■「新たけべの彩時季」
先月末に当新聞でも取り上げた「ESD建部町で食品ロスを考える会」(公民館主催講座)による建部の小中学校の児童の家庭を対象にした「コロナ休校中における家庭での食生活アンケート」、その回答が寄せられ今、集計の真っ最中だ!
回答数はなんと126家庭で、全生徒数280名であることから推測して、回収率100%近くの意見が寄せられたと言える。
丁度、これより前に「クックパッド」による「臨時休校に伴う家庭の料理負担の実態調査」がネット上で公開されていて、その中で「料理の負担感」について80%が「増えた」と答え、「料理をする際に困っていること」について「昼ごはんの準備が大変」「献立を決めるのが大変」また「料理をすることで気持ちが前向きになったことがあるか」の問いに「ない」と答えた人が64%と発表されている。
この調査が都市部に住む家庭を対象にしたものなのかもしれないが、はたしてこの建部地域ではどのような回答が得られたのか非常に興味深い。
今回の集計結果は「記述」と「グラフ」の両方で明記され一枚にまとめられて、来月中頃までには各児童の家庭に配られる予定。当新聞「たけべ楽考」7月号にても特集!
そのため、この日もメンバーは宿題を持ち帰り「リモートワーク」することとなった(笑)。
(取材・写真 三宅優)
少しずつ日常が戻ってきた。これまで控えていた公の催し、町内の集会が人を密にせず従来より小規模にすることで再開、むろんマスク着用。
この日(6月18日)保健センター2階講堂でも「人生100年時代の健幸術」と題した福渡健康教室「すずらん会」主催の講演会が開かれた。
お話しくださったのは「葵の園」岡山福渡施設長で医師の市場 尚文(なおふみ)先生。
聴講者は健康教室のメンバー35名、全員、雨にも負けず100歳めざそうとやって来た意欲溢れるおじいちゃん、おばあちゃんたちだ。
では、そのお話の中から印象に残った内容を私(グルメレポーター)がランダムに(笑)報告。
まずは市場先生の紹介から。お生まれは1946年で(ということは当副編集長より6つ年上・・・若い!)岡山大学医学部を卒業、市民病院の小児科部長を経て、
1997年より市の保健所専門監として主に青少年の性教育にたずさわり、その後、東日本大震災の救援活動の経験から内科を学び直す。去年7月より建部町福渡「葵の園」施設長。(実は県議会議員、大塚愛ちゃんのお父さんでもある)
さて市場先生が最初にスクリーンに紹介したのは、きんさん、ぎんさん、日野原重明先生、八千草薫さん・・・。
「みなさん、ご存じの方ですよね、どの方も年取られてもしっかりとされていましたね」
そうそう、どうしたらこんなふうになれるのかしら・・・うなずくいくつもの顔。それをこれからお話しますと披露されたのはギター片手に先生の歌。
「幸せをありがとうぬくもり届きました・・・誕生祝いをありがとう・・・」(さだまさしの「バースデー」)
次に「東日本大震災の3.11」に生まれた赤ちゃんの画像が写し出される。大変な時に懸命に命を育み、この世に生を受けた子どもたち、流れる曲は「いのちの理由」。
この展開に 「これが100歳まで生きることどうつながるのかなぁ・・・」先が気になる聴衆。
でもそんな心配は不要で、このあとしっかりと医学的健康法の講義(以下、私のメモ書きより)
●1997年「成人病」が「生活習慣病」に変わる
●ガンマGPでお酒の適量がわかるようになった
●女性は男性に比べてすべて優位種、唯一、骨がもろい
●カルシウムと運動はセット。足の裏のかかとにセンサーがある
●どんなふうに生活するかが健康寿命を変える
講義50分経過、ここで再びリラックスタイム、演奏「川の流れのように」・・・その前に「トイレ休憩はどうですか?」(さすが先生、気づかい100%)
♪・・・しらずしらず~いつまでも青いせせらぎを聴きながら・・・♪
後半は「疾病の予防&老化の予防(フレイル予防)」について(メモ書きより)
●フレイルとは健常と要介護の中間の状態で虚弱(前兆)
●健康キーワード「3つの趣味」=体を使う・頭を使う・手を使う
●緑の三角形=健康→お金→環境(自転車で動けば運動になりお金がかからず環境にも良い)
●エレベーターを探すより階段を探す
●主人在宅ストレス症候群(”妻はおい 夫はもしと言う名なり”古川柳)
●”「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ”(俵万智)
●健康で長生きするためには”目標を持って生きる”ことが大事
●割りばしを噛む口元にするだけで楽しい気分
この日の先生のお話、「愛されて生まれる」から始り「感謝して生きる」そして「幸せに老いる」、 "これぞ人生100年時代の健幸術なり”と理解。
外は梅雨、最後に全員で「ここに幸あれ」「愛さんさん」「ふるさと」を合唱し、余命に希望を持ち帰宅の途に着く。
追伸:「葵の園」から。ショートステイでお気軽にご利用ください。施設の自慢はご飯がおいしいことです(市場先生も太鼓版)
(レポート・三宅 美恵子 写真・三宅 優)
「まだかなぁ・・・」「もう来るかなあ・・・」
家の庭先で首を長~くして待つのは建部上でレザークラフトの工房を構える「建部獣皮有効活用研究所」の
頼本徹・ちひろ夫妻。
頼本さんが取り組んでいる地域で捕獲される害獣を使ったクラフト作品はNHKテレビニュースでも取り上げられ、全国から注目を浴びている。その工房へこの日(6月15日)やって来るのは・・・建中生徒たち!
「えっ、なんで、中学生が?」なんでも授業のカリキュラムに「地域学」というのがあって、地域の持つ力をみんなで学ぶのが目的らしい。
午後2時、板野先生らに引率された17名の生徒たち、「・・・獣皮有効・・・」のいかめしい名前に戸惑っているのか、かなり堅い感じで入場。
さっそく「ジビエ料理って知ってますか?」とちひろさんが質問。食べることに関心がある何名かが手を上げる。
「ジビエとはフランス語で野生の生き物のこと、それで料理するのがジビエ料理。そこで出た革を使ってクラフトにします」
「???・・・」イマイチわかったか、わからなかったか。
そんな雰囲気に板野先生、「まっ、なんでも勉強じゃ、じっさいにどうやるか教わりましょう」と、徹さんと大きなまな板をヨッコラショ。毛皮も運んで作業工程の説明。
しかし生徒の反応はやはり今一つ。おいしいジビエ料理の作り方ならきっと違うのだろう。
そこで板野先生「この皮をじゃな、なめしてから、好きなとこを使っていくんじゃ」自らが講師となって説明を開始(笑)。
それもそのはず授業時間は20分。
手っ取り早く理解してもらうため用意したNHKニュース動画は3密を防ぐためスクリーンを座敷に設置、庭からの視聴。
「へー、知らなかった、こんなことができるんだ」そんな発見があったかどうか・・・でもすぐに結果が出なくてもいい、後になって「あんなことをしてた人がいたなあー、わたしもやってみようかな」と思い出す日が来るかもしれない。
生徒を見送る頼本夫妻の視線にはそのことへの期待が込められている気がした。
(取材・松下りえ 写真・松下泰成)
コロナ災禍で人と人が距離を保つ、いわゆるソーシャルディスタンス「新しい生活スタイル」が提唱されている。
しかし満員電車、すし詰め集会は当然だとしても、熱気が”かなめ”のスポーツ応援、祭り、ライブ・・・果たして肌と肌が触れ合うことが重要なコミュニケーションに変わるものがあるだろうか。
「防災」もその一つ、遊びや祭事とは別だが、非常時に互いが体を惜しまず助け合う、ディスタンスを考えている場合ではなくなる。
どこかでどちらかを優先する割り切りが求められている。
日曜の午後、建部町福渡地区で行われた「福渡みんなの防災団」のオリエンテーション。
一昨年の豪雨災害を経て岡山市が100%実施を目指して取り組む地域の自主防災組織の結成、その一環で当町内にも今年の1月に町内会を主体に登録がなされ活動が始まった。と言っても、課題は山積。
そもそもの課題は過疎高齢化。日中、老人しかいない町内で、どうやって組織を立てるか。
当然、構成人員は年寄り(記者も)、それを動くこともしんどい人たちを対象にいかに安全な避難に導くか。
行政側は「地域に従来からある、住民同士の結束を図ってきた町内会が最もふさわしい」と期待。しかしそれが、当地域に於いて言えば岡山市に合併後、その結束がほぼ有名無実になってしまった感がある。
これまでは町役場の協力できめ細かな活動を担ってきた町内会が、今は回覧板を回す程度の役割りでしかなく、
そもそも町内会の世話をする人さえ見つからないのが現状。
福渡地区では一昨年の豪雨を経験し、指定された福渡小学校避難所までの道路の冠水や遠距離移動の困難さを考え、土砂災害警報時にも使用できる避難所(福渡町内の公民館、支所、保健センター、葵の園等施設は土砂災害危険地区のため使用できない)の選定が望まれていた。
この日は心よく避難所を提供をして下さることになった「友愛の丘・ゼンセン」に新防災団員15名が集合、現地視察をすることになった。
利用するスクラムホールは全面フローリングの
体育館みたいな広々とした建物、団員らは避難時の行動を念頭に「駐車場」「出入口」「トイレ」などを確認する。
「外の駐車場は3か所あるが、その位置と収容数をあらかじめ伝える必要があるのでは」
「もし停電になり、トイレが使えない可能性が出た場合どう対処するか」
団員の問いかけが発せられる。
一行は続いて町内にある自主避難所のコミュニティセンターへ移動。ここは一昨年7月の大雨の時にも使われた。
ここでの課題はやはり収容人数に限りがあること、あぶれた人たちを先の「友愛の丘」へいかにスムーズに誘導できるか心配がつのる。
そしてこの時点での大きな課題、それは土砂災害における避難開始をどこで見極めるか。丁度、この日の前夜、岡山市は全域に土砂災害警報レベル3相当を発令、しかし、これまでの雨量を推り、またこの後の雨雲の動きを追うと避難迄には至らないのではと多くの人が判断したのではないだろうか。逆に暗くなってからの避難の危険が高く感じられた。
市の警報が最も頼れる指針であることは変わりない。それでも雨量、川の水量は即行動に結びつくのだが、土砂災害においては危険の見極めが難しい。確かにレベル3、レベル4の行動基準は確立しているのだが、今後、警報を受けての地元の”読み”が重要になってくる。そうでないとこれから何度も避難所を開設することになるやも知れず、
「それに常に対処する人員がどこにいるのか」根本的、壁にぶつかる。
何度も言うが中山間地域における防災は今や「老労防災」が現実、これでいかに乗り切るかが問われている。
(取材・三宅優 写真・松下泰成)
季節が初夏へ、建部では朝からトラクター、草刈り機がフル回転。
町内の神社やお寺でも雨期を前にしての清掃作業、境内や建物の屋根に積もった枯葉の除去に大忙し。
町を離れた若者たちにとって、帰って来れば昔と変わらないふるさとが待っている。
しかし、それもそろそろ限界が見えてきた。作業に集まった人たちの顔ぶれは、ほぼ高齢者、神社の本殿に命綱なしで上っているのは町内会長自身だ。
「わしらがやらなきゃあ」という義務感と、まだまだやれるという負けん気がそれを支えている。
「われわれがいなくなったら、あとはだれがやるのだろう」
70歳代のリタイア組が中心の町内組織、その後の世代は仕事に出て、後継者不在。
「それでも、わしらがやれる限りはやろう、あとのことは考えないで・・・」
確かに「もうできない」と投げてしまったら、そこから荒廃が始まる、それだけは食い止めたい。
そう結論を出し、今日も市から委託を受けた山の峠に至る市道斜面の草刈りに汗をかく。
遠くにいる若者たちが「ここはいつ帰っても変わらんなあ」と思えるように・・・。
(取材・写真 三宅優)