■「新たけべの彩時季」
建部で活き活きと活動する人にスポット。
田舎暮らしに魅かれ、5年前に
建部町に移住。自分で作物を作り、
自然とふれあい暮らしたい。そんな
夢の実現に向け、目下、新居に移り、
夫婦で改築中。
パワフルママの高塚 文さんに
これまでの道のりを聞きました。
(取材・写真 三宅 優)
(プロフィール)
高塚 文(あや)
昭和51年、新潟県燕市に生まれる
高校までを郷里で過ごした後、
福島県の大学に入学、英文学を学ぶ。
卒業後、東京で就職。その後、
結婚を機に栃木県に移る。
東日本大震災での原発事故を受け、
夫の実家である岡山に疎開。
現在、下神目在住。
(聞き手・三宅 優) お生まれは新潟だそうですが、どんなところですか
「こっちの人は新潟って聞くと、雪深いでしょうと言われるんですが、私の所はそんなに思うほど降らないんです。幼稚園の頃は”かまくら”とか作ったり、小学校では学校でソリができたんですが、今はそういったことはできませんね」
小中高では部活動は盛んでしたか
「私は小学校は陸上と水泳をやってて、市内の水泳大会では小学生の平泳ぎ選手で優勝したことがあります。中学はバトミントン部、高校はテニス部でした」
高校を卒業されてからは?
「福島の大学に入学しました。隣の県だし近いかなって思って、でも意外と交通の便が悪くって、アパートを借りて住むようになりました(笑)」
専攻は何ですか
「文学部の英語英文学科です、たまたま高校の英語の成績が良かったから(笑)。テレビに出ていたウィッキーさんが英会話の先生だったんです、
けっこう厳しい人でマンツーマンの会話テストがあったりしました」
ご主人と知り合ったのはその時?
「はい、同じ大学に歯学部がありまして、そこの岡山出身の2年先輩でした。飲み会でたまたま隣に座って、最初、誰とも話さず、ひたすら料理で出されたカニを食べているのを見て、ふしぎな人だなって(笑)」
卒業後は?
「東京で就職しました。中野にあったジャズボーカルスクールの事務で、ジャズって英語なのでそれが買われて。
ちょうど、妹が大学に通っていたので二人で東京暮らしをしました」
結婚は?
「5年後です、それまで福島を新幹線で往復する遠隔恋愛でした(笑)。旦那が栃木県の那須塩原の歯科医院に就職したので、そこで暮らしはじめました」
そこで、東日本大震災、原発事故に遭うわけですね
「山の方だったので旦那が、”お前と子どもだけで逃げろー”と言って、岡山の実家に避難しました。その後、旦那も岡山で就職を探したけど、しっくり来るとこがなくて、秋田で自然療法の歯科医院があるのを知って、秋田に移りました」
えっ?岡山に戻って、また秋田へ?
「ええ、そうなんです、流民のようなんです(笑)。でも、秋田は楽しかったですよー、娘と私で雪遊び、”なまはげ”を観に行ったり・・・人の情がとっても深いんです」
で、ふたたび岡山、それも建部には?
「岡山の両親がこれまで続けてきたお店を閉めることになって、じゃあ戻るかと。それで、そこに今の歯科診療所を開くことにしました。建部に住むことにしたのは、もともと旦那が自給自足の生活にあこがれを持っていて、栃木にいた頃、偶然、知り合った大塚尚幹さんが建部に越していて、”建部はいいぞ”と勧められたんです」
どうでしたか、建部は
「川の景色が癒されますね。それと学童をやっていて感じるんですが、竹枝の子らは素朴で素直だなって。
何も玩具がなくても遊べる子、スゴイって思います」
ご自分のお子さんにはどのように育って欲しいですか
「自分の考えをきちんと持って、行動に移せる子になって欲しいなあ。
大きくなったら絶対、親元にはいさせない、自分で生活をして、広い世界で生きて欲しい。この間、娘がパン屋になりたいって言ったので、じゃあ、フランスに行こう!って言いました(笑)」
ありがとうございました
「駅前町歯科診療所」←ご案内
【記者感想】
早いもので出会って5年、似顔絵描いたり、フラをいっしょに踊ったり、当新聞の”美味しいモデル”をやってもらったりと付き合いは
多いのだが、如何せん、詳しく話を聞く機会がなかった。
福島の大学にご夫婦がいたことも、秋田にいたことも初耳。
旦那さんの岡山の実家は、歯科医院だとばかり思ってた。
文さんに至っては、街のお嬢さんぐらいにとらえていたら、亡くなられたお父上は金物洋食器の生産では世界的なシェアを誇る燕市、ならではのヤスリ職人だったそうで、
それじゃあ漆喰を塗る左官仕事も苦にならないと納得。今、夢中になっているのは「インド刺繍(ミラーワーク)」だとかで、手の込んだドアチャイムカバーを見せてくれた。
昨今、建部町という貯水池に新しい水が注がれ始めている。外を知ってる人間がこの地を変える、高塚さんご夫婦もその一翼であることは間違いない。
(三宅 優)
天気予報は完全に雨、しかも寒い。仕方なく押入れの冬用ジャンバーに再登場願う。
「これじゃあ、たけべ新聞4年連続取材はストップ?」
念のため、いつもの自転車ではなく車にする。
朝9時、すでに霧雨「うう、冷えるー」
国土53号線、吉田、どんより空にのぼり旗が並ぶ。右手、田んぼに白いテント、「おっ、やってる」
到着、この気温のおかげでレンゲは今も真っ盛り、踏みつけるには惜しい気持ちでソロソロと足を。
靴がすぐに濡れる。畑の中に立つ、へんてこな風船人形を見つけ近づく。
「お~い、おじさん、それ何て名前か知ってるかい?」そばのテントで風船を膨らませていた、私より年上?のおじさんに聞かれる。
「ケムンパス?」(何じゃそれ?まわりから失笑)
「子どもなら必ず知ってる”腹ペコあおむし”ちゅうんじゃ」
なるほど、子ども相手の仕事をしているだけあって、記者よりずっと若さ度が高い。
隣では「たけべおこし」リーダー平田さんによるストローアート。
子どもらも左手にストロー、右手にハサミで何かに挑む。いよいよ、後継者育成か?
(平田)「とーんでもない、こんな生意気な子ども育てたくない!(笑)」そうです。
午前10時、大崎委員長による開会宣言。
「只今より、第10回吉田れんげまつりを開催いたします、もし雨がこれ以上、降るようでしたら、
そのように対応してください」(・・・これぞ吉田流、あうんの呼吸??)
テント前の農道では恒例、餅つき。男性陣に混じって女性ペアの突き手。
息が合った早い杵打ちは餅屋の派遣?かと思いきや、地元の大塚愛さんと佐藤安奈ちゃん、「こりゃあ、一つ買って帰らにゃあ」
<出店者訪問>
雨予報で、いつもよりテント数は少ない、それでも地元の人らが出す「草餅」「お赤飯」「マタギうどん」「ホットドッグ」「フランクフルト」「コロッケ」「やきとり」「スープギョーザ」「タコ焼き」、「キシモトケーキ」「建部ヨーグルト」「サニーディコーヒー」「山田養蜂場」が勢ぞろい。どこからも雨など気にしないとの雰囲気が伝わる。
「お~い三宅さん、テレビ観たよー」と中から声がかかる。
すると「おう、わしも見たでー、偶然つけたら、出とった」
先日(18日)のNHKのニュース番組に当新聞が取り上げられたのを指してのこと。
「はっ、どうも恐縮です」
(それにしても、NHKって、みんな観てるんだなあ、あらためて身を引きしめる)
ステージでは、これから地元っ子によるヒップホップダンス。
自己紹介、「僕らのチーム名はクラブバンブーです、竹小の体育館でで月2回練習してます。入りたい人募集中です!」
曲が飛び出すと同時に、体が前に後ろにとリズムを刻む。取材中のオニビジョン、松本記者も「いや、もう、体が付いていけませんね(笑)」とひたすら感心。
来たときは降っていた雨も、気がつけば止み、空はいくぶん明るさを持ち始めてきた。
「何とか行きそうじゃなあ」「行いがええ、ちゅうことじゃろう」手伝いで参加したお年寄りらの安堵の笑い。
レンゲ畑の中には、いつの間にか子どもらの駆け回る姿。それを横目で見ながら、久しぶりに会ったママさん、パパたちの歓談がつづく。
ここは、親しい人と会えるだけでなく、人をなごませる”場”に出会える。
時間に追われることもなく、眉に皺よせて働くこともない、好きなように過ごす、普段顔の自分。
元、建部町公民館館長の安部欣也さんも、きっとそんな顔に出会いたくて今日、来られたのだろう。久しぶりの元気そうな姿、忘れずに訪ねてくれた心優しさに感謝!
次なるステージが始まっている。佐藤まいちゃんと、藤井一世さんのソプラノ&尺八セッション。
和洋合作、意外な組み合わせが、これまたイチゴに大福みたいに、意外に噛んでいるから面白い。仲間が集まり、互いにちょっとやってみようか、そんな気軽さがこの
雰囲気に、まさにピッタリ。
いつの間にか餅つきも終了。やっと手が空いて、腕時計を見たお年寄り。
「おい、まだ、12時にもなってねえで、完売か」
もう一人のお年寄り「そうでぇ、あっちのコロッケもホットドッグもぜんぶ売り切れで、もう買うもんねえで」
蓋を開けてみれば、散々な状況の予想を覆し、いつも通りに大盛況。
「みんな、楽しみにしとったもん!」
答えは、どこからともなく聞こえてきた、そんなおばあちゃんの一言にあるのかもしれない。
(取材・写真 三宅 優)
来月、開催の「カヌージャパンカップ」、
建部はこの時季、カヌー一色。
今日も建部町文化センター前の旭川では、一般を対象とした「カヌー体験」教室が開かれた。
主催したのは、当センター内にある「はっぽねプール」を運営するOSKスポーツクラブと建部カヌークラブのメンバー。
担当に当たられていた管さんにお聞きした。
(記者)「今日はどういった方が参加されていますか」
(管さん)「私どものプールに来られている方を中心に、下は小学生から上は70才代まで14名になります」
「この催しは、来月のジャパンカップと関係がありますか?」
「いえ、それとは別に幅広い年齢層の方にカヌーの魅力を知ってもらいたいという目的です」
「今日はどのような体験ができます?」
「参加者には”ポロ艇”というカヌーに乗ってもらい、そのあと他のカヌーの実演も観てもらいながら、艇の違いや競技の仕方などを説明します」
記者が到着した時には、すでに乗り降りの仕方や基本操作におけるレクチャーを終え、参加者の内、大人は川の上。
やがて、その帰還1号生が岸に戻って来たので近くに寄り、感想をキャッチ。
(年配のご婦人)「あ、あ、無事、帰ってこれたわ。(手を貸す指導員の青年に)まあ、王子様に見えるわ(笑)」
(記者)「どうでしたか、初挑戦は」
「こんな、グルグル回るもんとは思わんかった、真っ直ぐに行きたかったわ、もう、喉、カラカラ」
(2番手の年配男性もやって来て)「私なんか、転覆して頭からびっしょりで、もう水いらん(笑)」
次に子どもたちが2回目のトライ。
(小学男子)「ボクなんか、もう、コツ覚えたもんね、だいじょーぶ」
自信満々の少年、実際、スーイスイ。さすが、子どもは覚えが早いと感心してたら・・・ZA BOON!
見事に裏返り。
しかし、こんなことではへこたれない?今度はバッシャバッシャと川泳ぎ。
これを見た、大型カメラ持参のお母さん、「ああ、せっかくのシャッターチャンス撮れなかったわ(笑)」
後半は選手によるデモンストレーション。
激流を下るスラローム。艇がひっくり返ると同時に、自分の力で水中から起き上がる。
「ウッワー、こりゃあ、すげーや、プロは違う!」さっきの転覆経験者も感嘆。
静かな水面を進み、スピードを競うスプリント。「速ー、メチャ速い・・・」
二人で漕ぐペア艇。「わぁー、シンクロのよう・・・きれいだわー」
どの参加者も選手たちの力量に驚くばかり。
締めくくり質問コーナー(順不同で)
(参加者)「練習は、週に何回ほどしてるんですか?」
(菅さん)「週ですか、週6(日)でやってます」(ヒェー)
(参加者)「外国の選手と比べて、日本はどうですか」
(菅さん)「やはりカヌー人口がヨーロッパなんかと圧倒的に違うので、日本では切磋琢磨が難しいことがあります」
(参加者)「カヌーはいくらぐらいしますか」
(菅さん)「一人乗りの艇で30万から、ペアだと120万、もっと高い物もありますが」
これを受けて、参加者の男性、「おい、母さん、120万だって、ひとつ買ってやれ(笑)」
最後に菅さんから「今日はどうでしたかー?」
(参加者全員)「楽しかった、また来たーい!」
カヌー競技を間近に観る日は、まもなく(5月11・12日・福渡三本松下、旭川沿い)
「レディー セット ゴー!!!」
(取材・写真 三宅 優 写真提供・青山孝弘 氏)
朝10時過ぎ、記者(三宅美恵子)は建部ヨーグルトで製造中。聞こえてきました、子どもたちのざわめき。今日は福渡小学校の児童全員の遠足日。
この工場も見学コースの一つ。窓越しに熱心に製造工程に見入る子は、Mちゃん、Sちゃん、E君・・・、あとはソフトクリームやチョコサンディの写真に目が釘付け。
先生に「学校からここまで何キロですか」と聞く。
先生「3キロです」(えっ?そんなに短いの、もっとずーと遠い感じがするけど・・・)
「1時間10分かかりました」とも。(そうだよね、今月入学したばかりの1年生だっているんだから)
「めだかの学校」を見学した一同は昼食を取りに親水公園まで行ったらしい。(記者は仕事を放棄できないので同行できず)
ここからは、副編集長の取材。
お昼過ぎ、建部上の農道を赤い帽子に白青上下の体操着の列を発見。「おっ、遠足がやってきた」
シャッタを―切る。コバルトブルーの空に積雲が浮かび、鯉のぼりがたなびく。
「こんにちわ~!」子どもたちの方から声がかかる、「おう、こんにちわー」おじいさんも、元気よく応える。
「どこへ行ったんだい?」「ウン、めだかの学校だよ」
「お弁当はおいしかったかい?」「うん、おいしかった」
帰りは記者と同じ方角なので、いっしょに歩く。
(先生)「ナゾナゾだよ、体の中にあるもので人の名前に聞こえるものは?」
(児童)「カンゾウ!」
(先生)「おお、それは小学2年生では習わない、むつかしい名前だなあ」
(児童)「わかった、シンゾウ!」(笑)
さすが先生、生徒との会話ネタも豊富。
そのうち八幡温泉の源泉近くで、川を覗いた男子が「あっ、ヘビ!」(恐々と)
女子「キャッ、かわいいー」(うれしそう)
最初の解散場所は八幡橋を渡った郵便局前。「じゃあねー」「バイバーイ!」
(友だち同志)「〇〇ちゃん、このあと何してあそぶ?」
「なにしようか?」
いつもより早く帰れる、得したようなワクワク気分、そして明日からは3日間のお休み。
無限大に時間は続くと思えた子ども時代、何もかもが輝いて見えるに違いない。
(取材・三宅美恵子 写真・三宅優)
昨日よりも3度も気温が上がって、今日の里山は初夏の陽気。これで遅れていたタケノコも慌てて顔を出すに違いない。
今日の、めだか環境教室「山菜取り・野草天ぷら作り」には定員いっぱいの10家族、31名が参加する。
何としても、一家に1本は持ち帰らせて上げたい。竹林を管理する松本さんは、今月に入ってから毎日、様子をうかがいに行き、「まだかなあ、まだだなあ」とヤキモキ。
午前10時、会場となった富沢地区鳥越池の「里山建部」ベースキャンプに参加者らが車で到着。さっそく活動開始。テーマは「自然を見つける」、勝部編集長の案内で周辺を探索。
まず最初に見つけたのはタンポポ3種(日本種VS外来種VS岡山種)つづいてミツバ(自然種)、土筆(つくし)、タラの芽、イタドリ(スイバ)。
「これ(イタドリ)はね、子どもの頃、皮をむいて塩をつけてかじって食べたんだよ」編集長の苦難ものがたり。
すると「あっ、酸っぱくておいしい!」と女の子。
セリを手に編集長「これは、春の七草の一つ、知ってるかい?」
「知ってるよ、わたし全部言えるもん、セリ、ナズナ、ゴギョウ・・・」とスーラスラ、思わずみんなで拍手。
竹林に到着。
「あれっ、あそこになってる」「え?あそこにも」麦わら帽子の松本さんが、うれしそうにお待ちかね。
メモを取り出して 「今年のタケノコは、例年より冷え込んで、あまりなっていませんが・・・」
いえいえ、そんなことはありません。見事に手入れされた藪の中にはポッコリ、ポッコリとタケノコが。
松本さんが鍬を使って「タケノコ掘り」を実演。
「ママ、僕もやりたいよー」「わたしもほってみたい」
待って待って、まずは一家族一本、どのタケノコにするか、決めてからだよ。
(お母さん)「あのー、先生(記者のこと)、この大きいのとこっちの小さいの、どっちがいいんですか?」
(記者)「いっぱい食べたいなら大きいの、ただし根元はちょっと硬い、小さいのはやわらかいけど、皮をむくと少しになる」
「(迷って)・・・大きい方にします!」
親子で鍬入れ開始。抱えきれないほどのモノや、両手に収まるモノまで、それぞれが「マイ・タケノコ」掘り。
30分後、収穫品を手に一同、ベースキャンプへと帰還。
小休止、続いて指令1、「子どもたちとお父さんは竹を切って自分のコップとハシを作って下さい!」
指令2、「お母さんたちは、山菜を使って、天ぷらと若竹汁、タケノコご飯をお願いします!」
ターフの下にいても、日差しが熱く感じはじめて来た。十分、水分補給をしながら、子どもらは竹切りや竹削りを進める。
「これ作らないと、お昼が食べれないよ」と聞かされては、一生懸命やるしかない。
女性陣は、あらかじめ湯がいておいたタケノコや山菜を使って天ぷらに挑む。火力が炭火ときて、温度調整がむつかしい。
(お母さん)「油はもう大丈夫ですか?」
(記者)「ハシに一滴、コロモを付けて、落としてすぐに上がってきたらOK!」
「へー、そうなんだ、料理教室に来てるみたい」(笑)
このあと記者が主婦歴○十年と聞き、全員が「えっー!」
大釜のご飯も吹き出して、どうやら炊けたようだが、こればっかりは開けてみないとわからない。
これも、それも、すべて体験、だから学ぶし、身にも付く。
本日のお昼ごはんの完成!
どうだい?「山菜の天ぷらがうまい!」「タケノコの天ぷらって、初めて食べました、おいしい!」
デザートはないけど、ドリンクは竹笹を炒って「笹茶」、少し甘味があって「わたし、けっこう好き!」
食後は指令3、みんなで片づけ。
でも子どもらは、山のてっぺんに行きたくて我慢ならない?「いいよー、行っておいでー」
真砂土の斜面をいっせいによじ登る。靴もズボンもあっという間に土まみれ。
「おかあさーん、写真撮ってよー」頂上制覇の少年登山家が叫ぶ。
午後2時、指令4「お~い、みんな閉会するから、おりて来なー」
振返り、(館長)「だれか今日の感想が言える子は?」
「はーい、山遊びが楽しかった」「ハイ、ご飯センベイ(残りご飯で作った焼きセンベイ)がおいしかった!」
最後に記念撮影。
「では、たけべ新聞のトップを飾る笑顔でお願いしまーす」(カシャ!)
(取材・写真 三宅 優)
昨年7月6日をどう過ごしたか、岡山県内、市内各地、そして建部町内。指定された避難場所に移動待機、
その時の戸惑い、不安。
そして、もうすぐ7月がやって来る・・・あれから、あの恐怖はずっと続いている。
今、この事のみに集中すれば対応策は十分とれるのに、やるべきことの優先順位を決断できない行政へのもどかしさ。
今日、夕方のNHKニュース「もぎたて」で、昨年の建部の水害における「たけべ新聞」のレポートが報道された。
内容は、当新聞が本来、目指している役割をきちっと伝えてくれていた。
同じことを繰り返さないために、今やるべきことは個々の反省点の共有とその具体的な対策、そこに暮らす人の命をどう守るか、地域行政はそのことのみに集中すべき。
今、勇気ある人が、もう一人「わしが、やる!」と言って集まれば、たぶんこの町、いや、日本国中だって変わる。「自分たちの地域は自分たちで守る」、
今日の報道でそのことをあらためて実感した。
NHKニュース「もぎたて」動画
特集:「7月の大水害を振返る」
(報告・三宅 美恵子)
フェイスブックには「自分らしい生き方を見つけ、お互いを認め合い、人生を応援し合うコミュニティを目ざします」とある。
先々月の「たけべ人」で紹介した佐藤安奈さんが活動に加わっている
岡山市の非営利団体「あこがれスタイル」。
そのメンバーが安奈さんのおばあちゃん家で「タケノコ掘り」をするというので出かけた。しかし、我が家の裏山でも今年はまだ見ていない。
「無理じゃあないかなあ・・・」
13日土曜の午後、市内からやって来た”カッチャン”、”マユリン”、”ブラック”さんと安奈さんで、山に入る。
「・・・ないなあ」「・・・やっぱりないね!」
安奈さんが下草を刈って、よく手入れをしているので、出ないわけはない、まだ早いのだと思う。しかたなく?竹切り。何でも、ピザ窯で使うらしい。他にもマキ切り。
会を主催するリーダーのカッチャンこと、勝俣 将樹さんに聞いた。
「何で、この会を始めたのですか?」
(カッチャン)「以前、”だっぴ”で活動してたんですが、やって行くにつれ、その先が欲しいと思うようになりました。大人になっても、世の中の息苦しさは変わらないわけです。
そんなとき年齢を問わず学び合い、応援し合える場が必要ではないかと。それで3年ちょっと前に、皆が安心して居られる居場所づくりりから始めて、楽しめる場づくり、そしてキャリアを積める場づくりへと進めてきました」
「具体的にはどんな活動ですか」
「居場所づくりでは、自宅の隣の家を開放して皆が集まれる場にしています。ピザ窯も作りました。
楽しむ場としては、今日のタケノコ掘りなんかがそのひとつですが、皆、そこで自分らしい楽しみ方を見つけてもらえればいいと思います。キャリアづくりとしては、就活の対策とか、企業と学生双方のプレゼンの仕方とかのセミナーをしています」
「なるほど」と言っても、自慢じゃないが記者の世代感覚はかなり旧い。若者たちが今の日本社会をどんなに窮屈に感じてるか、想像だにできない。ただ、近くにある研修施設に来る新入社員がすべて同じ黒づくめのスーツ姿なのはあまりに暗い。
参加メンバーのブラック君(黒岩さん)は、「この会は、いつも行くと(気の合った)誰かに会えるんで参加しています。自分は工場で働いてるんで、今日は自然の中で落ちつきますね」
マユリン(まゆこ)さん、「私も工場で働いてますが、そこではストレスないけど家にいる方がストレス(笑)、ブラックとは実は同級生なんです(笑)」
「どんな”あこがれスタイル”をお持ちですか?」
(ブラック君)「自分の個性で生きていきたいです、広告宣伝とか新聞とかに関心があるんで、できればそういう世界で」
(マユリン)「この人に相談したいなあって、そんな頼られる人になりたいですねー」
場所は建部町下神目、そばを誕生寺川が流れる。ここの桜は遅く、今、散りはじめ。久しぶりに若者たちの声を聞いて記者もリフレッシュ。と、そこへ一陣のサイクルレーサーたちが道沿いをやって来た。
「やあー」「どうもー」、同じ町内で懇意にしている人たちだった。サイクル仲間5人で来月、西粟倉村で開かれる「わかすぎヒルクライム」に出場するそうだ。
今日はそのための合同練習。
”あこがれスタイル”を実践する大人たちがここにもいた、そんな新たな発見も今日のこの出会いがあったからこそ。
「あこがれスタイル」さん←フェイスブックはこちら
(取材・写真 三宅 優)
昨日の雨で桜はすっかり散ったかと思いきや、竹枝小学校前の並木は淡いピンク色を留めていた。
校庭には風を受けて勢いよく泳ぐ鯉のぼり、入学式の日にふさわしいシチュエーションだ。
体育館では在校生、先生、保護者、来賓、オニビジョンさんが先程よりお待ちかね。
午前10時、音楽と拍手に合わせ、6年生に手を引かれ新入生が入場。男子2名、女子3名の計5名。
「〇○、〇くん!」「ハイッ」・・・名前が呼ばれるたび、元気いっぱいの返事。
校長先生からは二つのお願い事。、
「1つは、あいさつをしっかりとしましょう。2つ目は安全に気をつけましょう」
授かった教科書が、膝の上からすべり落ちそうにズッシリと重い。
6年生からも「竹枝小学校は楽しいことがいっぱいです、いっしょになかよく勉強しましょう」と歓迎の言葉。
記念写真。新入生、先生、保護者の方の晴れ晴れとした顔がカメラに収まっていた。
(取材・写真 三宅 優)
校門の桜が満開の今日、待ちに待った建部小学校の入学式が始まります。
男子7名、女子9名、計16名の児童が先輩の先導で在校生、学校の先生、お父さんお母さん、ご来賓の皆さんが待っている体育館に入場です。
開会の言葉のあと、初めての点呼では、大きな声で、館内に「ハイ!」という声が響いていました。
宮尾校長先生がわかりやすい言葉で「元気・やる気・人が好き」と、これからの一年生としての目標について話され、
ご両親にも、しっかりとふれあいの時間を持ってくださいとお願いをしました。
来賓の垣本連合町内会会長の祝辞の後、新入生、一人一人に教科書が手渡され、小学生になった自覚が高まっているようにみえました。
今年の入学式では保護者の半数近くがお父さんで、「イクメンパパ」も役割をしっかり担っていたのが印象的でした。
(取材・写真 勝部公平)
福渡小学校の入学式では、男子1名、女子3名、計4名の児童が今日から1年生としてスタートしました。
ゲートの前で迎えてくれたのは、ソメイ、枝垂れ(しだれ)、山ツツジの三重奏。
しかし、さらに行くと下方に白いまばゆさを放ったヨシノ桜が広がっていた。
「ああー」とため息。花に埋もれるのは後にして、とりあえず取材だと言い聞かす。
雨予報は見事にハズレ、まだ朝8時というのに汗ばむ陽気。公園に整然と並んだターフの下では、屋台のスタッフたちが仕込み準備の真っ最中。
「おう、この汁の味、どうかなあ?」
「いつもの、あんたの舌にまかせるよ」
「あとで売れなくて、文句を言うなよー(笑)」
出店者のほとんどが、地元町内会や婦人会、近隣サークル。
売るのが目的ではなく、みんなでワイワイと冗談言い合うのが楽しい。つきたての餅を作る中田地区、いつもの団結力で、「ヨイショ!ヨイショ!」と合いの手が入る。
オープニングは今やお馴染み、地元「傘踊り同好会」。今回は3人増えて8人編成で、シルバーパワー炸裂!
お客さんの入りはまだまだ、でも投票に行ってから来ると考えれば、その方がうれしい。
のんびりと園内を巡る。
「六高黄桜」は1分、「八重紅枝垂れ」は3分咲き、「京都祇園枝垂れ」は8分咲き。
その祇園枝垂れの下では、町内のご家族がブルーシートを敷いて、これから花見の宴が幕開け。(父、母、おじいさん、おばあさんと、こうして花見をしたのはいつのことだったろう・・・)
メインステージの方からは楽器の音が響き始めた。
昨年も来てくれた岡山の吹奏楽団
「晴吹(はれすい)」の演奏だ。
チームリーダーの佐藤さんの姿が見える。全員が若者、こんな普通のことが建部では奇妙に新鮮、そして頼もしい。
鳴らして、歌って、踊って、揃いの桜マーク入りTシャツもお似合いだ。
屋台からは、当編集長の「ここでしか食べられない、たけべ自慢のシシ汁うどん、どうですかー」の呼び声。
建部ヨーグルト前には、いつの間にか名物ソフトクリームを求める長蛇の列。
正午近く、次々に大型バスが到着し、やっと祭りは本調子。
ステージでは、ここ田地子地区の伝統芸能、棒遣いが登場。
観客は、棒と棒が叩き合うその迫力ある演舞に固唾を飲んで見つめる。
折よく、この秋に建立予定の「旭川源流の碑」も会場に展示され、建部のアイデンティティを盛り上げる。
午後1時、歩いて帰ろうとゲートに向かう。
警備員さんから「車はどこですか?えっ、歩く?そんなの絶対無理です!」と断言された。
だが、1時間と20分後、自宅パソコン前に無事、着席(安堵)。
帰路ルートマップ付き
(取材・写真 三宅 優)
建部は目下、桜、桜で真っ盛り。そんな折、近所の方からお誘いを受けた。
「いけばなの展覧会がありますが、行かれませんか」
「未生流」、よく耳にする、でもどんなものだか華道はまったくの素人。
さっそく「私だって少しは花ぐらい生けたことがあるんよ、バカにしないでちょーだい(笑)」と自慢するオトモダチを連れて建部町文化センターへ。
ロビーを入ると右側にいきなりドーンと二艘の高瀬舟。上では苔むした老樹の桜、”今日が晴れの日”とばかり咲き誇るヤマブキを乗せ、2F「多目的ホール」へといざなう。
階段を昇り、まず目に入ったのは屋上に組まれた青竹の花台。アクリル花器の水中花が置かれ、アンスリュームが飾られて
清々しい。
それでも「まあ、花がかすむじゃろー」と自信たっぷりのおばさん二人でツーショット。
中通路で見つけました、知り合いの娘さんの作品。ブルーの花器に凛と立つ葉桜、スポットライトが作るシルエットも幻想的。そしてメイン展示室へ。
またもや、ドーン。部屋の中央に無造作に放り投げられたとも見えるカズラの蔓(つた)。
その下に埋もれるように咲く、白いアジサイ。
「大胆ですねー」
この蔓を建部の山から採取してきた寺門さんにお聞きした。
「クスノキの上の方にからんでるやつを脚立をかけて、獲って運んで来たんですわ、もうそれだけで大仕事(笑)。
生け花は自然にあるものに、人がちょっと手をくわえることで、美しさが見えてくるものなんですよ」
何でも「未生流」は、その中に定義があって、もっとも高い位置の「体(天)」、低い位置の「留(地)」、中間の「用(人)」から成り立ってて、
直角二等辺三角形をかたちづくり・・・「う~む、奥が深いぞ・・・」
会場を埋めた鑑賞者の会話にも初めて聞く花の名や(ラナンキュラス、レンファレン、ラクスパー・・・)、作法ことばがポンポンと出る。
さすが、わざわざ足を運ぶだけの方々、目も知識も肥えている。
しっかりと講義を受けた後は、凡人お待ちかねの「抹茶」タイム。
茶席で入れられたお点前をいただく、茶器は京焼の「草花丸紋茶碗」。
「フーム・・・」(言葉にならない)
桜の紋入りの和菓子「春爛漫」を一口、「うう、上品・・・」、そばに生けられた木蓮からも甘い匂い。
「さあ、十分に堪能したから、そろそろ帰りましょうか?」(私)
「そうね、贅沢な時間じゃったなあー、誘ってくれてありがとねー」(オトモダチ)
目も口も満喫した二人、再び、春らんまんの建部平野へ。
(取材・三宅美恵子 写真・三宅優)