めてゆっくりとやればよい。
3月11日の空模様は目下、晴れ。波も穏やかだといい・・・。
(レポート 三宅 優)